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第一章

54話目 検証2

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「………残金不足の為購入出来ません?」

え?支払い来月だよね?

カードの残額が無いのか?と思って見てみても普通なら使えるくらいある。

何でだ?

残金…今ある1429円以内なら買えるのかな?

試しにレトルトパウチを一つ購入する。

「………買えた」

残金を見たら900円になってた。

…………送料高っ!!

何で79円の買うのに送料450円?!

うぐぐぐ…。

ネットで買うにはネットバンキングにお金がないとダメなんだ。

分かったのは良かったけど結構痛手だ。

えっと今の手持ちは14000円弱、ここもATM無さそうだし、カードは同じ理屈だとネットバンキングにお金がないと使え無さそう。

いやそもそもこっちの私の生活があるからお金下ろすわけにいかないじゃん!

というかこっちの私今どんな状態?!

私二人いるじゃん!!

もう…せっかくこっちに来れる手段が見つかったのにお金がなーーーーーい!!!

ここにもショップ有りそうなのに!!一度買えばあっちだと出し放題なのに!!

何かないか…何か…………。

ネットバンキングの画面を睨みつけているとふと宝くじの文字が目に入った。

あ。

あ!!!!!

宝くじのページを開くとBICとロトの文字があった。

ロトのページを開き過去の当たり数字を見る。

物は試し。物は試し!!

過去一年分のスクショを撮る。

もう一回戻って日付選び直せば………。

もしかしての可能性に心臓の動きが速くなる。

落ち着け落ち着けと深呼吸する。

その途中ちらりと灯里を見ればどうやら電話中みたい。

涙ぐみながら話をしている。

家族かな?確か5年もあっち行ってたんだもんね。ホームシックになるよね。って時間軸大丈夫?話し合うの?

そこら辺は後で聞いてみるかな?

私も電話………は別にいいや。異世界行ってまだ1週間程だし。

それよりもネットが使えるなら何か調べておこう……!

そういえばお酒!度数高めるには…焼酎とかブランデーの作り方検索しておこう。

氷砂糖もか。果実酒全部材料あっちのもので作れるかも!

ネットで検索しスクショを撮ったりしてたら灯里の話が終わったみたいだ。

「桜お待たせ」

「大丈夫?」

「うん。久しぶりに家族と話せた。ダメだね…私涙腺緩んじゃって……不審がられちゃった」

涙目でえへへと笑う灯里。

「……話せて良かったね」

「うん!」

純粋に喜ぶ灯里が眩しかった。

欲まみれでごめんね!

「さて、お風呂に行こうか!どっちがいい?展望?それとも普通の露天風呂?」

「んー展望風呂から行こう!食事も最上階だし」

「分かった!」

エレベーターで最上階に着くと足元には毛足の短い絨毯が敷かれていた。

「桜見て!」

そう灯里に言われてみれば壁の一角がガラス張りの窓になっており景色を眺めるスペースがあった。

そこにはソファーとテーブルが置かれてあり湯上がりの休憩スペースのようだ。

窓の外は砂利が引かれ木が植えてあった。その奥に見えるのは海。

「いい眺めだね」

「うん。早く入ろう!」

二人で脱衣所へ向かい服を脱ぐと浴場へ足を進めた。

「うわぁ」

「すごい」

ガラスの扉を開けてタイル張の床の上に立つ。

浴槽は二つ、洗い場は左右に分かれていた。

そして目の前に入ってきたのは壁一面ガラス張りの窓。
 
その向こうは水面がきらきら光り地平線が望める大海原だった。

「展望風呂ってだけのことあるね」

「うん…!」

早速体を洗い湯船へ移動した。

熱めのお湯が身体に染みる。

「あー…………」

「良いお湯ーー……」

二人が入ることによって湯船からお湯が溢れた。

「幸せー」

「まさかこんな事が出来るなんてね」

魔法の力ってすごい。

海を見ながらゆったりと湯に浸かった。

「そう言えば、家族との話ってどうだったの?灯里のいた時間と同じだったの?それとも進んでたの?」

「時間?………ああ、5年経ってた」

「でも神様の話じゃ使い切ったら元の身体に戻るんじゃないの?」

「そうだと思うんだけど…何でだろう?桜の魔法だからかな?だって私魔力使い切ってないもん」

「じゃあ会話分からないことあったんじゃないの?今の灯里が何してるか分からないじゃない?」

「………なんかね、なんとなくなんだけどぼんやりと思い出せたの」

「思い出せた?」

「うん。私こっちに居ないはずなのに、あっちに行ってからの5年間の記憶が話しているうちに思い出せたというかなんというか…」

「不思議だね…」

こっちの灯里は今一人暮らしして働いているらしい。ギルドで働いてた経験からか接客業に就いてるみたい。

しばらくのんびりと湯に浸かり上がると新しいものに着替えさっきの休憩スペースで寛いだ。
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