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ミュゲットの行方
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「ねえねえ、最近ずっと外に出続けてるけど、あの人何してるの?」
ここ数日、毎日アルフローレンスが外に出ているのを見ていたフランが外に立っている兵士に問いかける。
「ミュゲット・フォン・ランベリーローズが行方不明なのだ」
「は? え、なに、どういうこと? ミュゲットいなくなったの!?」
「そうだ」
妹である自分に知らせなかったのはなぜだという思いはあるものの、それよりもミュゲットがいなくなった今、皇帝の傍には誰もいないということになる。それなら自分にもチャンスが回ってきたということではないのかと考えたフランは開けてとドアを叩いた。
「ダメだ」
「監視付きなら外に出てもいいって皇帝陛下から許可貰ってんだよ!? それなのにアンタそれ守らないつもり!? 約束破ったって言いつけられたいの?」
「……どうせお前との約束など陛下は覚えていないだろうがな」
出会った当初こそフランに惹かれていた兵士たちもフランのわがままには我慢の限界がきており、最近は対応も雑になっている。
フランにとって今の一位はエルドレッドであるため下っ端兵士が何を言おうと気にもしない。
そのエルドレッドが最近顔を出さないこともあって鬱憤が溜まっていたのだが、アルフローレンスの傍に空きが出たのならと慌てて毛皮を羽織って鏡の前で髪型を直し、口紅を塗って開けられたドアから外へ飛び出した。
帰ってきたばかりのアルフローレンスに「皇帝陛下!」と声をかけて呼び止めるとアルフローレンスは立ち止まるが、護衛騎士たちがアルフローレンスの前に立ってそれ以上近付くのを許さない。
「ねえ、ミュゲットいなくなったんでしょ?」
「貴様! 陛下の神経を逆撫でするような真似はやめろ!」
「ミュゲットいなくなったんならフランを傍に置いてよ。フランならミュゲットよりイイ思いさせてあげられる自信あるんだけどなぁ」
アルフローレンスはフランを見るが冷たい目をしている。その雰囲気だけで騎士たちは緊張しているのにフランは全くその様子が見えない。
毛皮の下には下着しか着ておらず、前を開けて自慢の身体を披露する。
ミュゲットとは違うその豊満な胸や長い脚に騎士たちの目は一瞬そっちへ向いてしまうが、すぐに表情を引き締め睨みつけた。
「どこまでも醜悪な女だな。目障りだ、失せろ」
「ッ……フランにだけいつもそんな態度取るけどさ、目が腐ってるんじゃない?」
「口を慎め!」
「ミュゲットよりフランのほうが美人なのは確かじゃん! ミュゲットなんて媚びる以外なんの能力も取り柄もない人間だもん! 醜悪なのはフランじゃなくてミュゲットでしょ!」
「こいつの部屋に真実の鏡でも用意してやれ。二度とその耳障りな戯言など利けなくなるだろう」
騎士たちと違ってフランの身体を見ようともしないアルフローレンスにフランは唇を噛み締める。
ミュゲットのことはあれだけ大事そうにコートの中に入れていたのにフランのことは見ようとさえしない。
醜悪と言われたことは今まで一度だってない。誰もがフランを見て『美人だ』『スタイルがいい』と言った。それなのにアルフローレンスは一言だってフランを褒めたことがない。
それだけでも屈辱的なのに、それだけではなく足を止めただけで見ようともしない。それこそが最も屈辱的だった。
「フランにそんな態度取っていいと思ってるわけ?」
「貴様こそ何様のつもりだ! 皇帝陛下にそんな口の利き方、許されんぞ!」
「放っておけ。虫ケラに時間を割くほど暇ではない」
疲れているように見えるアルフローレンスにフランはクスクスとわざと声を漏らして笑う。
「フラン、ミュゲットがどこかに連れて行かれるの見たよ」
「ッ!?」
急に振り返ったアルフローレンスの顔にフランは目を細めて寄っていく。
探しても探しても見つからないミュゲットの手がかりを持っているフランを騎士たちは無下にできない。
逃げ出したと思っていたミュゲットが連れて行かれたという情報はアルフローレンスに僅かな希望を与える。
だが──
「ミュゲットが消えた日は吹雪だったはず。なぜ貴様はそれが見えたのだ?」
兵士たちでさえ警備の意味がないと言っていた環境下で見えるはずがないと指摘するもフランはまだ余裕の笑みでアルフローレンスを見ている。
傍に寄ってアルフローレンスのコートの中に手を入れ、初めて身体に触れるとその逞しさにうっとりした。
エルドレッドよりも鍛えている身体。この身体に抱かれればどんな気分だろうかと想像するだけで幸せになる。
「フランの家の前を通っていったんだもん」
「お前はそれを止めなかったのか?」
「だって、兵士の甲冑着てたからミュゲット移動させられてるんだって思ってただけだし。行方不明って聞いたのはついさっき」
フランの言葉に騎士たちが震え始める。ただでさえ寒いグラキエスの気温が更に下がったような気がしたからだ。
それは勘違いではなく、確かに気温が下がり、雪だけではなく城の壁に氷が張りはじめていた。
アルフローレンスの怒りがそうさせているのだと焦るも騎士たちは彼の怒りを鎮める方法を知らない。
「あと松明持ってた」
「松明だと?」
「そっ。あれだけ吹雪いてたのに全然消えなくてすごーいって思って見てたからよく覚えてる」
アルフローレンスの中に上がった唯一の候補に冷めた表情が無に変わる。
「どっちに向かったかは、フランを傍に置いてくれるって約束したら教えてあげる。ね? いいでしょ?」
甘えた声を出しながら胸に頬を寄せるフランを引き剥がしたアルフローレンスはそのまま雪の上に突き飛ばした。
「な、何するのよ! ミュゲットの居場所知りたくないの!?」
「その情報だけでじゅうぶんだ」
「は……? まだ何も言ってないけど?」
「陛下! 皇帝陛下!」
手紙を握るシェスターが慌てて駆けつけるもアルフローレンスは歩き出した足を止めない。
「陛下、大変でございます!」
「フロガの炎帝からだろう」
「な、なぜご存知なのですか!?」
「移動する」
「す、すぐに鍵をお開けします!」
「ちょっと待ちなさいよッ!」
自分を無視して向かおうとするアルフローレンスを引き止めようとフランが追いかける。
「ミュゲットなんかのどこがいいのよ! フランのほうがずっとイイ女じゃない!」
フランの言葉にアルフローレンスは一度だけ足を止めて振り返り
「ミュゲットの気高さと純粋さは貴様のような女には一生わかるまい」
それだけ告げると去っていく後ろ姿にフランは雪を握って投げつけるが騎士たちが払い落とすせいで当たらない。
「どきなさいよ! フランを侮辱したこと絶対に許さないんだから! 絶対後悔させてやる!」
感情のままに何度もぶつけるがそれが当たることはなかった。
「無礼者め! 不敬罪だ! 閉じ込めておけ!」
「はっ!」
「ちょっ、離してよッ! フランに気安く触らないでよ! フランに触っていいのはエルドレッド様だけなんだから! アンタたちがフランにしたこと全部言いつけてやるんだからね! 覚悟しなさいよ!」
騎士の命令で兵士たちがフランを雪の上に押さえつけたあと、引きずるようにして連れていき、家の中へと放り込んだ。
「どうしてフランばっかりこんな目に遭わなきゃいけないの!? フランが何したっていうのよ! ミュゲットばっかりズルいじゃない! フランは妹なんだから大事に扱いなさいよ! でなきゃ後悔するんだからね!」
何度もドアを叩いて訴えるも兵士は「うるさい!」とドアを銃で叩いて怒鳴るだけでフランに優しくはしない。
「エルドレッド様を呼んでよ! フランがこんな目に遭ってるって聞いたら飛んできてくれるんだから! そしたらアンタたちなんか全員死刑よ!」
何を叫ぼうと兵士は振り向かない。
もうフランに優しくしてくれる兵士はいない。利用するだけ利用して権力者を見つけたら態度を変えたフランを助けようと思う者もいないのだ。それをフランはわかっていない。
「なんでミュゲットだけ……ミュゲットばっかりおかしいじゃない……。フランを差し置いてミュゲットが大事にされるなんてあっていいはずないんだから……」
フランの怒りはミュゲットに向く。
親指の爪を噛みながら呟くのは優遇され続けているミュゲットへの怒り。
「ミュゲットなんかいなくなればいいのよ……消えちゃえばいいんだ……ミュゲットがいるからフランがこんな目に遭うんだ……」
何もない壁を睨みつけながらフランはゆっくりと立ち上がり、部屋へと戻っていった。
シェスターが鍵を開けたドアの向こうは真っ暗だが電気はつけない。アルフローレンスが足を踏み入れると部屋の真ん中に魔法陣が浮かび上がった。
「陛下……」
かけたい言葉は山のようにあった。魔法陣を使っての移動といえど魔力の消費は大きい。その上、今から移動するのはあのフロガ帝国。騎士も連れずに一人で乗り込むのだから心配しないわけがない。
迎え撃つつもりでいるケオと魔力を減らした状態で向かうアルフローレンスでは戦力に差ができてしまっている。何より、アルフローレンスは今、冷静とは言い難い。ミュゲットが無事であればいいが、もし手篭めにでもされていたらアルフローレンスの暴走もありえる。それだけは避けてほしかった。
魔力は無限ではない。使えば使うほど体力も消耗していく。その消耗が大きければ大きいほど危険になる。
今ここで「お気をつけて」と言うのは簡単だが、今のアルフローレンスにはそれさえも煩わしいだろうとシェスターは口を閉じ、静かに見送った。
ここ数日、毎日アルフローレンスが外に出ているのを見ていたフランが外に立っている兵士に問いかける。
「ミュゲット・フォン・ランベリーローズが行方不明なのだ」
「は? え、なに、どういうこと? ミュゲットいなくなったの!?」
「そうだ」
妹である自分に知らせなかったのはなぜだという思いはあるものの、それよりもミュゲットがいなくなった今、皇帝の傍には誰もいないということになる。それなら自分にもチャンスが回ってきたということではないのかと考えたフランは開けてとドアを叩いた。
「ダメだ」
「監視付きなら外に出てもいいって皇帝陛下から許可貰ってんだよ!? それなのにアンタそれ守らないつもり!? 約束破ったって言いつけられたいの?」
「……どうせお前との約束など陛下は覚えていないだろうがな」
出会った当初こそフランに惹かれていた兵士たちもフランのわがままには我慢の限界がきており、最近は対応も雑になっている。
フランにとって今の一位はエルドレッドであるため下っ端兵士が何を言おうと気にもしない。
そのエルドレッドが最近顔を出さないこともあって鬱憤が溜まっていたのだが、アルフローレンスの傍に空きが出たのならと慌てて毛皮を羽織って鏡の前で髪型を直し、口紅を塗って開けられたドアから外へ飛び出した。
帰ってきたばかりのアルフローレンスに「皇帝陛下!」と声をかけて呼び止めるとアルフローレンスは立ち止まるが、護衛騎士たちがアルフローレンスの前に立ってそれ以上近付くのを許さない。
「ねえ、ミュゲットいなくなったんでしょ?」
「貴様! 陛下の神経を逆撫でするような真似はやめろ!」
「ミュゲットいなくなったんならフランを傍に置いてよ。フランならミュゲットよりイイ思いさせてあげられる自信あるんだけどなぁ」
アルフローレンスはフランを見るが冷たい目をしている。その雰囲気だけで騎士たちは緊張しているのにフランは全くその様子が見えない。
毛皮の下には下着しか着ておらず、前を開けて自慢の身体を披露する。
ミュゲットとは違うその豊満な胸や長い脚に騎士たちの目は一瞬そっちへ向いてしまうが、すぐに表情を引き締め睨みつけた。
「どこまでも醜悪な女だな。目障りだ、失せろ」
「ッ……フランにだけいつもそんな態度取るけどさ、目が腐ってるんじゃない?」
「口を慎め!」
「ミュゲットよりフランのほうが美人なのは確かじゃん! ミュゲットなんて媚びる以外なんの能力も取り柄もない人間だもん! 醜悪なのはフランじゃなくてミュゲットでしょ!」
「こいつの部屋に真実の鏡でも用意してやれ。二度とその耳障りな戯言など利けなくなるだろう」
騎士たちと違ってフランの身体を見ようともしないアルフローレンスにフランは唇を噛み締める。
ミュゲットのことはあれだけ大事そうにコートの中に入れていたのにフランのことは見ようとさえしない。
醜悪と言われたことは今まで一度だってない。誰もがフランを見て『美人だ』『スタイルがいい』と言った。それなのにアルフローレンスは一言だってフランを褒めたことがない。
それだけでも屈辱的なのに、それだけではなく足を止めただけで見ようともしない。それこそが最も屈辱的だった。
「フランにそんな態度取っていいと思ってるわけ?」
「貴様こそ何様のつもりだ! 皇帝陛下にそんな口の利き方、許されんぞ!」
「放っておけ。虫ケラに時間を割くほど暇ではない」
疲れているように見えるアルフローレンスにフランはクスクスとわざと声を漏らして笑う。
「フラン、ミュゲットがどこかに連れて行かれるの見たよ」
「ッ!?」
急に振り返ったアルフローレンスの顔にフランは目を細めて寄っていく。
探しても探しても見つからないミュゲットの手がかりを持っているフランを騎士たちは無下にできない。
逃げ出したと思っていたミュゲットが連れて行かれたという情報はアルフローレンスに僅かな希望を与える。
だが──
「ミュゲットが消えた日は吹雪だったはず。なぜ貴様はそれが見えたのだ?」
兵士たちでさえ警備の意味がないと言っていた環境下で見えるはずがないと指摘するもフランはまだ余裕の笑みでアルフローレンスを見ている。
傍に寄ってアルフローレンスのコートの中に手を入れ、初めて身体に触れるとその逞しさにうっとりした。
エルドレッドよりも鍛えている身体。この身体に抱かれればどんな気分だろうかと想像するだけで幸せになる。
「フランの家の前を通っていったんだもん」
「お前はそれを止めなかったのか?」
「だって、兵士の甲冑着てたからミュゲット移動させられてるんだって思ってただけだし。行方不明って聞いたのはついさっき」
フランの言葉に騎士たちが震え始める。ただでさえ寒いグラキエスの気温が更に下がったような気がしたからだ。
それは勘違いではなく、確かに気温が下がり、雪だけではなく城の壁に氷が張りはじめていた。
アルフローレンスの怒りがそうさせているのだと焦るも騎士たちは彼の怒りを鎮める方法を知らない。
「あと松明持ってた」
「松明だと?」
「そっ。あれだけ吹雪いてたのに全然消えなくてすごーいって思って見てたからよく覚えてる」
アルフローレンスの中に上がった唯一の候補に冷めた表情が無に変わる。
「どっちに向かったかは、フランを傍に置いてくれるって約束したら教えてあげる。ね? いいでしょ?」
甘えた声を出しながら胸に頬を寄せるフランを引き剥がしたアルフローレンスはそのまま雪の上に突き飛ばした。
「な、何するのよ! ミュゲットの居場所知りたくないの!?」
「その情報だけでじゅうぶんだ」
「は……? まだ何も言ってないけど?」
「陛下! 皇帝陛下!」
手紙を握るシェスターが慌てて駆けつけるもアルフローレンスは歩き出した足を止めない。
「陛下、大変でございます!」
「フロガの炎帝からだろう」
「な、なぜご存知なのですか!?」
「移動する」
「す、すぐに鍵をお開けします!」
「ちょっと待ちなさいよッ!」
自分を無視して向かおうとするアルフローレンスを引き止めようとフランが追いかける。
「ミュゲットなんかのどこがいいのよ! フランのほうがずっとイイ女じゃない!」
フランの言葉にアルフローレンスは一度だけ足を止めて振り返り
「ミュゲットの気高さと純粋さは貴様のような女には一生わかるまい」
それだけ告げると去っていく後ろ姿にフランは雪を握って投げつけるが騎士たちが払い落とすせいで当たらない。
「どきなさいよ! フランを侮辱したこと絶対に許さないんだから! 絶対後悔させてやる!」
感情のままに何度もぶつけるがそれが当たることはなかった。
「無礼者め! 不敬罪だ! 閉じ込めておけ!」
「はっ!」
「ちょっ、離してよッ! フランに気安く触らないでよ! フランに触っていいのはエルドレッド様だけなんだから! アンタたちがフランにしたこと全部言いつけてやるんだからね! 覚悟しなさいよ!」
騎士の命令で兵士たちがフランを雪の上に押さえつけたあと、引きずるようにして連れていき、家の中へと放り込んだ。
「どうしてフランばっかりこんな目に遭わなきゃいけないの!? フランが何したっていうのよ! ミュゲットばっかりズルいじゃない! フランは妹なんだから大事に扱いなさいよ! でなきゃ後悔するんだからね!」
何度もドアを叩いて訴えるも兵士は「うるさい!」とドアを銃で叩いて怒鳴るだけでフランに優しくはしない。
「エルドレッド様を呼んでよ! フランがこんな目に遭ってるって聞いたら飛んできてくれるんだから! そしたらアンタたちなんか全員死刑よ!」
何を叫ぼうと兵士は振り向かない。
もうフランに優しくしてくれる兵士はいない。利用するだけ利用して権力者を見つけたら態度を変えたフランを助けようと思う者もいないのだ。それをフランはわかっていない。
「なんでミュゲットだけ……ミュゲットばっかりおかしいじゃない……。フランを差し置いてミュゲットが大事にされるなんてあっていいはずないんだから……」
フランの怒りはミュゲットに向く。
親指の爪を噛みながら呟くのは優遇され続けているミュゲットへの怒り。
「ミュゲットなんかいなくなればいいのよ……消えちゃえばいいんだ……ミュゲットがいるからフランがこんな目に遭うんだ……」
何もない壁を睨みつけながらフランはゆっくりと立ち上がり、部屋へと戻っていった。
シェスターが鍵を開けたドアの向こうは真っ暗だが電気はつけない。アルフローレンスが足を踏み入れると部屋の真ん中に魔法陣が浮かび上がった。
「陛下……」
かけたい言葉は山のようにあった。魔法陣を使っての移動といえど魔力の消費は大きい。その上、今から移動するのはあのフロガ帝国。騎士も連れずに一人で乗り込むのだから心配しないわけがない。
迎え撃つつもりでいるケオと魔力を減らした状態で向かうアルフローレンスでは戦力に差ができてしまっている。何より、アルフローレンスは今、冷静とは言い難い。ミュゲットが無事であればいいが、もし手篭めにでもされていたらアルフローレンスの暴走もありえる。それだけは避けてほしかった。
魔力は無限ではない。使えば使うほど体力も消耗していく。その消耗が大きければ大きいほど危険になる。
今ここで「お気をつけて」と言うのは簡単だが、今のアルフローレンスにはそれさえも煩わしいだろうとシェスターは口を閉じ、静かに見送った。
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