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第三章

119話目

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「地図を広げてどうすんだ?」

国の地図を新しく取り寄せ机に広げる。 ついでにペンをアイテムボックスから取り出した。

「これって希釈どれくらいなんですかね?」

「さあな」

「まあ……だいたいでいいか」

こうしてみるとこの街はこの国の北に位置している。

この前スタンピートが発生した森を挟んでさらに向こうに国境がある。

隣接している箇所は灰色で示され森と表記されてる。

まずは赤ペンでカタログギフトを使用したネーアの街に丸で印を付ける。

下級地竜がいた場所に青いペンでバツをつける。

ネーアの街を中心に地竜との距離を半径にしてぐるっと円を書く。

同じように王都に丸で印をつける。

倉敷さんとマッヘンさんは地図を興味深そうに覗き込んでいる。

「倉敷さん、マッヘンさん、王都のスタンピートの発生場所ってどの辺ですか?」

「んーどの辺なんじゃろうな?」

「相良が場所も言わずに飛び出したからな」

二人とも腕を組み考え込んでしまった。

「で、それがどうしたって言うんだ?」

「いやーこうすれば大体目安がわかるかなと思って……あとは人が居ない場所まで行って使おうかな……と」

そうすれば少なくとも魔獣が減って仕事がない! とかはなくなるはず。

「結局使うんかい」

マジマジと地図を見ていた倉敷さんからツッコミが入った。

「人に迷惑かけなきゃ使いたいさそりゃ」

「ネーアの街では使わない気か?」

「最低でも領主様に許可を貰わなくちゃ。 面会要求が来てたからその時に前回のスタンピートの謝罪をする。 その時にカタログギフトのことも話すつもり」

「律儀なことだな。 別にバレなきゃいいだろうが、相良が対処できんだから。 ……嬉々として魔法ぶっ放すぞあいつ」

「まあそうだね」

スタンピートの時の相良さんの様子からして容易に想像ができたので笑うに笑えない。

「ここの森って結構広いんですね」

スタンピートが発生した森を見る。

ネーアの街から地竜が出た場所は地図上で見ると結構近い。

実際は調査に1週間かかる距離だったはず、の割に森の奥までの距離は、ネーアの街から地竜の場所までの距離の4、5倍ほどある。

「広いぞ。 国境まででこれじゃからな。 この先にもさらに不可侵の森が広がっておる」

「不可侵の森?」

「どの国の所有でもない森のことじゃ。 魔獣が強すぎて侵攻できないんじゃ」

「そんな森が……あ」

「ほーなら人はいなさそうだな」

「相良さんなら退治できますかね?」

「私がどうしましたか?」

「いやーここの魔獣退治できるかなって……相良さん!? いつの間に?!」

不可侵の森を見ながら3人で話をしていると渦中の相良さんが帰ってきてた。

「ついさっき戻りましたよ? 何やら皆さんが真剣に話されてたので声を掛けずにいました」

「声かけてくださいよ! ビックリしましたよ」

「なあ、相良ならここの魔獣退治出来るか?」

相良さんの出現にビックリしていたのは私だけだったみたいで倉敷さんとマッヘンさん平然としていた。

「あーここですか? ……そうですね私は好きですよ。種類豊富で」



種類豊富で?

「もー相良さん置いてくなんて酷いですよ」

話を聞いてたら菅井さんも帰ってきた。

「なら問題なさそうだな 。 おし、行ってみるか」

「今からですか?!」

「鋼。 馬の手配してこい」

「へ? 今返してきたばっかりだよ?」

「いやいやいやいや、どれだけかかるんですか! 私と相良さん領主様と面会があるんですよ」

倉敷さんに、何言ってんの? お前。 みたいなすごい不思議そうな顔された。

「行くとしたら面会してからですよ」

そう言ったら倉敷さんとマッヘンさんにすごくガッカリされた。


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