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第三章

245話目

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息を限界までゆっくり掃き出し、同じ時間をかけて限界まで息を吸い込む。

「……なるほどなでは済まされんわ!! 他の物も出せ!! これだけではないのだろう? 作られたレシピ産の魔道具を全て出せ」

思わず遠い目になり現実逃避しかけた。

無制限に生み出されるレシピ産の魔道具。
流石に想定外だったわ!!

そして出された魔道具は……

「こちらが通信の魔道具、こちらが自動販売機と呼ばれる販売用の魔道具、こちらが虫よけにこちらは従来のアイテムボックス以上の性能を誇るアイテムボックス、こちらは魔物を寄せ付けない結界の魔道具……」

次々にテーブルの上に出される魔道具。
出るわ出るわレシピ産の魔道具が。

その数に思わず開いた口が塞がらなかった。

すべて出し切るとアルフォートはこれで隠し事は無いと言わんばかりに清々しい晴れやかな顔になっていた。

「申し訳ございません、一時は私の判断で市場に出せる物もあるかと思いましたが、出てくる品物が品物なだけに全て仕舞いこんでおりました」

「……これらで全てか」

「現時点での全てです。 おそらく増えてます」

「増えてる?」

「増えてます」

この発言を聞いて釘を刺そうと心に誓った。


取りあえず転移門を一対貰い、魔道具は全てアイテムボックスごと渡してもらった。

アルフォートと私室に設置した転移門は常設してても問題ないよう別な場所へと互いに設置しなおした。

一応登城した名目がある以上アルフォートには下城もしてもらわねばならない。

王宮へと共に戻ると用が済んだアルフォートは下城していった。

人払いを解除すると執務室へ移動し、すぐさま従者を呼び寄せた。

「……ベルゲマン公爵へ公爵邸へ赴く旨連絡を入れろ」

「かしこまりました」

後日都合の付いたベルゲマン公爵へ笑顔で赴いた。

初めて見た父上のひきつらせた笑顔は良いものだった。

こうして情報の共有を行い、後日廃村への突発訪問へとつながった。



その後の出来事はこうだ。

隠し部屋へ転移門を設置。
改良された通信の魔道具は相互通話だけでなく、魔力を登録することで複数人と連絡を取ることが可能となっていた。

この通信の魔道具で一報を入れ秘密裏に移動。
それぞれ隠し部屋にて密談をするような流れになった。

とても便利なもので、不意に一人でのんびり過ごしたくなるとアルフォートへ連絡を入れ、廃村へ行き、温泉というもので、私のことを知る者がいない場所でのんびりと過ごす。
もしくは異国のお酒を嗜みながら父上やアルフォートと秘密裏の会合を行うようになった。

温泉に入りながら飲むお酒は旨い。

おかげで王宮で摂る食事の量が減り主治医に心配をかける羽目になった。

それと王宮では陛下が突然姿を消すという、前代未聞の騒動が起こった。

誰も転移門で移動しお酒を楽しんでいると言えない。
泣く泣く廃村へ行く頻度を落とし、食事も王宮で摂る事になってしまった。

理由を知っている妻のレオノーラには笑われてしまった。
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