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第三章
238話目
しおりを挟む「そうと決まれば私は部屋に行きますわ。 夕食は何時かしら?」
「はい、19時を予定してます」
「部屋でお過ごしの前に私から道具についてのご説明に伺っても宜しいでしょうか?」
私が食事の時間を伝えると、アルフォート様の隣に居たオリヴィア様がスッと隣に立ち頭を下げ、サフィリア様と王妃様にそう申し述べた。
「そうでしたね、レオノーラはこちらに来たことがありませんでしたね。 オリヴィア頼みます」
「頼んだぞ、ブリストウ夫人」
「かしこまりました」
サフィリア様と陛下からそう言われオリヴィア様は綺麗な所作で一礼をした。
「桜」
オリヴィア様が王妃様達に説明すると言う事は私はどうすればいいのか。
料理の準備? それは今回予約が済んでいるので私の出番はない。
料理の準備が無いならお酒の準備でもしようかな。
何が良いかな? お酒の好み分からないなと悩んでいたら長谷川さんに声を掛けられていたらしく肩を叩かれた。
「桜聞いてるか?」
「へ? なんですか?」
「……聞いてないな」
長谷川さんが呆れたような顔をしていた。
「陛下達のお供はアルフォート様が付く。 料理は予約したんだろ? お酒選びに迷っていると見たがどうだ?」
「……その通りですがよく分かりましたね」
「ビールの香りには目ざといんでね」
「自慢するところですか?」
「……まぁ冗談はさておき、オリヴィア様が王妃様達についてくれるんだろ? こっちはこっちで飲み物の準備をするぞ」
「手伝ってくれるんですか? ありがとうございます」
「駄賃はビールで頼むぞ」
「あはは、いくらでも用意しますよ」
陛下と公爵、アルフォート様がリビングでくつろいでいる。
お茶と茶菓子だけ用意し、私と長谷川さんとでキッチン側のテーブルでお酒選びを開始した。
「……前から思ったが桜のアイテムボックスにはどんだけ酒が入ってるんだ」
「えっとー……沢山」
10名以上で食事が出来るテーブル。
その上には所狭しとお酒が並べられた。
まずはワインから、フランス産やイタリア産等外国産の赤、白、シャンパンにスパークリングワイン。それと日本国内の葡萄の産地で生産されているワイン。 ワインだけで数十本はある。
それと海外のビールに日本の地ビール。
もちろん長谷川さんが好きなホームタップも用意してある。
そしてブランデーやウィスキー、日本酒や焼酎。
リキュール類も用意し、おまけで私が作製したあちらの果実酒も用意してみた。
あちらの果実酒は女性向けだ。 これは見た目だけでも可愛いから飲んでもらえても飲んでもらえなくてもどっちでもいいや。
もちろんオリヴィア様に飲んでもらった果物を使ったビールも用意してある。
ついでにアルコール分解できるポーションは用意してあるよ。
これでいくら飲んでも大丈夫。
でもいくらポーションがあるって言ったって胃には許容量がある。
流石にこれをいっぺんに飲めないので、リビングに背を向けて長谷川さんと相談して取捨選択しようとしていたら、
「ほぉ……」
「これはこれは……楽しみだな」
「圧巻だな」
リビングでくつろいでいた陛下達がやって来た。
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