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食事問題。

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俺の承諾にモリオン様はぱあっと顔を輝かせた。

うっ…眩しっ
超絶美形の会心の笑顔って心臓に悪い。

「礼を言う!!生涯大切にしようぞ!!望むものは何でも申せ!!」

「あ、いやそんな。」


何でもって言われてもな…。

そいや俺、嫁さん欲しかった以外って、特に欲しいもんって無かったな。

服に金をかける事も無かったし、宝飾品にも興味無かったし、特別な趣味を持ってた訳でも無かったし…。

それに…ここ、魔王様の城だろ?
部屋の内装も下手したら王城の部屋より広いし豪華に見えるし、このベッドなんかやたらでかいよ?
あ、でも食事とかってどうなってんだろ。
だってさっきの言い方だと、もう俺からしか栄養摂取出来ないみたいな感じじゃなかった?


「あの、モリオン様ってあの…もう普通のお食事はなさらないのですか?」

「ああ…食えぬ事は無いが…味はせぬな。」

「あ、ああ~…なるほど。
あ、あの…モリオン様はそうとして、俺もそうなってるんでしょうか?」

いやまさかな。
モリオン様と同じように、伴侶の精しか…とか、そんな事になってないよな。

いやもしそうなってたら食事のハードルがエラい事上がるんですが。

しかしモリオン様は言った。

「いや、人間と魔族とは体の作りが違う。リクはこれ迄通り人間の食事が必要だ。
なので、リクには我の為にもたらふく栄養をつけてもらわねばならぬゆえ、人間で腕のよい料理人を確保しておる。」

「そうなんですか!!」

良かった!!
食事問題あっさり解決!!
しかも腕が良いだって。楽しみになってきたな~。

……ん?人間?

人間、魔界にそのまま住めないんじゃ?

「大事無い。
彼奴もリクのように魔族と番いとなった者よ。」

「あ、そうなんですか。」

「魔族が人間を連れて来て伴侶にする事は珍しい事では無いゆえな。」

「へえ。」

そうなのか。
なら此処にも結構人間はいるのかもしれないな。
その内会えるだろうか。
よし、少し気分が明るくなってきたぞ。

そんな俺の表情をじっ、と見ていたモリオン様が、

「リク、晩餐の用意はさせておるゆえ、少しよいか。」

と顔を覗き込んで来た。
 
「はい、何でしょう?」

じっ、と見返すと、モリオン様が少し恥ずかしそうにもじもじしながら、

「我も…腹が減っておる。」

と言う。

腹が…あー、つまりそれって、、、

「くちづけをくれぬか。」

そういう事だよな。


「これでも3年、我慢しておるのだぞ…。」

モリオン様は、少し唇を尖らせて言う。

そんな仕草が可愛いと思ってしまうのは、モリオン様が綺麗なせいだけではなくて、俺がだいぶ絆されているからだろうか。

一つの部屋の中でずっとこのお方を見ていると、どんどん感覚が麻痺していってるような気がする。
モリオン様は魔王らしい外見的特徴をしてはいるし、そこから感じる禍々しさもあるけれど、俺には不快ではない。
伴侶になったからだろうか。
寧ろ、楚々とした顔やほっそりした体型は頗るタイプだ。男だけど…。正直、同じ美人ならあの姫様より断然好みなんだよなあ。
只、男…なんだよなあ~…。

キスは出来る。全然出来る。
だけど…ずっとキスだけって訳にはいかないんだよね?


男同士って、どうやるんだ??


女の子とのやり方すら知らない俺は途方に暮れた。




取り敢えず 小腹満たしてもらう為に、キスしておくか…。






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