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第一章

14話目 スイーツ巡り1

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「……まずはチョコレートを売ってるところね」

クイナさんに連れられてやってきたのは表通りに面した可愛らしい外観の建物だ。

外にもテーブルが置かれている。

中へ足を踏み入れるとちらほらお客さんが座っていた。

空いている席に腰を下ろすと店員さんがメニューを持ってやって来た。

「ここのオススメはドライムムスを使ったシフォンケーキよ」

「えー私はルクナッツのタルトが好きだなー」

ムムス? ルクナッツ? どんな食べ物だろう。

「何ですかそれ? どんな味なんですか?」

「そっか。 こっちの世界の果物は食べたことないんだもんね……じゃあレガージュの実を使ったケーキも注文しちゃおう!」

そう言うとクイナさんは店員さんに声をかけ注文した。 ついでに飲み物もお任せで注文してもらった。

「こっちの食べ物全部が初めてだね。 ……ふふ、なんか嬉しい」

待つこと数分で注文した物がテーブルに並べられた。

「何これー!!」

ドライムムスのシフォンケーキは、クリームを除き全体的にオレンジ色だった。

「まずはクリームを付けないで食べてみて」

クイナさんが木製のフォークを差し出してくれたので、受け取り一口食べた。

「何これー!!」

シフォンの生地は甘くムムスと思われる果実は酸っぱかった。 食感がサクッともショリともなんとも言えない食感で楽しい! りんごに似てるけどなんか違う。美味しい!

「ふふ……次はクリーム付けて食べてみて」

言われるがままクリームを乗せて食べてみた。

「……………合うぅうう!」

「でしょ!!」

クリームは重めでコッテリしている。 口の中が甘くなったと思ったら後からくるムムスの酸味ですっきりする。

「これ何個でもいけますね!!」

「でしょ!!」

首が心配になるくらい頷いてくれるクイナさん。 よっぽど好きなんだな。

「はいはいはい! 次はこっち!」

ドライムムスのシフォンケーキのお皿を押し除けルクナッツのタルトが差し出された。

表面はカラメリゼされ光沢がある。

フォークを上から突き立てるとパキッとカラメルが割れる。

ナッツの下からはクリームがとろけて出てきた。

「うまっ!!」

カラメルの仄かな苦味と濃厚なルクナッツ、あっさり目なクリームにサクサクのタルト生地。

甘い物が食べたいって時に食べたらさらに美味しく感じそう。

とか思ってる間に半分食べてしまった。

「……消えた」

「いや、食べてたから」

あははははと笑うイリスさん。

「ルクナッツってなんて言うか濃いんだよね。 油っこいの。 塩で炒って食べるのも美味しいんだよ!」

「つまみに良さそう」

今度市場で探そう。 そう心に決めた。

「じゃあ今度はレガージュの実のケーキね」

残ってたシフォンケーキを平らげたクイナさんは楽しそうにケーキのお皿を差し出してきた。

見た目は至って普通のケーキだ。 生地が黄色い……チーズケーキっぽい色だな。
白いクリームに乗っている果物は桃っぽい。

そしてフォークを突き立てた。

「?」

「うふふっ」

なんか変な感触だ、シュワっとしてる。 スフレチーズケーキに似てるけどなんかおかしい。

「!?」

「あはははっ」

私が左右に首を傾げてフォークを入れてるので、クイナさんとイリスさんは声を出して笑ってる。

「っ!! シュワシュワしてる!」

スフレチーズケーキなんんて目じゃない! 果物からスポンジケーキまで全部シュワシュワしてた。

微炭酸の酸味の強い桃にピリピリしたクリーム、シュワシュワしたスフレ生地。 何だこれ。

「どう? こっちのケーキも捨てたもんじゃないでしょ?」

「はい!!」

面白い。 こっちの世界の食べ物面白い!

「楽しんで頂けてるようですね」
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