32 / 186
イベリスという少女
しおりを挟む
朝から晩まで机に齧りつく日々。座って、ペンを握って、サインをする。会議に出て、怒声と呆れと失望と賛成を繰り返し、懇願と反感を受けながらそれらを無視して執務室に戻る。
時折、自分は何故生きているのだろうと考える。なんのために生まれ、何が目的で生きているのだろうかと。
快晴、雨天、暴風、雷鳴、熱波、吹雪──どんな天気だろうと仕事はある。毎日毎日同じことを繰り返すだけの日々を生きる意味はなんだ。
凝った肩と首を動かしながら休憩する時間、ふと外を見るとイベリスとマシロが一緒に走っている。マシロは毛が長く、毛がよく抜ける。イベリスのドレスはあっという間に毛だらけになるため濃い色は着れなくなり、白ならわかりにくいからと元々好んでいた白をよく着るようになった。
凍っていた池は水へと戻り、立ち寄って水を飲むマシロをイベリスが引っ張り戻そうとするも動かない。代わりにウォルフを抱き上げて強制的に水飲み場へと運んでいく。
大きな声で吠えるマシロにイベリスは笑顔を向ける。
「うるさい……」
犬を飼うつもりはなかった。動物はもともと好きではないし、服に毛がつくのも舞うのも嫌い。赤ん坊と違って成長すれば泣かなくなるというわけではないし、言葉が通じるようになるわけでもない。寿命も短い。飼うメリットがないと思っていた。
でも今ここにはマシロがいて、イベリスは毎日散歩をさせる。ボールで遊んで、ブラッシングをして、食事も水もイベリスが用意する。悪戯をしたことはない。ダメだと言われれば理解し、大人しくしている。鬱陶しくはない。
それでも時折、マシロの存在が異常に不愉快に感じるときがある。犬より猫が好きだと言い、犬に苦手意識を持っていたロベリアが亡くなった。既に受け入れている。亡くなったのは理解している。亡くなる瞬間も、埋葬した瞬間もこの目で見ていたのだから。だが、イベリスが傍にいるとその悔しさと寂しさが少し和らぐ。中身は別人であれど黙っているとよく似ている。なのに、マシロがいるとロベリアがいないことを強く思い知らされるのだ。ロベリアがいたら絶対に犬は飼わなかった。
マシロが悪いわけではない。自分が取り寄せた犬だ。飼うと決めたのは他でもない自分。苛立つ権利などあるはずもないとわかっているのに、ファーディナンドは時折こうしてどうしようもない感情に歯を食いしばる。
「イベリス様、ボール投げるの上手くなりましたね」
ウォルフの褒め言葉に喜ぶイベリスを上から見る。
耳が聞こえないと承知で結婚した。写真で眺めるだけだったロベリアがそこにいる。存在を感じれるだけでいいと考えて求婚した。少々不便はあれど、言語表示の魔法のおかげで筆談する必要はなくなった。イベリスの言葉も表示されればいいのにとウォルフは言ったが、ファーディナンドはそうは思っていない。
イベリスは口達者だ。あっという間にメモ帳一冊埋まってしまうほどのおしゃべり好き。そんな人間の言葉が表示されて見えるとなれば鬱陶しさに苛立つのは目に見えていた。
話せなくても感情豊か。笑いの沸点が低く、あらゆることに笑う。ウォルフのくだらないジョークにも話にも。
犬の散歩をさせるのが好きで、よく食べ、よく眠る。声はないのに賑やかだと思うほどの明るさを持つ少女をロベリアとして見るのは難しかった。
ロベリアはイベリスと同じでハッキリ物を言う性格だった。明るくもあった。イベリスとの違いは気品にある。皇妃として穏やかに、そして上品に生きていた。笑顔も物腰も柔らかかった。年齢もあったかもしれないが、イベリスのような無邪気さはなかった。
ファーディナンドはうるさい女は嫌いだった。媚びを売る女も。そういった点ではイベリスは媚びず、鬱陶しさはない。
「うわっ! 待った! マシロ待て! 俺が取るから! 待て! なんで待てができないんだ!!」
「イベリス様の命令しか聞かないのよ……最悪……」
イベリスが放ったボールが池に入ってしまった。それを追いかけるマシロにウォルが慌てるのもすっかり見慣れた光景。イベリスとサーシャはこの先どうなるかわかっているため避難し、ウォルフは桟橋で溜息をついた。
スイスイ泳いで器用にボールをくわえて戻ってくる。マシロが陸に上がると長い毛が擦った水が滝のように流れ落ちる。
〈待て!〉
駆け寄ってこようとするマシロにイベリスが手のひらを向けると立ち止まる。クゥンと寂しそうに鳴いたあと、マシロはそのまま桟橋へと向かった。
「待て! 待て待て待て待て! こっちに来るな!」
桟橋から陸に帰る道は一つ。端にいるウォルフが逃げるためには池に落ちるしかない。何故すぐに身体の水を飛ばさなかったと嫌な顔をするウォルフはどうにかしてマシロの横を抜けられないか考えるも自分と同じ巨体であるマシロが真ん中に立つと両端は極端なまでに狭くなる。飛び越えるにしても大きい。
目の前で立ち止まったその一瞬をついて横を抜けたウォルフは勝ち誇った顔をした。
「よっしゃ……あ……」
逃すかと言わんばかりに身体を振って飛び散った水がウォルフの背後を襲った。前から濡れるより背後が濡れたほうが気持ち悪いと顔を歪めるウォルフがその場で崩れ落ちた。そこを狙ったように近付いて再度、身体を振ったことで前も濡れた。全身余すことなく濡れたことで諦めがついたウォルフは側に落とされたボールを持って勢いよく投げた。サーシャとイベリスの近くめがけて。
「死なば諸共! マシロ行け! ダイレクトウォーターアタックだ!」
「バカじゃないの」
さすがにダメだと判断したサーシャは目の前に氷の壁を作ってボールを弾いた。駆け出したことで重く感じた水をなくそうと身体を揺らして飛んできた飛沫も全て氷の壁によって阻まれた。
「それは卑怯だろ!」
「何が卑怯よ。故意にイベリス様濡らしてタダで済むと思わないことね」
「待って! なんだよこれ! マジ待ってくれ!」
氷の壁によって囲まれたことで焦り、必死に壁を叩いて謝罪と懇願を繰り返すウォルフを見てイベリスが笑う。
声で話せる二人と同じぐらいイベリスの笑顔は明るい。耳が聞こえないなんて、話せないなんて嘘だと思わせるほどに屈託のない笑顔を浮かべる。
休憩時間に椅子の上で目を閉じることもせず、こうして彼らを眺める時間が度々存在することにファーディナンドは気付いていない。それによって自分が微笑んでいることにも。
夜、部屋に戻るとイベリスが起きているときがある。本を読んでいることが多いのだが、この日はテラスに出て星を眺めていた。
「まだ起きていたのか」
一度振り返りはしたが、ペンは持たない。隣に立つとイベリスが夜空を指す。
「夫婦星だな」
オレンジと青白い二つの星を見上げて頷く。別に珍しくもない物を何故そんなに見ていられるのかがファーディナンドには理解できない。
「さっさと入れ。風邪をひくぞ」
頷くだけで入ろうとしない。凍えるほどの寒さではないが、羽織物が必要な程度には冷えている。ショールを巻いてはいるが、それでも防寒性はないため冷風を防げはしないだろう。
いつもは本を読んで過ごす夜。気まぐれに思い立って空を見上げることにした。そしたら星を見つけて見惚れたといったところだろうと推測し、少ししたら入ってこいと言って先に中に入った。
ファーディナンドは寝る前に本を読む趣味はない。朝から晩まで文字と向かい合っているため寝る寸前まで字に溺れたくはない。だからベッドに入って目を閉じるのだが、眠れない。
ドアが閉まる音がしないのもイベリスがベッドに入ってこないのも理由の一つではあるが、一番大きな理由は部屋に入ったときに見たイベリスの表情。
時折、イベリスは静かすぎる日がある。いつでも賑やかに感じるのに、怖いほど静かな瞬間を持っている。夜は特にそうだ。目を離せば消えてしまうのではないかと思うような静寂。ロベリアにはなかったものだ。
夜は嫌いだと言っていた。色が消えてしまうからと。そう言いながらも今、彼女は夜に浸っている。自らの足で夜に入り、空を見上げている。いや、消えた色の中で見つけた光を見ている。
音のない世界で生きてきたイベリスにとって夜は色さえも奪ってしまうから嫌いだった。だが、その中に見つけた光はとても美しく見えたのかもしれない。昼間の世界がとても美しいんだと笑ったように。
「星座には詳しいのか?」
ベッドから出て向かうはテラス。羽織っていたローブをイベリスの肩からかけて柵に肘をつく。同じ物を見上げながら問いかけてようやくイベリスがペンを持った。
〈そんなに詳しくない。あれが夫婦星だって事は知ってる〉
「俺は他にも少し知っているぞ」
〈例えば?〉
「あれが──」
必要ないと思っていた教養だが、初めて役に立った。空を彩る星を指差しながら語り部のように口を動かすファーディナンドはイベリスを柵と自分の間に入れて同じ場所で星座を見せる。自分がどれのことを言っているのかわかってほしかったのではない。彼女が、イベリスがここから消えてしまわないようにと守るようにそうしていた。
時折、自分は何故生きているのだろうと考える。なんのために生まれ、何が目的で生きているのだろうかと。
快晴、雨天、暴風、雷鳴、熱波、吹雪──どんな天気だろうと仕事はある。毎日毎日同じことを繰り返すだけの日々を生きる意味はなんだ。
凝った肩と首を動かしながら休憩する時間、ふと外を見るとイベリスとマシロが一緒に走っている。マシロは毛が長く、毛がよく抜ける。イベリスのドレスはあっという間に毛だらけになるため濃い色は着れなくなり、白ならわかりにくいからと元々好んでいた白をよく着るようになった。
凍っていた池は水へと戻り、立ち寄って水を飲むマシロをイベリスが引っ張り戻そうとするも動かない。代わりにウォルフを抱き上げて強制的に水飲み場へと運んでいく。
大きな声で吠えるマシロにイベリスは笑顔を向ける。
「うるさい……」
犬を飼うつもりはなかった。動物はもともと好きではないし、服に毛がつくのも舞うのも嫌い。赤ん坊と違って成長すれば泣かなくなるというわけではないし、言葉が通じるようになるわけでもない。寿命も短い。飼うメリットがないと思っていた。
でも今ここにはマシロがいて、イベリスは毎日散歩をさせる。ボールで遊んで、ブラッシングをして、食事も水もイベリスが用意する。悪戯をしたことはない。ダメだと言われれば理解し、大人しくしている。鬱陶しくはない。
それでも時折、マシロの存在が異常に不愉快に感じるときがある。犬より猫が好きだと言い、犬に苦手意識を持っていたロベリアが亡くなった。既に受け入れている。亡くなったのは理解している。亡くなる瞬間も、埋葬した瞬間もこの目で見ていたのだから。だが、イベリスが傍にいるとその悔しさと寂しさが少し和らぐ。中身は別人であれど黙っているとよく似ている。なのに、マシロがいるとロベリアがいないことを強く思い知らされるのだ。ロベリアがいたら絶対に犬は飼わなかった。
マシロが悪いわけではない。自分が取り寄せた犬だ。飼うと決めたのは他でもない自分。苛立つ権利などあるはずもないとわかっているのに、ファーディナンドは時折こうしてどうしようもない感情に歯を食いしばる。
「イベリス様、ボール投げるの上手くなりましたね」
ウォルフの褒め言葉に喜ぶイベリスを上から見る。
耳が聞こえないと承知で結婚した。写真で眺めるだけだったロベリアがそこにいる。存在を感じれるだけでいいと考えて求婚した。少々不便はあれど、言語表示の魔法のおかげで筆談する必要はなくなった。イベリスの言葉も表示されればいいのにとウォルフは言ったが、ファーディナンドはそうは思っていない。
イベリスは口達者だ。あっという間にメモ帳一冊埋まってしまうほどのおしゃべり好き。そんな人間の言葉が表示されて見えるとなれば鬱陶しさに苛立つのは目に見えていた。
話せなくても感情豊か。笑いの沸点が低く、あらゆることに笑う。ウォルフのくだらないジョークにも話にも。
犬の散歩をさせるのが好きで、よく食べ、よく眠る。声はないのに賑やかだと思うほどの明るさを持つ少女をロベリアとして見るのは難しかった。
ロベリアはイベリスと同じでハッキリ物を言う性格だった。明るくもあった。イベリスとの違いは気品にある。皇妃として穏やかに、そして上品に生きていた。笑顔も物腰も柔らかかった。年齢もあったかもしれないが、イベリスのような無邪気さはなかった。
ファーディナンドはうるさい女は嫌いだった。媚びを売る女も。そういった点ではイベリスは媚びず、鬱陶しさはない。
「うわっ! 待った! マシロ待て! 俺が取るから! 待て! なんで待てができないんだ!!」
「イベリス様の命令しか聞かないのよ……最悪……」
イベリスが放ったボールが池に入ってしまった。それを追いかけるマシロにウォルが慌てるのもすっかり見慣れた光景。イベリスとサーシャはこの先どうなるかわかっているため避難し、ウォルフは桟橋で溜息をついた。
スイスイ泳いで器用にボールをくわえて戻ってくる。マシロが陸に上がると長い毛が擦った水が滝のように流れ落ちる。
〈待て!〉
駆け寄ってこようとするマシロにイベリスが手のひらを向けると立ち止まる。クゥンと寂しそうに鳴いたあと、マシロはそのまま桟橋へと向かった。
「待て! 待て待て待て待て! こっちに来るな!」
桟橋から陸に帰る道は一つ。端にいるウォルフが逃げるためには池に落ちるしかない。何故すぐに身体の水を飛ばさなかったと嫌な顔をするウォルフはどうにかしてマシロの横を抜けられないか考えるも自分と同じ巨体であるマシロが真ん中に立つと両端は極端なまでに狭くなる。飛び越えるにしても大きい。
目の前で立ち止まったその一瞬をついて横を抜けたウォルフは勝ち誇った顔をした。
「よっしゃ……あ……」
逃すかと言わんばかりに身体を振って飛び散った水がウォルフの背後を襲った。前から濡れるより背後が濡れたほうが気持ち悪いと顔を歪めるウォルフがその場で崩れ落ちた。そこを狙ったように近付いて再度、身体を振ったことで前も濡れた。全身余すことなく濡れたことで諦めがついたウォルフは側に落とされたボールを持って勢いよく投げた。サーシャとイベリスの近くめがけて。
「死なば諸共! マシロ行け! ダイレクトウォーターアタックだ!」
「バカじゃないの」
さすがにダメだと判断したサーシャは目の前に氷の壁を作ってボールを弾いた。駆け出したことで重く感じた水をなくそうと身体を揺らして飛んできた飛沫も全て氷の壁によって阻まれた。
「それは卑怯だろ!」
「何が卑怯よ。故意にイベリス様濡らしてタダで済むと思わないことね」
「待って! なんだよこれ! マジ待ってくれ!」
氷の壁によって囲まれたことで焦り、必死に壁を叩いて謝罪と懇願を繰り返すウォルフを見てイベリスが笑う。
声で話せる二人と同じぐらいイベリスの笑顔は明るい。耳が聞こえないなんて、話せないなんて嘘だと思わせるほどに屈託のない笑顔を浮かべる。
休憩時間に椅子の上で目を閉じることもせず、こうして彼らを眺める時間が度々存在することにファーディナンドは気付いていない。それによって自分が微笑んでいることにも。
夜、部屋に戻るとイベリスが起きているときがある。本を読んでいることが多いのだが、この日はテラスに出て星を眺めていた。
「まだ起きていたのか」
一度振り返りはしたが、ペンは持たない。隣に立つとイベリスが夜空を指す。
「夫婦星だな」
オレンジと青白い二つの星を見上げて頷く。別に珍しくもない物を何故そんなに見ていられるのかがファーディナンドには理解できない。
「さっさと入れ。風邪をひくぞ」
頷くだけで入ろうとしない。凍えるほどの寒さではないが、羽織物が必要な程度には冷えている。ショールを巻いてはいるが、それでも防寒性はないため冷風を防げはしないだろう。
いつもは本を読んで過ごす夜。気まぐれに思い立って空を見上げることにした。そしたら星を見つけて見惚れたといったところだろうと推測し、少ししたら入ってこいと言って先に中に入った。
ファーディナンドは寝る前に本を読む趣味はない。朝から晩まで文字と向かい合っているため寝る寸前まで字に溺れたくはない。だからベッドに入って目を閉じるのだが、眠れない。
ドアが閉まる音がしないのもイベリスがベッドに入ってこないのも理由の一つではあるが、一番大きな理由は部屋に入ったときに見たイベリスの表情。
時折、イベリスは静かすぎる日がある。いつでも賑やかに感じるのに、怖いほど静かな瞬間を持っている。夜は特にそうだ。目を離せば消えてしまうのではないかと思うような静寂。ロベリアにはなかったものだ。
夜は嫌いだと言っていた。色が消えてしまうからと。そう言いながらも今、彼女は夜に浸っている。自らの足で夜に入り、空を見上げている。いや、消えた色の中で見つけた光を見ている。
音のない世界で生きてきたイベリスにとって夜は色さえも奪ってしまうから嫌いだった。だが、その中に見つけた光はとても美しく見えたのかもしれない。昼間の世界がとても美しいんだと笑ったように。
「星座には詳しいのか?」
ベッドから出て向かうはテラス。羽織っていたローブをイベリスの肩からかけて柵に肘をつく。同じ物を見上げながら問いかけてようやくイベリスがペンを持った。
〈そんなに詳しくない。あれが夫婦星だって事は知ってる〉
「俺は他にも少し知っているぞ」
〈例えば?〉
「あれが──」
必要ないと思っていた教養だが、初めて役に立った。空を彩る星を指差しながら語り部のように口を動かすファーディナンドはイベリスを柵と自分の間に入れて同じ場所で星座を見せる。自分がどれのことを言っているのかわかってほしかったのではない。彼女が、イベリスがここから消えてしまわないようにと守るようにそうしていた。
230
お気に入りに追加
903
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
わたしの婚約者の好きな人
風見ゆうみ
恋愛
わたし、アザレア・ミノン伯爵令嬢には、2つ年上のビトイ・ノーマン伯爵令息という婚約者がいる。
彼は、昔からわたしのお姉様が好きだった。
お姉様が既婚者になった今でも…。
そんなある日、仕事の出張先で義兄が事故にあい、その地で入院する為、邸にしばらく帰れなくなってしまった。
その間、実家に帰ってきたお姉様を目当てに、ビトイはやって来た。
拒んでいるふりをしながらも、まんざらでもない、お姉様。
そして、わたしは見たくもないものを見てしまう――
※史実とは関係なく、設定もゆるく、ご都合主義です。ご了承ください。
【第二部連載中】あなたの愛なんて信じない
風見ゆうみ
恋愛
シトロフ伯爵家の次女として生まれた私は、三つ年上の姉とはとても仲が良かった。
「ごめんなさい。彼のこと、昔から好きだったの」
大きくなったお腹を撫でながら、私の夫との子供を身ごもったと聞かされるまでは――
魔物との戦いで負傷した夫が、お姉様と戦地を去った時、別チームの後方支援のリーダーだった私は戦地に残った。
命懸けで戦っている間、夫は姉に誘惑され不倫していた。
しかも子供までできていた。
「別れてほしいの」
「アイミー、聞いてくれ。俺はエイミーに嘘をつかれていたんだ。大好きな弟にも軽蔑されて、愛する妻にまで捨てられるなんて可哀想なのは俺だろう? 考え直してくれ」
「絶対に嫌よ。考え直すことなんてできるわけない。お願いです。別れてください。そして、お姉様と生まれてくる子供を大事にしてあげてよ!」
「嫌だ。俺は君を愛してるんだ! エイミーのお腹にいる子は俺の子じゃない! たとえ、俺の子であっても認めない!」
別れを切り出した私に、夫はふざけたことを言い放った。
どんなに愛していると言われても、私はあなたの愛なんて信じない。
※第二部を開始しています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
もう二度とあなたの妃にはならない
葉菜子
恋愛
8歳の時に出会った婚約者である第一王子に一目惚れしたミーア。それからミーアの中心は常に彼だった。
しかし、王子は学園で男爵令嬢を好きになり、相思相愛に。
男爵令嬢を正妃に置けないため、ミーアを正妃にし、男爵令嬢を側妃とした。
ミーアの元を王子が訪れることもなく、妃として仕事をこなすミーアの横で、王子と側妃は愛を育み、妊娠した。その側妃が襲われ、犯人はミーアだと疑われてしまい、自害する。
ふと目が覚めるとなんとミーアは8歳に戻っていた。
なぜか分からないけど、せっかくのチャンス。次は幸せになってやると意気込むミーアは気づく。
あれ……、彼女と立場が入れ替わってる!?
公爵令嬢が男爵令嬢になり、人生をやり直します。
ざまぁは無いとは言い切れないですが、無いと思って頂ければと思います。
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
【本編完結済】この想いに終止符を…
春野オカリナ
恋愛
長年の婚約を解消されたシェリーネは、新しい婚約者の家に移った。
それは苦い恋愛を経験した後の糖度の高い甘い政略的なもの。
新しい婚約者ジュリアスはシェリーネを甘やかすのに慣れていた。
シェリーネの元婚約者セザールは、異母妹ロゼリナと婚約する。
シェリーネは政略、ロゼリアは恋愛…。
極端な二人の婚約は予想外な結果を生み出す事になる。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる