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48話
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「これなんか、どう?」
穴を空けなくてもいい、挟むタイプのピアスを身に付けた日夏が俺に尋ねる。
スカイブルー色のピアスはよく、似合っている。
ワンポイント変えるだけで、全体の雰囲気が変わるのがアクセサリーの良い特徴だと思う。
とりあえず、似合ってる旨を日夏に伝える。
「あぁ、似合ってると思うぞ。しかも、その色が日夏の雰囲気に合っていていいと思う」
すると、少し驚いた顔で俺を見る。
何かおかしなことでも言っただろうか?
「いや、軽い感じで聞いたのに、ちゃんと答えてくれて驚いたというか……嬉しいというか……」
言葉が途切れ途切れになり、少し照れている様子。
「いや、言うときはハッキリ言わなきゃダメじゃん」
自分への言い訳に、隠し事は例外と呟きながらそう言う。
俺の言葉に、呆れと感心の声色で言った。
「やっぱり、少し変わってるなぁ。渚くんは」
「酷いなぁ」
苦笑気味に言う俺。
もちろん、日夏の変わってる、という言葉に悪意がないのはわかっているが。
「もちろん、良い意味だよ?」
「そうだと良いけど」
「もー! 信じてないしょー!」
頬を膨らませる日夏。
プクぅと膨らませる姿は、あざとかわいい(新単語)
どういう意味で、良いのかはわからないが、悪意がないのはわかってるため、笑って流す。
そんなやりとりをしながら、俺たちはウィンドウショッピングと洒落込んだ。
やはり、時折舌打ちや、嫉妬の目があったが、それも一興と思い気にしない。
そして、歩いているとふいに日夏がペットショップを見つけて目を輝かせた。
「わぁ! かわいい! ワンちゃんいる!」
そう言いながら、入ろ? という提案をされたため、了承する。
「本当に日夏は動物が好きなんだな」
動物園でも言っていたが、ガラスに張り付いて犬を眺めているのは相当だろう。
「うん! 犬も猫も動物好きなの。だから獣医になりたくてさ……おかしいかな?」
夢を語った日夏は、不安そうに俺を見つめる。
はぁ……否定するわけないのに。
「良い夢だと思うよ。だから……勉強頑張ろうな」
俺がそう言うと狼狽える日夏。
「う……ガンバリマス」
まあ、このまま勉強していけば間違いなく大丈夫だろうし。
あ、東大で獣医というと……
「ってことは理科Ⅱ類か」
確か、東大には獣医学部がないはずだから、理科Ⅱ類からの二年次の進振りというシステムで、行けるはずだ。
俺は興味がないから詳しく調べてなかったから、正しいかわかんないけど。
「うん。そうだよ。お父さんには学部とか夢の強制はされてないからさ。きっと東大にさえ入ればいいんだと思う!」
日夏の目は、未来への期待だろうか。
キラキラした瞳で、自分の幸せを信じていた。
「そっか。頑張れよ」
俺は応援の言葉を言いながら、少しの不安を感じていた。
あの頑固そうな日夏父が、学部の強制をしていない……?
絶対に何か思ってるはずだ。
東大に入ることを強制してる時点で、何の学部か、などは考えていると思う。
まあ、とやかく言ってこないなら大丈夫だろう。
娘なんだ。
夢を応援するのが親の役目だろう?
けれど、俺はそう上手くいくだろうか、とも心の中で思っていた。
☆☆☆
「あ、こんな時間だ。次行こ?」
日夏が時計を見て、少し焦る。
あぁ、と頷こうとしたが、そういえばどこに行くか聞いていない。
「次はどこに行くんだ?」
「次はね……大通公園です!」
大通公園といえば、駅から徒歩圏内の、大きな公園だ。
そこの有名な建物が、テレビジョン塔と呼ばれる、テレビの電波を発信するための塔がある。
もはや、その役割とは別に、展望台やレストランなどの観光事業に、大きな貢献をしている。
しかし、現在時刻は夕方近く。
今から行っても、暗くなりかけの空だろう。
「もう、遅いけど、何かあるのか?」
「むふふ! それは着いてからのお楽しみだよ!」
得意気に笑い、そう言う。
まあ、とりあえず着いていこう。
穴を空けなくてもいい、挟むタイプのピアスを身に付けた日夏が俺に尋ねる。
スカイブルー色のピアスはよく、似合っている。
ワンポイント変えるだけで、全体の雰囲気が変わるのがアクセサリーの良い特徴だと思う。
とりあえず、似合ってる旨を日夏に伝える。
「あぁ、似合ってると思うぞ。しかも、その色が日夏の雰囲気に合っていていいと思う」
すると、少し驚いた顔で俺を見る。
何かおかしなことでも言っただろうか?
「いや、軽い感じで聞いたのに、ちゃんと答えてくれて驚いたというか……嬉しいというか……」
言葉が途切れ途切れになり、少し照れている様子。
「いや、言うときはハッキリ言わなきゃダメじゃん」
自分への言い訳に、隠し事は例外と呟きながらそう言う。
俺の言葉に、呆れと感心の声色で言った。
「やっぱり、少し変わってるなぁ。渚くんは」
「酷いなぁ」
苦笑気味に言う俺。
もちろん、日夏の変わってる、という言葉に悪意がないのはわかっているが。
「もちろん、良い意味だよ?」
「そうだと良いけど」
「もー! 信じてないしょー!」
頬を膨らませる日夏。
プクぅと膨らませる姿は、あざとかわいい(新単語)
どういう意味で、良いのかはわからないが、悪意がないのはわかってるため、笑って流す。
そんなやりとりをしながら、俺たちはウィンドウショッピングと洒落込んだ。
やはり、時折舌打ちや、嫉妬の目があったが、それも一興と思い気にしない。
そして、歩いているとふいに日夏がペットショップを見つけて目を輝かせた。
「わぁ! かわいい! ワンちゃんいる!」
そう言いながら、入ろ? という提案をされたため、了承する。
「本当に日夏は動物が好きなんだな」
動物園でも言っていたが、ガラスに張り付いて犬を眺めているのは相当だろう。
「うん! 犬も猫も動物好きなの。だから獣医になりたくてさ……おかしいかな?」
夢を語った日夏は、不安そうに俺を見つめる。
はぁ……否定するわけないのに。
「良い夢だと思うよ。だから……勉強頑張ろうな」
俺がそう言うと狼狽える日夏。
「う……ガンバリマス」
まあ、このまま勉強していけば間違いなく大丈夫だろうし。
あ、東大で獣医というと……
「ってことは理科Ⅱ類か」
確か、東大には獣医学部がないはずだから、理科Ⅱ類からの二年次の進振りというシステムで、行けるはずだ。
俺は興味がないから詳しく調べてなかったから、正しいかわかんないけど。
「うん。そうだよ。お父さんには学部とか夢の強制はされてないからさ。きっと東大にさえ入ればいいんだと思う!」
日夏の目は、未来への期待だろうか。
キラキラした瞳で、自分の幸せを信じていた。
「そっか。頑張れよ」
俺は応援の言葉を言いながら、少しの不安を感じていた。
あの頑固そうな日夏父が、学部の強制をしていない……?
絶対に何か思ってるはずだ。
東大に入ることを強制してる時点で、何の学部か、などは考えていると思う。
まあ、とやかく言ってこないなら大丈夫だろう。
娘なんだ。
夢を応援するのが親の役目だろう?
けれど、俺はそう上手くいくだろうか、とも心の中で思っていた。
☆☆☆
「あ、こんな時間だ。次行こ?」
日夏が時計を見て、少し焦る。
あぁ、と頷こうとしたが、そういえばどこに行くか聞いていない。
「次はどこに行くんだ?」
「次はね……大通公園です!」
大通公園といえば、駅から徒歩圏内の、大きな公園だ。
そこの有名な建物が、テレビジョン塔と呼ばれる、テレビの電波を発信するための塔がある。
もはや、その役割とは別に、展望台やレストランなどの観光事業に、大きな貢献をしている。
しかし、現在時刻は夕方近く。
今から行っても、暗くなりかけの空だろう。
「もう、遅いけど、何かあるのか?」
「むふふ! それは着いてからのお楽しみだよ!」
得意気に笑い、そう言う。
まあ、とりあえず着いていこう。
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