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言語表示の魔法
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イベリスはファーディナンドと結婚することにした。
目がハートになるほど心惹かれたわけじゃない。もうリンウッドを忘れたわけじゃない。リンウッドの熱意に負けたのと同じ心境だった。
あの日、ファーディナンドは熱烈なまでに想いを伝えてくれた。
互いに傷を持ち、それを糧に支え合えると思っていること。皇妃になってくれると嬉しいと思っていること。一生大事にすると、愛し抜くと誓えること。国中が大歓迎すること。
大袈裟な表現にも感じたが、彼が向けてくれる瞳の熱を信じて嫁ぐことにした。
遠い遠い異国の地まで馬車と船で向かい、盛大な結婚式を挙げた。純白のドレスに長い長いヴェール。両親が用意してくれたイベリスの花を使ったブーケ。
結婚式は祝福されたように晴れ、鐘が鳴り、花が舞った。
〈もう帰っちゃうの?〉
〈仕事があるからね〉
〈身体に気をつけて。もし、弟か妹ができたら知らせて〉
〈なんてこと言うの〉
〈知らせるよ〉
冗談を言い合いながらの別れは笑顔だったが寂しかった。泣かないようにするので精一杯。
「娘をよろしくお願いします」
「お任せください。必ず幸せにするとお約束します」
涙を流しながら帰っていく二人を夫婦二人で見送ったあと、ファーディナンドと話をすることになった。初夜の話だろうかと考えて熱が上がる顔を扇ぎながらあとをついていくと塔のような建物の中に入っていく。てっきり寝室に向かうのだとばかり思っていたイベリスにとってまだ案内もしてもらっていない場所は少し不気味に思えた。
隣ではなく前を歩くファーディナンドの一歩は大きく、ドレスの裾を上げながら小走りでついていく。床の上をドレスを引きずりながら歩くと擦れる感覚が気になり、何度も振り返る。せっかくの美しいドレスがボロボロになってしまうと。ファーディナンドは何も気になっていないのか目的地に着くまで一度も振り返らなかった。
ファーディナンドが着く数歩前に黒いローブを着た男がドアを開けて頭を下げる。
「おおっ、これはまさか……本当に……」
部屋の中は薄暗く、床は石造り。どこか不穏な感じにさえ思える雰囲気にドアのすぐ傍で足を止める。
ドアの前にいた男と同じ格好をした男が四人、驚いた顔でイベリスを見ていた。
城に入ってからずっと同じ表情を見ている。城中の使用人や招待客が全員こうした驚きに満ちた顔でイベリスを見るのだ。何故だろうと両親に問うと『お前があまりにも可愛いからだろう』と親バカ発言をくれたが、イベリスはそうではない気がしている。これは見惚れている表情ではなく驚愕にも似た表情。
彼らは魔法士だ。それはイベリスにもわかる。黒いローブは魔法士の証。魔法士以外が身に纏って行動した場合、逮捕と世界条例で決まっている。
(魔法士がいる塔があるなんてテロス帝国はすごいのね)
呑気なことを考えて不安を払おうとするが、ここに連れて来られたということは目的があるのはファーディナンドではなく自分。何かの魔法をかけられるのではと過ぎる不安にドレスを握る。
「言語表示の魔法をかけてくれ」
「耳が聞こえないとは災難でございますね」
「逆だ。話さないほうが静かでいい」
「ロベリア様は大変お喋り好きな方でございましたが」
「この娘はロベリアではない」
「失礼いたしました」
深々と頭を下げた魔法士が手にしていた杖で床を数回叩くと地面が光る。
「イベリス、来い」
手招きを受けるもイベリスはその場から動かず拒否した。
眉間に皺を寄せるファーディナンドが寄ってくる。それに合わせてイベリスも同じように眉を寄せた。
〈何をするつもり?〉
「残念ながらお前が何を言ってるのかまだわからん。さっさと来い」
イベリスもわからない。紙に書いてほしいと辺りを見回すと部屋の奥に机があり、その上にインクに浸けられた羽ペンと紙があった。それを取りに行こうとするも腕を掴まれ阻止される。不満げな表情を向け、奥の机を指すとファーディナンドが指を追い、何を言いたいのか気付いたが叶えようとはしなかった。
「筆談はもう必要ない」
〈何を言ってるかわからないから書いて!〉
「始めろ」
手を引いて浮かび上がる魔法陣の中へと強制的に連れて行かれる。両足に力を入れて抵抗するも体格に差がありすぎる二人では力比べにもならない。駄々をこねる幼子とその親のように力の差が明白。二人が魔法陣に入ると同時に魔法士が呪文を唱え、二人に魔法をかけた。
魔法陣の光が少し強まり、イベリスは反射的に目を閉じた。一体何が起こっているのかわからず、結婚式の間はずっと筆談をしてくれていた相手が急にそれを拒んだのかもわからずイベリスは不安で心臓がおかしくなりそうだった。
魔法陣の光が消えたことでゆっくり目を開けるも何かが変わっているようには見えない。部屋の雰囲気も、家具の配置も、ファーディナンドの姿も。自分の姿が変わったのだろうかと慌てて机の上に置いてある鏡で自分の顔を確認するも変わっていない。ホッと安堵の息を吐き出したイベリスだが
「イベリス」
目の前に突然現れた自分の名前に飛び跳ねた。
「見えるか?」
まるで目に見えない誰かに話しかけられているような気分になりながら頷く。
「それは俺が話している言葉だ」
ファーディナンドを見て目が合うと頷かれる。魔法だと告げられたイベリスは瞬かせていた目を輝かせ、その文字に触れようと手を伸ばすも抜けてしまう。
「文字は表示されるだけで組み立てられる物ではない」
〈あいうえお!〉
思い立ったように口を開けて喋る真似をするもファーディナンドのように言葉は表示されない。
「イベリスの言葉は表示できないのか?」
「これは声を表示する魔法でございまして、声なき者の言葉を表示することはできません」
「思考を表示することもできないのか?」
「できないわけではございませんが、大変高度な技術でございまして、使用できる魔法士はこの世でも限られているかと」
「めん──困ったな」
頭を掻いて言葉どおりの表情を浮かべるファーディナンドの横を通り過ぎて机へと向かうイベリスを全員が目で追う。机の上にある紙の上にペンを走らせ、その紙を持って戻ってきた。
紙に書かれた言葉に目を通したファーディナンドが微笑む。
〈書くのには慣れてるから〉
「大丈夫、だな」
立てた四本指を左胸から右胸へと移動させる手話にファーディナンドがそれが何かを答えるとイベリスが笑う。
彼が何を言おうとしていたのかイベリスにはわかった。皆そういう顔をするし、皆そう思っていることを知っているから傷ついてはいない。リンウッドが特殊だっただけ。飽きもせずに筆談をしてくれた。だから他の人もと望むことをイベリスはしない。
声で話すより時間がかかるから筆談を好まない人間が多いことを当然だとも思っている。人の時間は誰もが有限。誰だってスムーズなコミュニケーションを好む。いくら一目惚れした相手であろうとそういう手間が省けるなら省きたい。そう思って彼は魔法をかけさせたのだと納得さえしていた。
「私はこれから少し仕事をする。案内は使用人にしてもらってくれ」
頷いたイベリスは部屋から出たあと、一度振り返った。言葉の表示はない。ドア越しにまで表示はされないのか、それとも話していないのか。音のない世界に生まれたイベリスにとって声とはどういうものかわからない。ドア越しにも聞こえるものなのかどうかさえも。両親に聞こうとしたことさえない小さな疑問が今になって聞きたくなった。
もう一度ドアを開けて聞いてみようかとノブに手を伸ばす直前、後ろからさす影に気付いた。
立っていたのはメイド服を着た二十歳前後ぐらいの女性。
イベリスと目が合うと深々と頭を下げる。
〈誰?〉
右手四本指の背を右頬に当てて前後に擦るイベリスに対して女はポケットからメモ帳と鉛筆を取り出して書き始めた。
〈本日付で皇妃様の侍女となりました、サーシャと申します〉
〈よろしく〉
〈お部屋までご案内させていただきますので、どうぞこちらへ〉
イベリスが読み終えたのを確認してからメモをポケットにしまったサーシャがゆっくりと歩き出す。
伯爵令嬢でありながらイベリスは侍女をつけていなかった。出かけるときは母親かリンウッドが一緒だったから。
(今日からは侍女付き。すごい)
すごい立場になったものだとどこか他人事のように思いながらもサーシャのあとをついていく。
外観もそうだったが、内観も相応に絢爛豪華。暗くならないように等間隔に設置されたランタンが道を照らしてくれる。
まるで初めて遊園地にやってきた子供のように何度も辺りを見回しながら進んでいき、今日からここで暮らすのだと心弾ませたイベリスの足が突然止まった。
〈え……〉
塔に繋がっていた渡り廊下を過ぎて本館へと戻ってきたイベリスは塔に行く前には気付かなかったものに気付いた。外から直接塔へと向かったこともあって、存在も知らなかった物が壁にかけてあった。
後ろからついてきていた足音が止まったことに気付いたサーシャが振り返ると大きな肖像画の前で立ち止まっているイベリスの隣へと戻っていく。
〈三年前にお亡くなりになられた前皇妃のロベリア様でございます〉
丁寧な字で書かれた説明に驚いたのではない。淡々としているサーシャの態度に驚いているわけでもない。ファーディナンドの亡き妻であるロベリアの肖像画に驚いていた。
額の中で微笑む女性はイベリスと瓜二つだった。
目がハートになるほど心惹かれたわけじゃない。もうリンウッドを忘れたわけじゃない。リンウッドの熱意に負けたのと同じ心境だった。
あの日、ファーディナンドは熱烈なまでに想いを伝えてくれた。
互いに傷を持ち、それを糧に支え合えると思っていること。皇妃になってくれると嬉しいと思っていること。一生大事にすると、愛し抜くと誓えること。国中が大歓迎すること。
大袈裟な表現にも感じたが、彼が向けてくれる瞳の熱を信じて嫁ぐことにした。
遠い遠い異国の地まで馬車と船で向かい、盛大な結婚式を挙げた。純白のドレスに長い長いヴェール。両親が用意してくれたイベリスの花を使ったブーケ。
結婚式は祝福されたように晴れ、鐘が鳴り、花が舞った。
〈もう帰っちゃうの?〉
〈仕事があるからね〉
〈身体に気をつけて。もし、弟か妹ができたら知らせて〉
〈なんてこと言うの〉
〈知らせるよ〉
冗談を言い合いながらの別れは笑顔だったが寂しかった。泣かないようにするので精一杯。
「娘をよろしくお願いします」
「お任せください。必ず幸せにするとお約束します」
涙を流しながら帰っていく二人を夫婦二人で見送ったあと、ファーディナンドと話をすることになった。初夜の話だろうかと考えて熱が上がる顔を扇ぎながらあとをついていくと塔のような建物の中に入っていく。てっきり寝室に向かうのだとばかり思っていたイベリスにとってまだ案内もしてもらっていない場所は少し不気味に思えた。
隣ではなく前を歩くファーディナンドの一歩は大きく、ドレスの裾を上げながら小走りでついていく。床の上をドレスを引きずりながら歩くと擦れる感覚が気になり、何度も振り返る。せっかくの美しいドレスがボロボロになってしまうと。ファーディナンドは何も気になっていないのか目的地に着くまで一度も振り返らなかった。
ファーディナンドが着く数歩前に黒いローブを着た男がドアを開けて頭を下げる。
「おおっ、これはまさか……本当に……」
部屋の中は薄暗く、床は石造り。どこか不穏な感じにさえ思える雰囲気にドアのすぐ傍で足を止める。
ドアの前にいた男と同じ格好をした男が四人、驚いた顔でイベリスを見ていた。
城に入ってからずっと同じ表情を見ている。城中の使用人や招待客が全員こうした驚きに満ちた顔でイベリスを見るのだ。何故だろうと両親に問うと『お前があまりにも可愛いからだろう』と親バカ発言をくれたが、イベリスはそうではない気がしている。これは見惚れている表情ではなく驚愕にも似た表情。
彼らは魔法士だ。それはイベリスにもわかる。黒いローブは魔法士の証。魔法士以外が身に纏って行動した場合、逮捕と世界条例で決まっている。
(魔法士がいる塔があるなんてテロス帝国はすごいのね)
呑気なことを考えて不安を払おうとするが、ここに連れて来られたということは目的があるのはファーディナンドではなく自分。何かの魔法をかけられるのではと過ぎる不安にドレスを握る。
「言語表示の魔法をかけてくれ」
「耳が聞こえないとは災難でございますね」
「逆だ。話さないほうが静かでいい」
「ロベリア様は大変お喋り好きな方でございましたが」
「この娘はロベリアではない」
「失礼いたしました」
深々と頭を下げた魔法士が手にしていた杖で床を数回叩くと地面が光る。
「イベリス、来い」
手招きを受けるもイベリスはその場から動かず拒否した。
眉間に皺を寄せるファーディナンドが寄ってくる。それに合わせてイベリスも同じように眉を寄せた。
〈何をするつもり?〉
「残念ながらお前が何を言ってるのかまだわからん。さっさと来い」
イベリスもわからない。紙に書いてほしいと辺りを見回すと部屋の奥に机があり、その上にインクに浸けられた羽ペンと紙があった。それを取りに行こうとするも腕を掴まれ阻止される。不満げな表情を向け、奥の机を指すとファーディナンドが指を追い、何を言いたいのか気付いたが叶えようとはしなかった。
「筆談はもう必要ない」
〈何を言ってるかわからないから書いて!〉
「始めろ」
手を引いて浮かび上がる魔法陣の中へと強制的に連れて行かれる。両足に力を入れて抵抗するも体格に差がありすぎる二人では力比べにもならない。駄々をこねる幼子とその親のように力の差が明白。二人が魔法陣に入ると同時に魔法士が呪文を唱え、二人に魔法をかけた。
魔法陣の光が少し強まり、イベリスは反射的に目を閉じた。一体何が起こっているのかわからず、結婚式の間はずっと筆談をしてくれていた相手が急にそれを拒んだのかもわからずイベリスは不安で心臓がおかしくなりそうだった。
魔法陣の光が消えたことでゆっくり目を開けるも何かが変わっているようには見えない。部屋の雰囲気も、家具の配置も、ファーディナンドの姿も。自分の姿が変わったのだろうかと慌てて机の上に置いてある鏡で自分の顔を確認するも変わっていない。ホッと安堵の息を吐き出したイベリスだが
「イベリス」
目の前に突然現れた自分の名前に飛び跳ねた。
「見えるか?」
まるで目に見えない誰かに話しかけられているような気分になりながら頷く。
「それは俺が話している言葉だ」
ファーディナンドを見て目が合うと頷かれる。魔法だと告げられたイベリスは瞬かせていた目を輝かせ、その文字に触れようと手を伸ばすも抜けてしまう。
「文字は表示されるだけで組み立てられる物ではない」
〈あいうえお!〉
思い立ったように口を開けて喋る真似をするもファーディナンドのように言葉は表示されない。
「イベリスの言葉は表示できないのか?」
「これは声を表示する魔法でございまして、声なき者の言葉を表示することはできません」
「思考を表示することもできないのか?」
「できないわけではございませんが、大変高度な技術でございまして、使用できる魔法士はこの世でも限られているかと」
「めん──困ったな」
頭を掻いて言葉どおりの表情を浮かべるファーディナンドの横を通り過ぎて机へと向かうイベリスを全員が目で追う。机の上にある紙の上にペンを走らせ、その紙を持って戻ってきた。
紙に書かれた言葉に目を通したファーディナンドが微笑む。
〈書くのには慣れてるから〉
「大丈夫、だな」
立てた四本指を左胸から右胸へと移動させる手話にファーディナンドがそれが何かを答えるとイベリスが笑う。
彼が何を言おうとしていたのかイベリスにはわかった。皆そういう顔をするし、皆そう思っていることを知っているから傷ついてはいない。リンウッドが特殊だっただけ。飽きもせずに筆談をしてくれた。だから他の人もと望むことをイベリスはしない。
声で話すより時間がかかるから筆談を好まない人間が多いことを当然だとも思っている。人の時間は誰もが有限。誰だってスムーズなコミュニケーションを好む。いくら一目惚れした相手であろうとそういう手間が省けるなら省きたい。そう思って彼は魔法をかけさせたのだと納得さえしていた。
「私はこれから少し仕事をする。案内は使用人にしてもらってくれ」
頷いたイベリスは部屋から出たあと、一度振り返った。言葉の表示はない。ドア越しにまで表示はされないのか、それとも話していないのか。音のない世界に生まれたイベリスにとって声とはどういうものかわからない。ドア越しにも聞こえるものなのかどうかさえも。両親に聞こうとしたことさえない小さな疑問が今になって聞きたくなった。
もう一度ドアを開けて聞いてみようかとノブに手を伸ばす直前、後ろからさす影に気付いた。
立っていたのはメイド服を着た二十歳前後ぐらいの女性。
イベリスと目が合うと深々と頭を下げる。
〈誰?〉
右手四本指の背を右頬に当てて前後に擦るイベリスに対して女はポケットからメモ帳と鉛筆を取り出して書き始めた。
〈本日付で皇妃様の侍女となりました、サーシャと申します〉
〈よろしく〉
〈お部屋までご案内させていただきますので、どうぞこちらへ〉
イベリスが読み終えたのを確認してからメモをポケットにしまったサーシャがゆっくりと歩き出す。
伯爵令嬢でありながらイベリスは侍女をつけていなかった。出かけるときは母親かリンウッドが一緒だったから。
(今日からは侍女付き。すごい)
すごい立場になったものだとどこか他人事のように思いながらもサーシャのあとをついていく。
外観もそうだったが、内観も相応に絢爛豪華。暗くならないように等間隔に設置されたランタンが道を照らしてくれる。
まるで初めて遊園地にやってきた子供のように何度も辺りを見回しながら進んでいき、今日からここで暮らすのだと心弾ませたイベリスの足が突然止まった。
〈え……〉
塔に繋がっていた渡り廊下を過ぎて本館へと戻ってきたイベリスは塔に行く前には気付かなかったものに気付いた。外から直接塔へと向かったこともあって、存在も知らなかった物が壁にかけてあった。
後ろからついてきていた足音が止まったことに気付いたサーシャが振り返ると大きな肖像画の前で立ち止まっているイベリスの隣へと戻っていく。
〈三年前にお亡くなりになられた前皇妃のロベリア様でございます〉
丁寧な字で書かれた説明に驚いたのではない。淡々としているサーシャの態度に驚いているわけでもない。ファーディナンドの亡き妻であるロベリアの肖像画に驚いていた。
額の中で微笑む女性はイベリスと瓜二つだった。
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