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ライバル出現…

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区役所に婚姻届を駆け込みで出すカップルが急増。


施行された年に婚姻届出したいって思ったカップルが、年内の内に籍入れようって事なんだろね。
だよね~。もう11月だし。


「いいなあ~…。」

テレビを見ながらポツリと呟くと、翔ちゃんが横目で見てくる。

「結婚してーの?未だ17なのに。」

「来年は18じゃん。」

「でもお前、大学行くんだし、就職もあるんだし、直ぐには結婚なんかできねーだろ。」

「まあ…そうなんだけどさ。」

「俺は調理師専門学校だけど。」


そうなのだ。
今度初めて、進路が別れる。

翔ちゃん、こう見えて昔から手先が器用で料理も得意。家業の料亭を継ぐ為のレールに乗る事を自ら選んだ。

専門卒業後は知り合いの店で数年修行して実家の店に戻るらしい。
流石翔ちゃん。地に足ついてる。人生設計しっかりしてる。
結婚したい。添い遂げたい。
共に奈落へ連れゆかん。(?)

僕は国立大に進み、経営学を勉強して卒業後は祖父の会社に入社する事が決まってる。

確かに、直ぐに結婚なんて非現実的だよ…なあ~…。

18歳からは出来るったって、現実はそんなに簡単には進まない。

でもさ…。
只でさえ、進路が違うんだし、僕の見えないとこで翔ちゃんにどんな出会いがあってどんな事をして、なんて考えたら不安になるじゃん。

生活環境変わって、すれ違って、翔ちゃんは僕の事を忘れちゃうかも…。
彼女とか、彼氏とか、出来ちゃうかも。
だって顔も体も性格もこんなに至高の男前なんだよ?
ほっとく奴いる?
いねえよなあ~?


その上、仕事迄出来るようになっちゃったら、それこそ競争率跳ね上がっちゃうじゃん!!

じゃあ、サッサと籍入れちゃっとく方が少なからず安心じゃない?!

正直ここに来て僕はめっちゃ焦ってる。

最近の翔ちゃんは僕の好き好きアピールに気づいてると思うのに、何か流されてるし。

スキンシップはそれなりに許してくれるのに、何でスルーすんの。



ローテーブルに肘をついてニュースを観ている横顔が恨めしい。
いや嘘。横顔綺麗。好き。

心で葛藤してたら急に翔ちゃんがこっちを向いた。


「お前の方がずっと綺麗だと思うけど。」

え、声に出てた…?

「お前さ…。

何で毎日、鏡見てる癖にそんなに俺の評価バリ高ぇの?」

前から思ってた…と言われて、ハテ?と思う。
え、僕みたいな何処にでも居そうな量産型美形より翔ちゃんの方が断然カッコ良いでしょ。

「…量産型…?

いやおま…、お前の顔はなかなか居ないレベルだと思うけど…。」

「僕の顔なんかどうでも良いよ。僕は翔ちゃんの顔が好きなの。」

当たり前の事を聞かないで欲しいんだなあ~。

「…そっか。アリガト…な?」

腑に落ちない…って顔でお礼を言ってくれる翔ちゃん。好き。

褒めついでに思い切って、今迄聞けそうで聞けなかった事を聞いてみる。


「翔ちゃんの好きなタイプってさ、どんな子?」

すると翔ちゃんは腕組みして暫く考えてから言った。

「俺の事甘やかしてくれて、顔と体と頭が良くて、特に目が睫毛バシバシに長くて髪が天パの茶色い猫っ毛で爪の綺麗な長い指がやらしくて足が長くて俺を抱き上げられる筋力のある将来性抜群の奴かな。」

「えっ、そんなに完璧な人がいるかな?!」

「…うん、まあ1人は実在確認してる。」


くっ、悔しい…っ!
くそっ、どこのどいつだよ、翔ちゃんにそこ迄言わしめる奴は!!


ぐぬぬ、負けない…。


密かに闘志を燃やす僕を翔ちゃんがなんとも言えない表情で見ている。


待っててね、翔ちゃん!!
僕、負けないから!!



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