番、募集中。

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一緒に入ろう (R15描写あり)

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晩御飯の後、部屋の照明を落として、覚お勧めの映画のDVDを観てたんだけど、俺は画面と夜景と覚の横顔を交互に見てた。
そしたら視線がうるさかったのか、少しして覚が はぁ…と溜息を吐いた。

「緋夜、そんなに見られると気が散るよ。」

「ごめん、、、。」

だって、夜景も覚の横顔も綺麗で、現実味がなくて。

でも、悪い事しちゃったな、としょんもりしてしまう。
すると覚はよっこらせ、と俺を自分の足の間に乗せた。

「落ち着いて観てな。」

「はい…。」

集中しよ。
 
先刻迄の日常展開から話は進んで、画面の中ではヒーロー達が戦っている。
臨場感が出ていて、今度は自然と引き込まれた。


何時の間にか、俺の首筋には覚の吐息と唇が触れていた。
片腕は腹に回り、片手は太腿の内側を撫でている。

それに気づいて、俺は少し焦った。
けれど覚の手はゆっくりと脚を撫で、腹を撫で、胸を撫で、喉を撫で上げ、顎の形を確かめるように指先で撫でる。

その指が唇迄到達した頃には、もう俺の吐息は熱く湿ってしまっていた。

覚の手、気持ち良すぎる。

俺の張りかけた股間の盛り上がりが服の布越しに撫でられる。

「あぁ…ッ」


声が出てしまった。

覚は俺が拒否しないのを見て安心したのか、その手の動きは途端に大胆になる。
盛り上がりを撫で回され、硬くなったのを確認するようにつつかれて、ジッパーを下ろされた。

下着ごとジーンズを下ろされ、張り詰めた俺のモノが露わになる。

「…ぁ…」

「元気に勃ってるね、緋夜。」

覚の長い指が俺のモノに絡みついて、その人差し指の腹が先端を撫でると、既に先走りが出ていたのか ぬちゅ、とヌルついた。


「あっ…さと…!」

「可愛い…緋夜…たまんないよ…止められない。」


そのまま耳を食まれながら屹立を慰められて、俺は覚の胡座の中で快感に鳴かされた。





「大丈夫?」

「…覚のすけべ。」

バスタブに溜まった湯は乳白色。

「気分だけでも温泉、ね。」

と、覚が温泉の素を入れてたからだ。

浴室暖房は程良く、お湯は温かい。先刻と同じように覚に抱え込まれて入ってるのは、俺の足腰が今ちょっと覚束無いから。

だって、2年振りに人に触られた。
久々の他人の手でイカされて、あまりの快楽に腰が抜けそうになったんだ。仕方ない。

比べちゃ駄目だとは分かってるんだけど、春兄の常にソフト過ぎる触り方より、ソフトながらも適度に力と圧がかかる覚のねちっこい触り方の方が俺には合う。

わかってるな~って感じがするのだ。

あの後俺をイカせて手のひらに白濁を受け止めた覚は、それを舌に掬って味を確認していた。

やめて欲しい。本人の目の前でそれはやめてほしい。
そう言ったら、

「本人の前だから舐めるんじゃん。」

と返されて、セクハラかなと思う。

「男は皆こんなもんでしょ。
緋夜だってえっちな顔してたじゃん。」

と言われて返す言葉もない。

真っ赤になったまま沈黙してる内に、覚は風呂の用意をして、固まったままの俺の服を脱がせて抱き上げ、バスルームに運んだのだ。

「これからは此処にいる間は、緋夜は王子様だよ。
だから、自分で何もしちゃダメだからね。」

俺の髪をわしゃわしゃシャンプーしながら、覚はそんな妙な事を言う。

「王子様って…」

王子様は、覚の方じゃないか、と、何とか目を開けて前の鏡越しに覚を見ると、すごい笑顔を向けられた。


何?何の遊び?


「お姫様扱いは嫌でしょ?だから王子様。」

「…あんま変わんないんじゃ?」

覚はあははと笑って、シャンプーの泡が落ちてぬるぬるになった俺に、背中から抱きついたのだった。

それが、10分前の話。


バスルームも広いなあ、と俺は感心して見回した。

覚は几帳面なのか、隅々迄綺麗にしてる。

「このマンション、賃貸?」


聞いてしまった。不躾だったかな。

「んーん。これは俺が祖父さんから生前贈与された部屋。
大学から近いからラッキーだったよ。」

「ふ、ふーん…。」

やっぱαってセレブが多いのかな。学校から近いのは良いよね。

「凄いね、覚の家なんだ。」

「俺、もう実家が無いからさ。両親が離婚してて、祖父さんちに引き取られてたから。」

「え。そうだったの?ごめん…。」

「何言ってんの。良くある話でしょ、こんなの。
それに、そうは言っても離婚時に俺は高校生になってたし、両親もそんなに揉めて離婚した訳でもなかったし。
ウチの親、母は元々実母でもなかったしね。」

「えっ、お母さん再婚?」

「いや、う~んとね。
俺、父親と父親の番だった実母との間に産まれた子供なんだよ。でも、実母は俺を産んで直ぐ亡くなってさ。体が弱かったみたい。」

「…」

覚はなんでもない事みたいに続ける。

「で、父は赤ん坊の俺を引き取って、会社の取り引き先の社長の娘だったβ女性と結婚した。つまり、高校迄は俺はその義母に育てられたんだ。」

「そうだったんだ…。」

「凄くサッパリした、素敵な人だよ。俺は今でも義母が好き。たまに会うし。」

「そうなの?!」


てっきりしんみりした話が来ると思って身構えてた俺は、素っ頓狂な声を出してしまった。





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