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32話
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俺は白海母の言葉を聞いて、この前建てた仮説が正しいことが立証されたことを感じた。
「み、美原姓でした……?」
「ええ、そうよ?」
俺が恐る恐る聞くと、肯定が返ってくる。
俺はそのまま白海を見ると、彼女は石のように固まっていた。
え、どうした。
てか、気が付けよ俺ぇ!!
いや、でもさ、世の中漫画じゃないんだぜ?
そんな偶然あるかよ……
まず、容姿が違う。
前髪で目は隠していたし、おどおどしてた。
性格も違うし、わかるわけないって。
俺は未だに固まっている白海に向かって声をかける。
「えーと……花ちゃん?」
あえて昔の呼び名で声をかける。
すると、ビクッと、擬音が付きそうなほど、体を震わせギギギッと錆び付いたロボットのような挙動でこちらを見て、これまたロボットのように声を出す。
「ナ、ナンノコトカナァ」
「その棒読みで更に説得力無いんたけど……」
「まだ内緒にするつもりだったのに!」
吹っ切れたのか、急に大声を出す。
まだ、っていつやねん……
「こういうのは良いムードになったときに明かせば……」
下を向いてぼそぼそと呟く白海こと、花ちゃん。
「おーい」
ずっと呟く花ちゃん顔の目の前に向かって手を振る。
「ハッ! うぅ~! もういい! そうだよ! 私があの花だよ!」
正気に戻った花ちゃんは……色々壊れていた。
なんだその変なお◯さんみたいな紹介の仕方は。
急に明かされた真実だが、不思議と俺に驚きの感情は少ない。
どちらかというと、しっくりきた、というのが大きい。
性格も容姿も違っても、花ちゃんだと言われると納得できる。
そんな不思議な感覚があった。
「あらあら~? 二人は結婚の約束もしたんじゃなかったっけぇ?」
からかうようにニヤニヤしながら言う。
言わずとわかるようにもう迷いの表情は消えていた。
花ちゃんはボッと顔を朱色にすると、白海母に抗議する。
「ちょっと! 昔の話でしょ! 恥ずかしいからやめてよ!」
「未だに信じてたりしてね……」
「っっ!」
おい、なぜにこっちを見る。
朱くなった花ちゃんの顔は格別に可愛く。
見つめられた俺はなぜか顔を反らしてしまった。
☆☆☆
その後、幾ばくかの別れの言葉とともに俺と花ちゃんはこの場を……東京を離れることにした。
返りの飛行機の中、花ちゃんが真剣な顔で俺を見てきた。
「本当にありがとう……! ……私助けられてばかりだね……。私、本当に何でもするよ!?」
「女の子が何でもとか言わないの。そうだなぁ……俺としてはその口調と呼び方を続けて欲しいかな」
俺の願望に目を丸くする。
「……それだけ?」
あれ? 俺としては結構して欲しいことなんだけど。
「あとは……もっと親しい関係になりたいかな」
「え、それって」
「友達として!「恋人として!?」」
「「え」」
今、恋人って言ったか? なぜそうなる。
「いや、俺はただもっと仲の良い友達になりたいな、って」
俺が躊躇いがちに言うと、自分の勘違いに気が付いた花ちゃんが、恥ずかしいのを誤魔化すように先払いをする。
「ゴホンッ! もちろん、いいよ!」
俺は断られなかったことに安堵する。
「でも──」
俺はそれに反応することができなかった。
「──それだけじゃあ、やだかな」
こちらに乗りだし、俺の額にキスをした花ちゃんに。
「それはどういう……」
「さあね、自分で考えてみて?」
イタズラな笑みを浮かべた花ちゃんはあまりに綺麗で、俺は額に残る熱とともにみとれてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一章完結
「み、美原姓でした……?」
「ええ、そうよ?」
俺が恐る恐る聞くと、肯定が返ってくる。
俺はそのまま白海を見ると、彼女は石のように固まっていた。
え、どうした。
てか、気が付けよ俺ぇ!!
いや、でもさ、世の中漫画じゃないんだぜ?
そんな偶然あるかよ……
まず、容姿が違う。
前髪で目は隠していたし、おどおどしてた。
性格も違うし、わかるわけないって。
俺は未だに固まっている白海に向かって声をかける。
「えーと……花ちゃん?」
あえて昔の呼び名で声をかける。
すると、ビクッと、擬音が付きそうなほど、体を震わせギギギッと錆び付いたロボットのような挙動でこちらを見て、これまたロボットのように声を出す。
「ナ、ナンノコトカナァ」
「その棒読みで更に説得力無いんたけど……」
「まだ内緒にするつもりだったのに!」
吹っ切れたのか、急に大声を出す。
まだ、っていつやねん……
「こういうのは良いムードになったときに明かせば……」
下を向いてぼそぼそと呟く白海こと、花ちゃん。
「おーい」
ずっと呟く花ちゃん顔の目の前に向かって手を振る。
「ハッ! うぅ~! もういい! そうだよ! 私があの花だよ!」
正気に戻った花ちゃんは……色々壊れていた。
なんだその変なお◯さんみたいな紹介の仕方は。
急に明かされた真実だが、不思議と俺に驚きの感情は少ない。
どちらかというと、しっくりきた、というのが大きい。
性格も容姿も違っても、花ちゃんだと言われると納得できる。
そんな不思議な感覚があった。
「あらあら~? 二人は結婚の約束もしたんじゃなかったっけぇ?」
からかうようにニヤニヤしながら言う。
言わずとわかるようにもう迷いの表情は消えていた。
花ちゃんはボッと顔を朱色にすると、白海母に抗議する。
「ちょっと! 昔の話でしょ! 恥ずかしいからやめてよ!」
「未だに信じてたりしてね……」
「っっ!」
おい、なぜにこっちを見る。
朱くなった花ちゃんの顔は格別に可愛く。
見つめられた俺はなぜか顔を反らしてしまった。
☆☆☆
その後、幾ばくかの別れの言葉とともに俺と花ちゃんはこの場を……東京を離れることにした。
返りの飛行機の中、花ちゃんが真剣な顔で俺を見てきた。
「本当にありがとう……! ……私助けられてばかりだね……。私、本当に何でもするよ!?」
「女の子が何でもとか言わないの。そうだなぁ……俺としてはその口調と呼び方を続けて欲しいかな」
俺の願望に目を丸くする。
「……それだけ?」
あれ? 俺としては結構して欲しいことなんだけど。
「あとは……もっと親しい関係になりたいかな」
「え、それって」
「友達として!「恋人として!?」」
「「え」」
今、恋人って言ったか? なぜそうなる。
「いや、俺はただもっと仲の良い友達になりたいな、って」
俺が躊躇いがちに言うと、自分の勘違いに気が付いた花ちゃんが、恥ずかしいのを誤魔化すように先払いをする。
「ゴホンッ! もちろん、いいよ!」
俺は断られなかったことに安堵する。
「でも──」
俺はそれに反応することができなかった。
「──それだけじゃあ、やだかな」
こちらに乗りだし、俺の額にキスをした花ちゃんに。
「それはどういう……」
「さあね、自分で考えてみて?」
イタズラな笑みを浮かべた花ちゃんはあまりに綺麗で、俺は額に残る熱とともにみとれてしまった。
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一章完結
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