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第三章

138話目

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どんどん進むお酒の量。

私は長谷川さんの目を盗んでようやく念願のカクテルを手にする事ができた。

お店のテーマと同じカクテル。 

夕焼けから夜へと変わるようなグラデーションで混ぜてしまうのが勿体ないくらいだ。

「それは?」

延々とビールを注文され続けた領主の目に止まったらしい。

「ここのオススメのカクテルみたいです。 まだ飲んでいないので味はまだ分かりませんが」

「では私も次はそれにしよう」

「なに?!ビールを旨い旨いと飲んでたじゃないか! 浮気するのか?!」

「もう5杯は飲んだだろ!!  駆けつけは3杯までじゃなかったのか?!」

「うるさい!! 浮気者!!」

長谷川さん?! すごく酔っ払ってない?! 大丈夫?!

領主に対し管を巻く様子にびっくりした。
って領主もビール5杯付き合ったの?! 偉いな。

「長谷川さんもこれを機会に違う飲み物にしてみてはいかがですか? ここ他にも飲み物ありますよ。 ワインとかウイスキーとか」

「俺は今日はビール一筋だ!! ビール以外は受け付けん!!」

「そうですか」

ならば勝手に飲んでくれ。

「相楽さんは何か……」

そう言って相良さんを見ればワインを飲んでいた。

「良いワイン揃ってますよ」

いつの間に……。

確かに注文した料理にはワインが合いそうだ。

「いえ、私にはカクテルがありますので」

断りを入れて夜空色のカクテルを混ぜずに口に含んだ。
……美味しい。 見た目では分からなかったけど、柑橘系のカクテルだ。 

軽くマドラーで混ぜる。 夕暮れの色が夜空色と混じり合っていく。 あ、粒が入ってる。 水流に巻き上げられた粒がまた良い感じだ。

オマール海老を切り分けて食べた後に飲む。

………飲み物も食べ物もそれぞれ美味しいけど海老を食べた後だとなおさら甘く感じてしまう。
バーベキューとかで缶チューハイ片手に焼いた海老を食べる感じに似てて、それぞれ美味しいけどなんか残念な感じになってしまった。

そう思いカクテルを一気に飲み干す。

……せっかくだから私もワインいただこうかな?

メニュー表を眺めながら白ワインを注文した。

「ところで……」

領主も豊富にあるウィスキーに心なしか目を見張り店員に注文をする、その後で話しかけられた。

「なんでしょうか?」

「この間話していた円を使用する話、具体的にどう使うのか聞いても良いか?」

あぁ……あのぼんやり許可とったやつか。

「はい。 商業ギルドで金貨一枚に対し100円で両替をしこちらの商品を販売する予定です」

「金貨一枚で円が100?  差し支えがなければ100でどういうものが買えるのか見せてはもらえないだろうか?」

「あ……今は魔法が使えないのであちらの世界に戻ってからでも良いですか?」

「ん? 魔法と関係するのか?」

「はい。 魔法で取り寄せする場合、私がこちらの世界で物を購入するときにかかったお金、円がそのまま必要魔力になります」

「ふむ?」

ピンと来ていないようだ。  なんて説明したらいいのかなと思うとメニュー表が目に入った。
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