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第1章 番(つがい)になるまで

17、受容される喜び※

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「結果として……ふくらんでない乳房にゅうぼうと」

 シルヴィス様の手は、さらりと僕の胸をで、

「男性器としての陰茎いんけい睾丸こうがんがあり」

 オメガ性のせいか、ややぶりの僕のものを一度いちど軽く握り、そのまま手をろし、僕の袋をそっと包み込んだとおもったら、一度いちど、キュッと優しく握りめられた。

「あっ……」

 下火したびになっていた快感が、じんわり再燃さいねんする。

「女性器のちつはあるが、子宮が未発達でほぼないものと見なされたために、男性体オメガと判断されたんだな」

 シルヴィス様は僕の性別が決定された過程かていを言い当てると、先の愛撫あいぶでトロリと透明な液を流し続けている僕の前の方のあなへ、中指なかゆびをそぉっとわした。

 ツプリ、と指先があなへ入ってくる。

「ああぁっ」

 未知みちの感覚に、僕はあごらし、首筋くびすじをシルヴィス様の目の前にさらしてしまう。

「気持ち悪くない……むしろ美しい」

 シルヴィス様はハッキリそう言い切ると、あまり外に出ない生活を送ってきたせいか、生白なまじろいままの僕の首筋くびすじまぶしそうに見つめた後、舌をばしてペロリとめ上げた。

「うぅ……ウソです」

 しのびよる快楽にさからいながら、僕は本音ほんねをぶつける。

「確かに驚きはしたが、それだけだ。
 事実として受け止めはするが、オレは気にしない」

 シルヴィス様はそう言ってくれたものの、これ以上傷つきたくない僕は、必死に言いつのる。

「ウソです!
 僕とつがいたいから、そう言って丸め込もうとしてるんでしょう?」

 め上げていた首筋くびすじから顔を上げたシルヴィス様は、しっかり僕の目線めせんからとらえてからこう言った。

「いいか、よく聞け、レン。
 人によってゆずれないものや、悩みはことなる。

 確かに、オレはレンとつがいたいが、それは運命であるレンとつがうということだけが一番大切であって、それ以外はどうでもいい。

 たとえ、レンが敵であっても、どんな身体であっても、オレにとってその点は重要ではないのだ。

 どんなレンであっても……いや、レンが存在そんざいさえしてくれればいい。

 そして、ぜひオレとつがって欲しい。

 それだけがオレの望みだから、レンの悩みは気にならないのだ」

 シルヴィス様の僕を見つめるぐな視線と言葉は、傷ついてちじこまっていた臆病おくびょうな僕の心にもひびいた。

「何度でも言うぞ。
 レンのその身体は、気持ち悪くはない、むしろ美しい。

 そのままの、あるがままのレンが、オレはいとおしくて、欲しくてたまらないのだ」

 そう言い終わると、シルヴィス様は、静かに笑みを浮かべた。

 その笑顔を見た僕は、今までかかえ込んでいた真っ黒なかたまりが、あざやかな光によって、パリンと粉々こなごなったように感じた。

 涙が次から次へとあふれてきて……止められないし、止まらない。

 僕の目元めもとにシルヴィス様は顔を寄せて、あふれ出る僕の涙を、唇を使って、そっと何度なんども吸い取ってくれた。

 ようやく僕の涙が止まるころ、シルヴィス様は、ニヤリと笑い、僕の孔付近あなふきん待機たいきさせていた中指なかゆびで、トントンとくぼみを軽くつついた。

「さて、つがう準備を進めようか」

 僕の涙を吸い取っていたシルヴィス様の唇が、いつの間にか、また僕の耳元みみもとに移動していた。

 低音ていおんが響く声でそう言われると、お腹の奥にジワっと火がともる。

 くぼみをつついていた中指なかゆびは、あふれ出る液を味方みかたにつけ、ゆっくりと侵入しんにゅうを開始する。

 ズズッズズッズズッと、何の抵抗ていこうもなく奥まで入っていき、僕は驚いてしまった。

「うわっ」

 思わず声も出てしまう。

「痛くないか?」

 シルヴィス様に心配そうに声がかけられるが、僕はうなずくだけで精一杯せいいっぱいだ。

 僕が痛がってないと目視もくしでも確認されたシルヴィス様が、あなの奥まで入れた中指なかゆびを軽くげ、指のはらでトントンとなかを優しくれてから、入口付近ふきんまでユルユルと引く。

「あうっ……んっ」

 思わぬ刺激しげきに、僕の身体はビクンと飛び上がった。

 せては返す波のように、何度も何度も同じリズムで、指のしがり返され……単調たんちょうなリズムとは裏腹うらはらに、段々だんだんと大きくなる快感の嵐に……僕は翻弄ほんろうされ続けた。
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