155 / 274
第三章
155話目
しおりを挟むその後自室に戻りサロンのソファーに寝転がり、ゴロゴロしながらカタログギフトとタブレットを見比べる。
「どこが良いんだろうー!!!!」
倉敷さん達はどこでも一緒だろうと戦力になり得なかった。
貴族の好みが分かりそうな長谷川さんは酔っ払ってお風呂に行っちゃうし……あーもう!!
あーもう……?
タブレットとカタログギフトを見比べる。
タブレットには宿の検索ページが表示されている。
宿の予約……ネット決済出来るよね?
もしかして……。
そう思い一度は泊まってみたい高級旅館top10というサイトを開く。
そこに書かれていた旅館名をコピーし検索、試しに宿泊予約を取ってみた。
……これで行けるようになる……かな?
これで行けるようになるなら一棟貸しのところも行けるんじゃないか?
カタログギフトじゃ選べなかったプランとか部屋とか宿泊数とか……かなり自由度度高まるよね。
あっちに戻ってからじゃインターネットは出来ないので部屋やプラン等はスクショしておく。
物は試しだと良さそうな宿を片っ端から予約していった。
廃村に戻ったのはよく自治のお昼頃、マッヘンさんの要望通り分解用の家電をマッヘンさんの部屋に出し、早々に自室に篭り魔法を使い確認するとタブレットで予約した宿はきちんとリスト入りしていた。
思わずガッツポーズをする。
これで幅が広がった!! なんだったら一泊10万越えの宿だっていけちゃう!!
とりあえず今日の宿はこの中からみんなに選んでもらおう。
そう思ってたらドアがノックされた。
「桜ちょっと良いか」
「はーい」
ドアを開けるとそこには倉敷さんがいた。
以前言っていた自販機について作り始めるらしい。
その要望の確認に来たとのことだ。
興味を惹かれたし、王族向けの旅館はあっちに行かないと検索できず手持ち無沙汰なので素材倉庫係として見学することにした。
向かったのは倉敷さんの部屋ではなく幌馬車の傍、雑草を刈った空き地だ。
そこには絶賛家電分解中のはずのマッヘンさんと菅井さんも居た。
「外でやるんですか?」
「あぁ、色々出すには室内じゃ狭いからな」
「色々?」
「そうだ」
一個じゃないの? そんな疑問が湧いた。
「少し離れてろ」
倉敷さんにそう言われたので何やら魔道具を解析しているマッヘンさんの隣に行った。
「何ですか? それ」
「簡易転位門だよ」
「転位門?」
私の問いに答えてくれたのは菅井さんだ。
「門にしては……随分ちっちゃいですね」
その魔道具は一見すると一対の木枠だ。 卵が一個通るくらいの大きさだった。
「最近はこんな感じで作るんだ。 レシピ産は魔力がかかるからね。 小さいのを作ってマッヘンさんが解析してその理を読み解いて組み合わせて大きいのを作るんだ。 いまマッヘン爺が見てるのが転位門で、これは座標を指定する魔道具」
「そうなんだ。 でも何で転位門?」
「街とここを行き来しやすくする為らしいよ。 なんか持ってくるの忘れた物があったみたいで不便だって言ってた」
「そうなんだ!」
行き来出来るようになれば灯里も誘いやすくなるね。 部屋に一人じゃつまんないもの。
そんな話をして倉敷さんを見れば地面にレシピ産の小さい魔道具を出しては置いて行っている。
どれも一見だけではどうやって使うのか分からないものばかりだ。
自販機も確かに二千万以上魔力使うって言ってたもんね。
「桜、カタログギフト」
「はーい」
連続使用で魔力が少なくなった倉敷さんにカタログギフトを渡す。 その場で使うと1分も経たずに戻ってきた。 本当に回復に行くだけなんだね。
「私も何か手伝いますか?」
「手伝い? ……そうだな、レシピを置いて行くから魔法で出せるものはそこに置いていってくれ、俺の魔力の節約になる」
「置くんですね? レシピの上でいいんですか? 側ですか?」
「レシピの上でいい」
「分かりました」
そう言って地面に置かれたレシピを見る。
なになに……遠隔補充? 材料は……キラーアントの顎二つにキラースパイダーの糸5束にハーピーの羽一対……。 なんか脈絡ないね。
「なら僕は魔石置こうか?」
「ああ、大きさはレシピに書いてある」
「はーい」
そうやって役割分担をして魔道具を作っていった。
2
お気に入りに追加
724
あなたにおすすめの小説
空間魔法って実は凄いんです
真理亜
ファンタジー
伯爵令嬢のカリナは10歳の誕生日に実の父親から勘当される。後継者には浮気相手の継母の娘ダリヤが指名された。そして家に置いて欲しければ使用人として働けと言われ、屋根裏部屋に押し込まれた。普通のご令嬢ならここで絶望に打ちひしがれるところだが、カリナは違った。「その言葉を待ってました!」実の母マリナから託された伯爵家の財産。その金庫の鍵はカリナの身に不幸が訪れた時。まさに今がその瞬間。虐待される前にスタコラサッサと逃げ出します。あとは野となれ山となれ。空間魔法を駆使して冒険者として生きていくので何も問題ありません。婚約者のイアンのことだけが気掛かりだけど、私の事は死んだ者と思って忘れて下さい。しばらくは恋愛してる暇なんかないと思ってたら、成り行きで隣国の王子様を助けちゃったら、なぜか懐かれました。しかも元婚約者のイアンがまだ私の事を探してるって? いやこれどーなっちゃうの!?
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
異世界に転移したので国民全員の胃袋を掴みます
りゆ
ファンタジー
じゅわわわわっっ!!!
豪快な音と共にふわふわと美味しそうな香りが今日もセントラル家から漂ってくる。
赤塚千尋、21歳。
気づいたら全く知らない世界に飛ばされていました。まるで小説の中の話みたいに。
圧倒的野菜不足の食生活を送っている国民全員の食生活を変えたい。
そう思ったものの、しがない平民にできることは限られている。
じゃあ、村の食生活だけでも変えてやるか!
一念発起したところに、なんと公爵が現れて!?
『雇いシェフになってほしい!?』
誰かに仕えるだなんて言語道断!
たくさんの人に料理を振舞って食生活改善を目指すんだ!
そう思っていたのに、私の意思に逆らって状況はあれよあれよと変わっていって……
あーもう!!!私はただ料理がしたいのに!!!!
前途多難などたばた料理帖
※作者の実体験をもとにして主に構成されています
※作中の本などは全て架空です
転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~
桜月雪兎
ファンタジー
祖父に勘当された叔父の襲撃を受け、カイト・ランドール伯爵令息は幼い弟妹と幾人かの使用人たちを連れて領地の奥にある魔の森の隠れ家に逃げ込んだ。
両親は殺され、屋敷と人の住まう領地を乗っ取られてしまった。
しかし、カイトには前世の記憶が残っており、それを活用して魔の森の開墾をすることにした。
幼い弟妹をしっかりと育て、ランドール伯爵家を取り戻すために。
自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。
女神の話によれば、異世界に転生できるという。
ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。
父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。
その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。
食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。
そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる