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第三章
219話目
しおりを挟むアルフォート様の依頼から数日後
私達は領主の館に来ていた。
人選は私と高梨さん、相良さんだ。
応接室にてお茶を飲みながら領主が来るのを待っていた。
するとコンコンとドアをノックする音が聞こえた。
はい、と返事をすると扉の向こうからは長谷川さんの声が聞こえた。
ドアを開けて入ってきた長谷川さん。 その横には領主も渡り人も居ない。
不思議に思いその旨を問うと、別室に待機してあると返答があった。
「別室に待機ですか? ここに来るんではなく?」
「あぁ、俺一人では移動が厳しいんでな、3人を呼びに来た」
移動が厳しい? その言葉に私達3人が顔を見合わせた。
私達3人は長谷川さんの言う通りに後に付いて行く。
別の応接室にたどり着くと、先ほどの長谷川さんの言葉の意味が分かった。
「……これどういう状況ですか? 長谷川さん」
あまりの状況に私達3人は目が点になった気がした。
状況説明を求める高梨さん。 私もすごく気になるところだよ。
だってそこには椅子に座らせられ、耳にはヘッドホン、目は布で覆われ、手は拘束され、口元もタオルで覆われた人が2人と、その向かいに座る領主、アルフォート様がいた。
一見すると拉致られた被害者と拉致った加害者の図だ。
……いや、何か罪を犯した犯罪者と、拷問最中の取調官か?
「よく来てくれたね。 こちらはもう準備できてる」
アルフォート様は特に気にも留めずそう告げた。
突っ込みたい。 これは突っ込んでいいやつなのか?!
「……何か誤解しているみたいだから訂正しておくが、これはその2人と合意の上でだからな」
長谷川さんからの回答を得た。
……変態さん……かなぁ。
「一応言っておくが、2人の癖ではないからな。 と言うか桜が前言ったんだろ? 忘れんな」
んー……あ。
「言ってた。 言ってたけどそれよりもひどい状況じゃないですか?」
私が言ったのはせいぜい目隠しと耳栓ぐらいだ。
「私が足しておいた。 勝手に外されて困るから手枷を付け、長谷川の意見で匂いで分かるかもしれないと口元を覆う布を足した」
「やっぱり私の意見だけじゃなかったじゃないですか?!」
心なしか高梨さんが引いてる気がする。 私の癖ではないよ!!
「……ほったらかしにしないで連れて行ったらどうですか? なんだか震えてますよ」
相良さんの言葉で2人を見ると確かに震えてた。 人の気配が増えたのにそのまま放置って確かに怖いよね、ごめんなさい!!
「……癖は置いておいて、今から連れてっていいんでしょうか?」
「あぁ、頼む」
アルフォート様から許可を得て魔法を使用しカタログギフトを取り寄せた。
長谷川さんと相良さんに1冊づつ手渡し同時に入力して行く。
「あ、2人の名前教えて頂けますか?」
入力する段階で名前が分からない事に気づいた。
高梨さんから声が上がり、それに長谷川さんが反応する。
「相沢卓と、樋川猛だ。 俺の方で相沢の方を入力するぞ。 相良は樋川を頼む」
一人分の名前を入力した長谷川さんから紙を手渡される。
そこには漢字と振り仮名が書かれていた。
「分かりました」
それをもとに入力してもらい後は『はい』 を押すだけにする。
ちなみに私の物には自分の名前と高梨さん、長谷川さんが相沢さん、相良さんが樋川さんの名前を入力した。
そして長谷川さんが相沢さんを立たせ支え、相良さんが樋川さんの傍らに立ち立たせて支える。
ほぼ同時に『はい』 を押し景色が変わった。
私がまず受付を済ませ、高梨さんが長谷川さん、相良さんが受付を済ませる間に支えるのを変わる。
そうして受付を済ませると出口に向かった。 私が先導し、長谷川さんと相良さんがそれぞれ誘導し、高梨さんが後ろから補助をする。
旅館の入り口をくぐり館へと戻って来た。
「お帰り」
「戻りました」
2人をソファーに座らせ、私たちはお役御免となり廃村に戻った。
後日長谷川さんから話を聞いたら、私たちが帰ったあと2人の拘束を解きMPを確認してもらったそうだ。
本当に回復していて2人とも驚いていたと話を聞かせてくれた。
その後アルフォート様の館で拘束されるとMPが回復するとい噂が流れたとか流れないとか。
それは私たちが知ったことではないので聞き流しておいた
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