恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした

恋狸

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49話

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 Side 日夏

 大通公園に行く道中、私は心臓が破裂するんじゃないかというくらい緊張していた。

 理由はいたって簡単。
 渚くんに告白するためだ。

 え? なんの告白って?
 そんなの愛の告はk……って言わなくてもわかるしょ!

 本当はもう少し、仲を深めてからにしようと思ったんだけど……白海さんの件があるからなぁ……。

 焦らなきゃいけない状況になったわけだ。
 あぁ! 緊張する!

 人生初告白なんだから……! 絶対に成功したい! いや、初告白じゃなくても成功したいけどさ。

 最初の勉強会を始めてから、私はもっと渚くんのことが好きになった。

 もっと一緒にいたい。声を聞きたい。触れたい。
 そんな欲求が日々強まってくのを感じる。

 普通は恋したら勉強できなーい、とか言ってる人いるけど、私の場合はその活力を勉強に生かすことができた。

 所謂、昇華というやつだ。
 寧ろ、恋をしたおかげで着々と成績を伸ばしているほどだ。

 サンキューLOVE。
 なんかフォーリンラブみたいなイントネーションになっちゃった……。

 てか、これ振られちゃったら私生きていけないかも。
 もし振られたら──


────最悪、渚くんを監禁するしかないかもしれない……。


 まあ、そんなことしないけどさ。多分。

 恋に敗れた女はヤバいって言うし? 私もヤバいかもねー。あはは。

 おっと、思考が暗闇に。

 でもなぁ……このデートで私の目論見が……。

 そして、私はデート前に立てた計画について思い出す。


☆☆☆

 「これでよし! と」

 私は計画を書き終えた。
 デートのことを想像しながらなので、もちろん、ニヤニヤしている。
 絶対に第三者が見たら気持ち悪い顔をしているなぁ……。

 でも、仕方ない! だって恋してるんだもん!

 べ、別にこれ言っとけば何でも通じるなんて思ってないよ?

 まあ、いいや。
 とりあえず確認だ!

 『恋愛映画でドキドキ!? →さりげなく手を繋ぐ! →これでお互い意識するに違いない!』

 はい、一個目。
 な、なにさ。頭の悪そうな妄想だと思ってるんでしょ! 
 良いもーん。これが叶えばそんな些細なこと気にしなくなるし?


 『動物園デートでわくわく!? →餌やり体験でくっつくいてドキドキ! →更に仲は深まるに違いない!』

 動物園をチョイスしたのは、私が大の動物好きっていうのが多いけどね。
 犬も好きだし、猫も好き。
 それに動物はみんな好き。
 人間は渚くんと、家族と、友達は好き。
 それ以外は知らなーい。

 正直、動物園のパンフレットで、餌やりは二人で行いますっていう、注意書きと餌やりをくっついてしているカップルの写真を見て、これだ! って思ったね。

 だって合法的にくっつけるんだよ! 天国じゃん!
 
 そういえば今思ったけど、私、男の人より、欲求酷い……?
 ま、まあみんなこんなもんでしょ。……だよね?

 『ショッピングデートでうふふ!? →クレープを一緒に食べてドキドキ! 間接キスに、お互いを最高に意識!』

 これは、デートの師匠に聞いた話なんだけど、間接キスは高校生にはあまり効かないみたいだけど、もし効いたら互いを男女として意識してるってことらしい。

 だから、渚くんがドキドキしたら意識されてるってこと!

 あぁ、楽しみだなぁ。



☆☆☆


 はい! 見事に全部失敗しましたぁ!

 だ、だって仕方ないじゃん!

 映画はシリアス物で、恋愛要素ゼロに等しいし! あれで手なんか繋いだら、は? ってなるよ! 無理ぃ!
 
 まあ、出来は最高だったし、渚くんと語り合えたからいいけどさ……。


 問題は動物園!

 餌やり体験にこじつけるまでは良かったんだよ! 楽しく会話したり、見て回れたし!

 でも! なんで! 虎さんが……その……こ、交尾しちゃってるのぉぉ!?
 雰囲気最悪じゃん!

 それ見て混乱して、変なこと聞いちゃうし! 人間も同じなんだよね? って当たり前でしょ! 今時、どんなうぶな子でも知ってるよ! 

 あれから、しばらく顔ずっと真っ赤だったし! 渚くんもさすがに困ってたよ……多分。


 次のクレープに関しては私のミスだね。完全に。

 最初の雑貨屋もだいたい計画通り抜けだったし!  

 ……でもピアスの褒め方に関しては予想外だったなぁ……。

 まさかあんなにちゃんと褒めてくれるとは……。

 しかも、言わされた感とか、嘘ついてるとかは無さそうだったし。

 それがわかったから、すっごい嬉しいんだけどね。
 ホワホワしちゃうよ……。
 あぁ……渚くんヤバい。
 無自覚ハイスペックなとことか……。

 それで、クレープ食べようと思ったとき、ペットショップが……。

 ちょっと動物見たらトリップしちゃう癖直さなきゃなあ……。

 そのせいでクレープの存在忘れちゃった……。
 でもその副産物っていうのかな? 私の夢を応援してくれたのは本当に嬉しかった。
 正直、涙が出そうだった。

 好きな人が夢を応援してくれるのって、すごい嬉しいって始めてわかったよ。


 あ、それと! 色々なことあったから、忘れてたけど。

 髪切ってくれてたぁぁぁ!
 ずっとあの瞳に見られて、ずっとキュンキュンしてたもん!
 イケメンすぎでしょ!? あれ。

 渚くんは周りの嫉妬とかの目線が気になってたと思うけど、女性からの嫉妬もあったからね! 私に向けてさ!

 正直半々だったと思うな、嫉妬の量。
 ほらね? やっぱりあの目は怖くないんだよ。
 女の人からすると寧ろ点数高いんだよね。

 はっ! ってことは明日から渚くん、人気になるのでは!?
 それで狙われたらヤバい! 負ける気はしないけどヤバい!

 ……もう一人の三大姫に気に入られたら尚更ヤバいよ……。

 もう一人は二年の先輩なんだよね……。
 なぜか、出席日数が足りてないのに、進級できる不思議な人……!
 二年には舞阪さんもいるけど、その人ですら少しは言われてるのに。

 私は一度見たことあるけど、すごい綺麗だったなぁ。
 正統派美人って感じ? のすごい美人……。

 人気投票だと、断トツ1位って聞いてるし。

 警戒しとかないとね……。

 まあ、それも私が渚くんを手に入れれば良いことさ!

 私、頑張るぞぉぉ!

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