18 / 30
一緒に入ろう (R15描写あり)
しおりを挟む晩御飯の後、部屋の照明を落として、覚お勧めの映画のDVDを観てたんだけど、俺は画面と夜景と覚の横顔を交互に見てた。
そしたら視線がうるさかったのか、少しして覚が はぁ…と溜息を吐いた。
「緋夜、そんなに見られると気が散るよ。」
「ごめん、、、。」
だって、夜景も覚の横顔も綺麗で、現実味がなくて。
でも、悪い事しちゃったな、としょんもりしてしまう。
すると覚はよっこらせ、と俺を自分の足の間に乗せた。
「落ち着いて観てな。」
「はい…。」
集中しよ。
先刻迄の日常展開から話は進んで、画面の中ではヒーロー達が戦っている。
臨場感が出ていて、今度は自然と引き込まれた。
何時の間にか、俺の首筋には覚の吐息と唇が触れていた。
片腕は腹に回り、片手は太腿の内側を撫でている。
それに気づいて、俺は少し焦った。
けれど覚の手はゆっくりと脚を撫で、腹を撫で、胸を撫で、喉を撫で上げ、顎の形を確かめるように指先で撫でる。
その指が唇迄到達した頃には、もう俺の吐息は熱く湿ってしまっていた。
覚の手、気持ち良すぎる。
俺の張りかけた股間の盛り上がりが服の布越しに撫でられる。
「あぁ…ッ」
声が出てしまった。
覚は俺が拒否しないのを見て安心したのか、その手の動きは途端に大胆になる。
盛り上がりを撫で回され、硬くなったのを確認するようにつつかれて、ジッパーを下ろされた。
下着ごとジーンズを下ろされ、張り詰めた俺のモノが露わになる。
「…ぁ…」
「元気に勃ってるね、緋夜。」
覚の長い指が俺のモノに絡みついて、その人差し指の腹が先端を撫でると、既に先走りが出ていたのか ぬちゅ、とヌルついた。
「あっ…さと…!」
「可愛い…緋夜…たまんないよ…止められない。」
そのまま耳を食まれながら屹立を慰められて、俺は覚の胡座の中で快感に鳴かされた。
「大丈夫?」
「…覚のすけべ。」
バスタブに溜まった湯は乳白色。
「気分だけでも温泉、ね。」
と、覚が温泉の素を入れてたからだ。
浴室暖房は程良く、お湯は温かい。先刻と同じように覚に抱え込まれて入ってるのは、俺の足腰が今ちょっと覚束無いから。
だって、2年振りに人に触られた。
久々の他人の手でイカされて、あまりの快楽に腰が抜けそうになったんだ。仕方ない。
比べちゃ駄目だとは分かってるんだけど、春兄の常にソフト過ぎる触り方より、ソフトながらも適度に力と圧がかかる覚のねちっこい触り方の方が俺には合う。
わかってるな~って感じがするのだ。
あの後俺をイカせて手のひらに白濁を受け止めた覚は、それを舌に掬って味を確認していた。
やめて欲しい。本人の目の前でそれはやめてほしい。
そう言ったら、
「本人の前だから舐めるんじゃん。」
と返されて、セクハラかなと思う。
「男は皆こんなもんでしょ。
緋夜だってえっちな顔してたじゃん。」
と言われて返す言葉もない。
真っ赤になったまま沈黙してる内に、覚は風呂の用意をして、固まったままの俺の服を脱がせて抱き上げ、バスルームに運んだのだ。
「これからは此処にいる間は、緋夜は王子様だよ。
だから、自分で何もしちゃダメだからね。」
俺の髪をわしゃわしゃシャンプーしながら、覚はそんな妙な事を言う。
「王子様って…」
王子様は、覚の方じゃないか、と、何とか目を開けて前の鏡越しに覚を見ると、すごい笑顔を向けられた。
何?何の遊び?
「お姫様扱いは嫌でしょ?だから王子様。」
「…あんま変わんないんじゃ?」
覚はあははと笑って、シャンプーの泡が落ちてぬるぬるになった俺に、背中から抱きついたのだった。
それが、10分前の話。
バスルームも広いなあ、と俺は感心して見回した。
覚は几帳面なのか、隅々迄綺麗にしてる。
「このマンション、賃貸?」
聞いてしまった。不躾だったかな。
「んーん。これは俺が祖父さんから生前贈与された部屋。
大学から近いからラッキーだったよ。」
「ふ、ふーん…。」
やっぱαってセレブが多いのかな。学校から近いのは良いよね。
「凄いね、覚の家なんだ。」
「俺、もう実家が無いからさ。両親が離婚してて、祖父さんちに引き取られてたから。」
「え。そうだったの?ごめん…。」
「何言ってんの。良くある話でしょ、こんなの。
それに、そうは言っても離婚時に俺は高校生になってたし、両親もそんなに揉めて離婚した訳でもなかったし。
ウチの親、母は元々実母でもなかったしね。」
「えっ、お母さん再婚?」
「いや、う~んとね。
俺、父親と父親の番だった実母との間に産まれた子供なんだよ。でも、実母は俺を産んで直ぐ亡くなってさ。体が弱かったみたい。」
「…」
覚はなんでもない事みたいに続ける。
「で、父は赤ん坊の俺を引き取って、会社の取り引き先の社長の娘だったβ女性と結婚した。つまり、高校迄は俺はその義母に育てられたんだ。」
「そうだったんだ…。」
「凄くサッパリした、素敵な人だよ。俺は今でも義母が好き。たまに会うし。」
「そうなの?!」
てっきりしんみりした話が来ると思って身構えてた俺は、素っ頓狂な声を出してしまった。
32
お気に入りに追加
919
あなたにおすすめの小説
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
嘘の日の言葉を信じてはいけない
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。
純情Ωの願いごと
豆ちよこ
BL
オレの幼なじみは銀河一可愛い!
オメガの松永理央の世界の中心は幼なじみの久住七央。同じオメガでも七央は別格。可愛くて可憐で儚げで…。オレが守ってあげなくちゃ!彼の幸せの為ならどんな事も頑張れる。そんな理央の前に、あるパーティで七央に一目惚れしたアルファが現れた。アルファ御三家の一つ、九条家の三男、流星だ。この人ならきっと七央を幸せにしてくれる。そう思い二人を応援しようとするのだが、どうにも上手くいかなくて。おまけに何だかもやもやもする。七央の幸せを願ってるはずなのに、日増しにもやもやは募るばかりで……。
▷▷▷▷▷▷▷▷▷
自己解釈&自己設定盛り込みまくりのオメガバースです。
全年齢考慮の健全なオメガバースをコンセプトに創作しました。エロ無しオメガバ……難しかった。
好きになるつもりなんてなかった
いちみやりょう
BL
高校から外部生として入学した学校で石平 龍介は生徒会長の親衛隊長をお願いされてしまう。
龍介はおじさんの教えで“情けは人のためならず”を思い出して引き受けてしまった。
ゲイやバイを嫌っているという噂の生徒会長。
親衛隊もさることながら親衛隊長ともなればさらに嫌われると言われたが、
人を好きになったことがない龍介は、会長のことを好きにならなければ問題ないと思っていた……。
なぜか大好きな親友に告白されました
結城なぎ
BL
ずっと好きだった親友、祐也に告白された智佳。祐也はなにか勘違いしてるみたいで…。お互いにお互いを好きだった2人が結ばれるお話。
ムーンライトノベルズのほうで投稿した話を短編にまとめたものになります。初投稿です。ムーンライトノベルズのほうでは攻めsideを投稿中です。
捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる