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13話 筋肉がお仕事

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 屋上から出ると、皇が、「大丈夫ですか」と呟いた。

「雷で、怪我をしてませんか」

「はい」

「よかったです。それにしても、今日の気候と気流で雷雲が発生するなんて……。上にアンテナがあったのに、あの人に雷が直撃したのも、理由が分かりません。何より、あの人はどこへ……?」

「そんなことより、かっこよかったです。また見せてください」

 私は、ぎゅっと両手を握って話題を逸らした。
 ふふ。さりげなく握手をしてしまった。嬉しい。
 そして、ちらりとはだける服の中を覗いた。
 うっ…………! 遠くから見るよりますますいい…………! うっすら浮かぶ腹筋の筋……! 好きすぎる……!!
 プールの時期が楽しみだ…………!

 ジャックは害悪な男だが、皇の体と格闘シーンを見せてくれたことだけは、素晴らしい功績を上げたと言っていい。
 またやらせよう。

「キルコさん。
 あの人の言っていたことですが、苦手なことは人それぞれ必ずあるので、気にしないでください。僕はキルコさんのどんなところも、全部、尊重します。キルコさんがどんな人でも、全部。
 お部屋の掃除もいつでも手伝うので、言ってください」
 
 ……今はもう綺麗だが。

 それに、神である私の空間に入ることなどできないし、私は神だから苦手なことも欠点もない。
 いろいろ突っ込むところはあったが、飲み込んだ。
 
 皇のまっすぐな気持ちが、ただ嬉しくて尊かった。

 ずっと推そう。
 私は密かに決意した。
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