36 / 190
四度目の命日
しおりを挟む
今日はロベリアの四度目の命日。生憎の雨であり、空には今にも鳴り出しそうな雷雲が広がっている。
数日前から話し合いを重ねていたが、結局意見が交わらずに平行線を辿っていた二人は今日も朝からぶつかっていた。
「イベリス、わがままを言うな」
〈わがままなんかじゃない〉
「お前はテロスの現皇妃だ。出席しないわけにいかないだろう」
〈でも、今日は親族の方も来るし、同じ顔をした人間に会うと複雑な心境になるわ〉
「それは仕方ないだろう。お前が悪いわけじゃない」
〈私が悪いなんて話はしてない。私がロベリアに似てるのは私のせいじゃないもの。私が言ってるのはロベリアの親族が私を見て、あなたがロベリアとそっくりな女と再婚したことに皆が戸惑うって言ってるの。ここ数日ずっとね〉
「それは理解しているが、前皇妃の命日に現皇妃が欠席するなどありえんと言っているんだ。ここ数日ずっとな」
両者、出ろ出たくないの一点張りで譲らない。
命日の式典には大勢の人間が集まる。広場には前皇妃であるロベリアの肖像画が飾られ、その前には献花台が用意されるという。
雨であろうと献花台の前に行って一番に献花するのだが、イベリスはそれに行きたくないと言っている。ファーディナンドはそれに苛立っていた。
「親族に会わせないと約束すれば出席するのか?」
何故自分はこんなにもロベリアに献花したくないのだろう。その理由をここ数日ずっと考え続けているが、今日を迎えてもまだ答えが出ない。肖像画は喋らないのだから何か言われることはない。国民の言葉はわからないのだから出席することに異論はないはずなのに、イベリスは頑なに出席を拒み続けている。
〈私を出席させるのは……〉
そこまで書いてグチャグチャと雑にペンで消した。それを聞いてどうする。それを聞いたからどうなるというのだ。
「陛下、イベリス様は昨夜からあまり体調がよろしくないご様子ですので、雨の中を歩かせるというのは悪化に繋がりかねません」
ここ数日、確かにイベリスはよく咳をしている。重いものではないが、頻度が高い。
「熱は?」
「微熱程度ですが、本日は気温が低いですし、あまり無理をなさらないほうがよろしいかと」
「ロベリアの命日だというのに……」
何故晴れないんだと舌打ちをするファーディナンドが腰掛けていた椅子から立ち上がる。
「わかった。お前は出なくていい。ここにいろ」
顔を上げたイベリスに更に言葉をぶつけた。
「今日は一日出てくるな」
「陛下、それは言い過ぎでは──」
「黙れ。現皇妃としての務めを果たさぬ者が悪い」
「イベリス様は体調が優れないのです」
「出席したくないのは体調が優れないからではないだろう」
少し苛立っているような物言いにサーシャが思わず眉を寄せるもファーディナンドがそれを気にすることはない。
その言葉に引っかかったのはイベリスも同じで、顔を見ると嘲笑めいた笑みを向けているファーディナンドにメモ帳を見せた。
〈じゃあなんだって言うの?〉
「嫉妬」
怪訝な、いや、嫌悪に近い表情を浮かべるイベリスにファーディナンドが続ける。
「俺がロベリスの命日で彼女のことを愛しむのが気に入らないから出たくないとわがままを言っているんだと思うがな」
〈寝言は寝てから言ったらどう?〉
「なら出たくない理由を明確にしろ」
〈もう何十回も言ってるのにどうして理解しないの!?〉
「親族が戸惑うからなんだ? ロベリアと瓜二つの女と結婚したことは既に知れ渡っている。今更戸惑いなどないだろう」
〈話に聞くのと実際に見るのじゃ全然違うのよ。あなたは人の気持ちなんて読み取ろうともしない、できない人間だからわからないんでしょうけど、普通は相手の気分を害すことになるかもしれないと思ったらそうならないように気をつけるものなの〉
「逃げの一手に相応しい正論のように語るじゃないか」
〈ロベリアを回顧して涙を流すなら勝手にすればいい。愛を囁くなら勝手にすればいい。でもあなたの見栄で私を引っ張り出さないで〉
強気に言葉を綴るイベリスの遠慮のない言葉に不愉快を表に出すファーディナンドが再び椅子に乱暴に腰掛け、長い足を組んでテーブルを叩いた。その大きな音が聞こえないイベリスは目の前に置かれた大きな手にペン先を突き立ててやりたくなった。
こちらを睨みつけるその気の強さはロベリアの気の強さとは別物で、生意気に感じて仕方がない。似ている部分があると思うことすら腹立たしく感じていた。
「お前がロベリアと似ているのは顔だけだ」
〈でしょうね。だって私はロベリアじゃないもの。そんなのわかりきってたことでしょ〉
「不愉快だ」
〈だったら離婚執行書でも持ってきなさいよ。すぐにでもサインしてあげるから〉
頷くはずがない。半年を切った以上はここで手放すなどどんな感情を抱えていてもできるはずがないのだから。それを知っているためイベリスは強気に出続ける。
今にも噛みつきそうな顔から眉を下げる情けない顔に変わったファーディナンドがイベリスの手をそっと握った。
「イベリス、頼む。俺はお前と共にロベリアに献花したいんだ。お前と二人で生きていることを知ればロベリアも安心するだろう」
これが演技であることはイベリスにはわかっている。だから手を引き抜いて乱暴に字を書いてメモ帳を叩いた。
〈二人で献花したところで肖像画は生きてないし、そこにロベリアの魂が宿ってるわけでもない。あなたがしたいのは夫婦揃っての献花ではなく、自分はロベリアを忘れていない。それはロベリアに似た女を選んだことで伝わっているはずだという意思表示でしょ?〉
「俺がそんな男に見えるか?」
〈ええ。たとえ意思のない肖像画でも見せつけたいのよね。お前と瓜二つの女と結婚した。お前だと思っての行動だ、って〉
「被害妄想の激しいことだ」
〈事実でしょ? あなたは私に一目惚れなんてしてないし、私のことなんて愛してない。私にロベリアを重ねてるだけ。親族にもそう説明したいから私を式典に出したいんでしょ? ハッキリそう言えばいいじゃない〉
「違うと言っているのが何故理解できないんだ?」
指先でテーブルを連打するファーディナンドの苛立ちを感じながらイベリスは言い放つように言葉を書いた。
〈今を生きられない哀れな男だってことは理解してる〉
ペンを置くと同時に部屋に響いた乾いた音。サーシャが目を見開き、イベリスは強制的に向くことになった窓を見つめたまま顔を戻そうとはしなかった。
「な、何をなさるのですか! イベリス様に手を上げるなどやりすぎです!」
「俺に生意気な口を利くからだ」
〈夫婦は対等だって──〉
生意気と言われて言葉を返そうとしたイベリスからメモ帳を取り上げて壁に投げつけた。メモ帳がなければ言葉を伝えることもできない。ファーディナンドはイベリスとの会話を拒否したのだ。
「対等? 笑わせるな。こんな煩わしい思いをして会話せねばならん俺の気持ちがお前にわかるか? 誰もがそう思っている。お前のような欠陥品を嫁にもらってやったんだ。感謝こそすれ、対等だと俺に生意気な口を利くだと? 図に乗るな」
「そのような言い方はあんまりです!」
「黙れ。お前が甘やかすから夫を慕うことも忘れ、対等だと思い込み、このような日にわがままを言うんだ。人を敬うことすらできん愚図の分際で──ッ!」
もう一度乾いた音が響いた。今度はファーディナンドの顔が強制的に横を向く。教育係にさえ手を叩かれたことしかないのに、ロベリアでさえ頬を打ったことなどないのに、何故自分は今、頬を打たれたのか理解できなかった。
もう一度手を上げようとしたファーディナンドだが、守るようにサーシャに抱きしめられるイベリスの顔を見て動きが止まった。
ポンポンとサーシャの背中を叩いて身体を離してもらうとイベリスは壁に投げつけられて床に落ちたメモ帳を拾いに行き、握ったままだったペンで短く言葉を書いた。
〈出席するわ〉
顔を上げないイベリスを三秒ほど見つめたあと、ファーディナンドは何も言わず部屋を出て行った。
「イベリス様、少し失礼します」
手をうっすらと凍らせたサーシャが頬を冷やすためにイベリスの頬に触れる。気温の低い今日、氷に触れるのはとても冷たいが、今のイベリスには気にならなかった。
音など聞こえないはずなのにキーンと鳴っているような気がする。結構な力で叩かれた。
イベリスは後悔していた。自分の気持ちになど従わず、やるべきことをやると腹を括るべきだったと。自分の気持ちに従おうとしたのが間違いだったのだと。
ほんの少し、甘えたかったのかもしれない。汲み取ってほしかったのかもしれない。「今愛してるのはお前だ」と嘘でも言ってほしい気持ちがどこかにあった。一目惚れだと嘘をついて求婚までしたのだから最後までそれを嘘でも貫き通してほしかった。
多くを望みすぎた。最初からわかっていたことなのに、期待してしまった自分が悪いのだ。彼は最初からロベリアしか愛していないのに。
悲しいはずなのに涙も流れない。心がどこかへ行ってしまったように怒りも悲しみも感じない。
(彼はきっと思ってるでしょうね。この雨はロベリアの悲しみの涙だと)
数日前から話し合いを重ねていたが、結局意見が交わらずに平行線を辿っていた二人は今日も朝からぶつかっていた。
「イベリス、わがままを言うな」
〈わがままなんかじゃない〉
「お前はテロスの現皇妃だ。出席しないわけにいかないだろう」
〈でも、今日は親族の方も来るし、同じ顔をした人間に会うと複雑な心境になるわ〉
「それは仕方ないだろう。お前が悪いわけじゃない」
〈私が悪いなんて話はしてない。私がロベリアに似てるのは私のせいじゃないもの。私が言ってるのはロベリアの親族が私を見て、あなたがロベリアとそっくりな女と再婚したことに皆が戸惑うって言ってるの。ここ数日ずっとね〉
「それは理解しているが、前皇妃の命日に現皇妃が欠席するなどありえんと言っているんだ。ここ数日ずっとな」
両者、出ろ出たくないの一点張りで譲らない。
命日の式典には大勢の人間が集まる。広場には前皇妃であるロベリアの肖像画が飾られ、その前には献花台が用意されるという。
雨であろうと献花台の前に行って一番に献花するのだが、イベリスはそれに行きたくないと言っている。ファーディナンドはそれに苛立っていた。
「親族に会わせないと約束すれば出席するのか?」
何故自分はこんなにもロベリアに献花したくないのだろう。その理由をここ数日ずっと考え続けているが、今日を迎えてもまだ答えが出ない。肖像画は喋らないのだから何か言われることはない。国民の言葉はわからないのだから出席することに異論はないはずなのに、イベリスは頑なに出席を拒み続けている。
〈私を出席させるのは……〉
そこまで書いてグチャグチャと雑にペンで消した。それを聞いてどうする。それを聞いたからどうなるというのだ。
「陛下、イベリス様は昨夜からあまり体調がよろしくないご様子ですので、雨の中を歩かせるというのは悪化に繋がりかねません」
ここ数日、確かにイベリスはよく咳をしている。重いものではないが、頻度が高い。
「熱は?」
「微熱程度ですが、本日は気温が低いですし、あまり無理をなさらないほうがよろしいかと」
「ロベリアの命日だというのに……」
何故晴れないんだと舌打ちをするファーディナンドが腰掛けていた椅子から立ち上がる。
「わかった。お前は出なくていい。ここにいろ」
顔を上げたイベリスに更に言葉をぶつけた。
「今日は一日出てくるな」
「陛下、それは言い過ぎでは──」
「黙れ。現皇妃としての務めを果たさぬ者が悪い」
「イベリス様は体調が優れないのです」
「出席したくないのは体調が優れないからではないだろう」
少し苛立っているような物言いにサーシャが思わず眉を寄せるもファーディナンドがそれを気にすることはない。
その言葉に引っかかったのはイベリスも同じで、顔を見ると嘲笑めいた笑みを向けているファーディナンドにメモ帳を見せた。
〈じゃあなんだって言うの?〉
「嫉妬」
怪訝な、いや、嫌悪に近い表情を浮かべるイベリスにファーディナンドが続ける。
「俺がロベリスの命日で彼女のことを愛しむのが気に入らないから出たくないとわがままを言っているんだと思うがな」
〈寝言は寝てから言ったらどう?〉
「なら出たくない理由を明確にしろ」
〈もう何十回も言ってるのにどうして理解しないの!?〉
「親族が戸惑うからなんだ? ロベリアと瓜二つの女と結婚したことは既に知れ渡っている。今更戸惑いなどないだろう」
〈話に聞くのと実際に見るのじゃ全然違うのよ。あなたは人の気持ちなんて読み取ろうともしない、できない人間だからわからないんでしょうけど、普通は相手の気分を害すことになるかもしれないと思ったらそうならないように気をつけるものなの〉
「逃げの一手に相応しい正論のように語るじゃないか」
〈ロベリアを回顧して涙を流すなら勝手にすればいい。愛を囁くなら勝手にすればいい。でもあなたの見栄で私を引っ張り出さないで〉
強気に言葉を綴るイベリスの遠慮のない言葉に不愉快を表に出すファーディナンドが再び椅子に乱暴に腰掛け、長い足を組んでテーブルを叩いた。その大きな音が聞こえないイベリスは目の前に置かれた大きな手にペン先を突き立ててやりたくなった。
こちらを睨みつけるその気の強さはロベリアの気の強さとは別物で、生意気に感じて仕方がない。似ている部分があると思うことすら腹立たしく感じていた。
「お前がロベリアと似ているのは顔だけだ」
〈でしょうね。だって私はロベリアじゃないもの。そんなのわかりきってたことでしょ〉
「不愉快だ」
〈だったら離婚執行書でも持ってきなさいよ。すぐにでもサインしてあげるから〉
頷くはずがない。半年を切った以上はここで手放すなどどんな感情を抱えていてもできるはずがないのだから。それを知っているためイベリスは強気に出続ける。
今にも噛みつきそうな顔から眉を下げる情けない顔に変わったファーディナンドがイベリスの手をそっと握った。
「イベリス、頼む。俺はお前と共にロベリアに献花したいんだ。お前と二人で生きていることを知ればロベリアも安心するだろう」
これが演技であることはイベリスにはわかっている。だから手を引き抜いて乱暴に字を書いてメモ帳を叩いた。
〈二人で献花したところで肖像画は生きてないし、そこにロベリアの魂が宿ってるわけでもない。あなたがしたいのは夫婦揃っての献花ではなく、自分はロベリアを忘れていない。それはロベリアに似た女を選んだことで伝わっているはずだという意思表示でしょ?〉
「俺がそんな男に見えるか?」
〈ええ。たとえ意思のない肖像画でも見せつけたいのよね。お前と瓜二つの女と結婚した。お前だと思っての行動だ、って〉
「被害妄想の激しいことだ」
〈事実でしょ? あなたは私に一目惚れなんてしてないし、私のことなんて愛してない。私にロベリアを重ねてるだけ。親族にもそう説明したいから私を式典に出したいんでしょ? ハッキリそう言えばいいじゃない〉
「違うと言っているのが何故理解できないんだ?」
指先でテーブルを連打するファーディナンドの苛立ちを感じながらイベリスは言い放つように言葉を書いた。
〈今を生きられない哀れな男だってことは理解してる〉
ペンを置くと同時に部屋に響いた乾いた音。サーシャが目を見開き、イベリスは強制的に向くことになった窓を見つめたまま顔を戻そうとはしなかった。
「な、何をなさるのですか! イベリス様に手を上げるなどやりすぎです!」
「俺に生意気な口を利くからだ」
〈夫婦は対等だって──〉
生意気と言われて言葉を返そうとしたイベリスからメモ帳を取り上げて壁に投げつけた。メモ帳がなければ言葉を伝えることもできない。ファーディナンドはイベリスとの会話を拒否したのだ。
「対等? 笑わせるな。こんな煩わしい思いをして会話せねばならん俺の気持ちがお前にわかるか? 誰もがそう思っている。お前のような欠陥品を嫁にもらってやったんだ。感謝こそすれ、対等だと俺に生意気な口を利くだと? 図に乗るな」
「そのような言い方はあんまりです!」
「黙れ。お前が甘やかすから夫を慕うことも忘れ、対等だと思い込み、このような日にわがままを言うんだ。人を敬うことすらできん愚図の分際で──ッ!」
もう一度乾いた音が響いた。今度はファーディナンドの顔が強制的に横を向く。教育係にさえ手を叩かれたことしかないのに、ロベリアでさえ頬を打ったことなどないのに、何故自分は今、頬を打たれたのか理解できなかった。
もう一度手を上げようとしたファーディナンドだが、守るようにサーシャに抱きしめられるイベリスの顔を見て動きが止まった。
ポンポンとサーシャの背中を叩いて身体を離してもらうとイベリスは壁に投げつけられて床に落ちたメモ帳を拾いに行き、握ったままだったペンで短く言葉を書いた。
〈出席するわ〉
顔を上げないイベリスを三秒ほど見つめたあと、ファーディナンドは何も言わず部屋を出て行った。
「イベリス様、少し失礼します」
手をうっすらと凍らせたサーシャが頬を冷やすためにイベリスの頬に触れる。気温の低い今日、氷に触れるのはとても冷たいが、今のイベリスには気にならなかった。
音など聞こえないはずなのにキーンと鳴っているような気がする。結構な力で叩かれた。
イベリスは後悔していた。自分の気持ちになど従わず、やるべきことをやると腹を括るべきだったと。自分の気持ちに従おうとしたのが間違いだったのだと。
ほんの少し、甘えたかったのかもしれない。汲み取ってほしかったのかもしれない。「今愛してるのはお前だ」と嘘でも言ってほしい気持ちがどこかにあった。一目惚れだと嘘をついて求婚までしたのだから最後までそれを嘘でも貫き通してほしかった。
多くを望みすぎた。最初からわかっていたことなのに、期待してしまった自分が悪いのだ。彼は最初からロベリアしか愛していないのに。
悲しいはずなのに涙も流れない。心がどこかへ行ってしまったように怒りも悲しみも感じない。
(彼はきっと思ってるでしょうね。この雨はロベリアの悲しみの涙だと)
281
お気に入りに追加
885
あなたにおすすめの小説
母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語
母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・?
※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
ひとりぼっち令嬢は正しく生きたい~婚約者様、その罪悪感は不要です~
参谷しのぶ
恋愛
十七歳の伯爵令嬢アイシアと、公爵令息で王女の護衛官でもある十九歳のランダルが婚約したのは三年前。月に一度のお茶会は婚約時に交わされた約束事だが、ランダルはエイドリアナ王女の護衛という仕事が忙しいらしく、ドタキャンや遅刻や途中退席は数知れず。先代国王の娘であるエイドリアナ王女は、現国王夫妻から虐げられているらしい。
二人が久しぶりにまともに顔を合わせたお茶会で、ランダルの口から出た言葉は「誰よりも大切なエイドリアナ王女の、十七歳のデビュタントのために君の宝石を貸してほしい」で──。
アイシアはじっとランダル様を見つめる。
「忘れていらっしゃるようなので申し上げますけれど」
「何だ?」
「私も、エイドリアナ王女殿下と同じ十七歳なんです」
「は?」
「ですから、私もデビュタントなんです。フォレット伯爵家のジュエリーセットをお貸しすることは構わないにしても、大舞踏会でランダル様がエスコートしてくださらないと私、ひとりぼっちなんですけど」
婚約者にデビュタントのエスコートをしてもらえないという辛すぎる現実。
傷ついたアイシアは『ランダルと婚約した理由』を思い出した。三年前に両親と弟がいっぺんに亡くなり唯一の相続人となった自分が、国中の『ろくでなし』からロックオンされたことを。領民のことを思えばランダルが一番マシだったことを。
「婚約者として正しく扱ってほしいなんて、欲張りになっていた自分が恥ずかしい!」
初心に返ったアイシアは、立派にひとりぼっちのデビュタントを乗り切ろうと心に誓う。それどころか、エイドリアナ王女のデビュタントを成功させるため、全力でランダルを支援し始めて──。
(あれ? ランダル様が罪悪感に駆られているように見えるのは、私の気のせいよね?)
★小説家になろう様にも投稿しました★
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる