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17 現時点では羨ましいより恐怖が勝る
しおりを挟む「アルは自分の魅力をわかっていないから常に無防備だったよね。私にはそれが危なっかしく思えて仕方なかった」
「……っ」
「他の者を近づけない為に、私がどれだけ気を揉んできたのか…君は気づきもしなかったな」
「…う…んっ」
切なげに囁きながら尻を撫でるのはやめろ。男の固い尻なんか何が楽しいんだ。…いや、楽しいのか。男が好きならそれが良いのか。
「ああ…夢のようだ。これがずっと触れてみたかったアルのお尻の感触なんだな。何てハリのある…」
「ちょ…何故そんなところを…」
撫でから揉みに変わったところで、サイラスの手つきに、一抹の不安を覚える俺。
いや執拗過ぎないだろうか?感触を知りたいだけだったならもうそろ良くないか?
「あの、」
と抗議しようとした時、サイラスの指が尻っぺたを割り肛門に触れた。
「ひっ!」
「固く閉ざされているな…何て慎ましいんだ…」
「はっ、はあっ?!」
あらぬ場所を指の腹で撫でられて、悪寒が。
固く閉ざされて慎ましいって、そりゃそうだろう。排泄物を出す所がしっかり閉ざされてなければ困った事になるではないか。寧ろそこが慎ましくない人間がいるのか。
俺は彼の言葉に混乱しながら、身を捩って抵抗を試みる。しかし腰をしっかりホールドされていた為、それはかなわない。その間にもサイラスの指は俺の肛門周りを撫で、唇は唇で塞がれてしまい抗議の言葉を封じようとしてくるのを、首を振って逃れた。
「さっ、サイラス?」
震える声で問う俺に、サイラスはキョトンとした顔でどえらい答えを返してくる。
「ん?だって、準備が必要だろう?」
「へ?」
準備…?
思わぬ答えに、思考停止。準備…俺の尻穴を撫で回して、準備とな。
つまりそれは、今日この流れで一気に行くとこまで行こうって事なのか。
「アルの気持ち良さそうな顔や声に、私の陽物も辛抱堪らないんだ」
陽物。つまりペニスの事だ。しかも辛抱堪らんときた。これは完全にその気だ。
そろり、と視線を下げる。愚かにも俺は、その時初めてサイラスの股間に注意を向けた。そして、今まで気にも留めた事の無かった親友のソレ…つまり勃起したペニスによる服地の押し上げが、尋常ではない大きさである事を知ったのだ。
(で、でか…!)
ソコは見慣れた俺の朝勃ちなどより、明らかに凶悪な大きさに張っていた。俺は全裸に剥かれたが、サイラスも上着を脱いで薄いブラウスとキュロット姿になっていたから、窮屈そうに勃起したソコは嫌でも目につくのに、翻弄されていた俺は今の今まで気づけなかった。
そうか、サイラスは俺を好きだから、好きな俺が悶えているのを見ていてそんな状態になってしまったのか。そう思うと満更でもない気がしたが、すぐにはっと思い出す。
俺はサイラスの股間の張りを指差して、おずおずと口を開いた。
「あの…ちょっと見ても?」
「え…」
「いや、だって…俺がソレを受け入れる役割りなんだろう?」
どうしたというのか、普段は落ち着いているサイラスが挙動不審になりだして、俺は急に様子の変わった彼の顔を見つめていた。
どうしたというんだ。ついさっきまで俺にソレを突っ込む気満々だった癖に。
ややあって。冷静さを取り戻したらしいサイラスが、俺に向かって話し始める。
「アル。」
「ん?ああ」
改まった様子に、俺も表情を引き締めた。相変わらず全裸で腰は抱かれてるんだが、まあ今それは良い。
神妙な面持ちと態度を整えた俺に、サイラスは告げた。
「気を悪くしないで欲しいんだが…私の陽物は少々並外れているかもしれない」
「うん、そのようだな。」
それは外から見ただけでも大体わかる。だから実際に見せて欲しいと言っているのだが、何故今更躊躇うのだろうか。
不可解な気持ちになって首を傾げると、サイラスが少しトーンを落とした声で問うてきた。
「私のモノがどれほどでも、本当にアルは受け入れてくれるのだろうか?」
そう聞かれて少し考える。
サイラスにキスをされて、ペニスを扱かれて射精させられた事に嫌悪感は無かった。寧ろ気持ち良かった。彼と体を交える事に、思ったよりも抵抗は無い事に自分でも驚いたくらいだ。
だから率直な気持ちを述べた。
「うん、そのつもりだけど…」
「…そうか」
サイラスは暫く黙った後、意を決したように頷いて言った。
「うん、ではアルを信じよう。本当の私を知って欲しい」
それからサイラスは俺の体から手を離し、自分のキュロットのボタンを外していった。白い下着が見え、それが下ろされて徐々に中が露わになっていき…次の瞬間、ビタンッと凄い勢いで何かが腹に張り付いた。
「!?!?!!?」
その正体はいわずもがな、サイラス本人のペニス。
その時俺が受けた衝撃を、わかってもらえるだろうか?
俺の想像力貧困な頭と心は一連の流れに限界を迎え、失神。後ろに倒れ込みそうになったのをサイラスの腕に抱きとめられた。
閉じた瞼の内側でチカッと火花が散ったような気がしたのは覚えているのだが、どうやらそれが失神する瞬間だったようだ。
再び目を開けた時、俺はベッドに横たえられていて、体には布団が掛けられていた。そして覗き込んでくるサイラスの顔には不安と安堵の表情がないまぜになって浮かんでいた。
彼は、目を開けたばかりでボーッとしている俺を気遣わしげに見ながら声をかけてくる。
「アル?わかるか?大丈夫か?」
「……」
数秒かけて状況を把握した俺は、声の代わりにこくんと頷いた。サイラスの顔がしたような表情になる。
「そうか。気持ち悪かったりしないか?」
「……うん、たぶん」
起き上がろうとすると、サイラスは背中に手を添えて介助してくれた。そうしてマットレスの上に座った俺に、サイラスは申し訳なさげな顔をしながら口を開いた。
「すまなかった。あんなにも驚かれてしまうとは」
「うん…」
気を失う前に見たサイラスのペニスは、あまりに巨大だった。太く長く、馬並みとまではいかないが…いや近いか?あんなの、少々とか変な謙遜しないで欲しかった。
「…サイラス。ひどいぞ。本当に、初めての俺にあんなのを突っ込むつもりだったのか?」
生命の危機を感じたぞ。
俺の言葉にバツの悪そうな顔をするサイラス。
「いや…流石に先っぽだけにしておいて、数日にわけて慣れてもらえばと…」
「…君な…」
「やり方についてはきちんと口頭でレクチャーを受けたから頭には入っている。…まあ、実践は初めてだが」
「……」
「大丈夫だ。私が愛するアルの体に傷をつけるような真似をする筈がないだろう?」
「………」
う、う~ん…まあ、それは、うん。
「2人で気長に頑張ろう!」
「……ソウダナ」
そうかあ……
サイラスの求婚を受け入れるって事は、アレを突っ込まれ続けるって事なのか。
そうか…。
…………やはり逃げたいのだが?
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