スノウ・ホワイト

ねおきてる

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低く高く調子をつけて音は近くに這い寄ります。


変わり果てた彼女の姿はさながら魔女のようでした。


木の幹のように皺が走り、あんなに高く滑らかな鼻は重く曲がって垂れ下がり、杖に支えられるように腰をもたげて立っています。


けれど、布から刺すような眼光を放つ二つの目はやはり彼女のものでした。


乾ききった唇は、薄く開いて奇妙な音を漏らすように吐き出します。


いつしか体は凍りつき、日差しも風もすりぬけて、ただ時間が流れます。


ずるり、ずるり。


彼女は布を引きずりながら、一歩一歩前進して、ふと、立ち止まりました。


何が楽しいのか口角はほんのり上がっておりました。


唇からは歌を吐き出し、見開いた目でどこか一点を食い入るように見つめます。


ただ、鳥や草木が騒ぎ何もない方向を歌いながら見るのです。


と、その時でした。


見開いた目の眼球だけが、ぐるり、こちらを向きました。


その気味の悪さと言ったら!


声すら忘れたわたくしはカーテンをぎゅっと掴む事がその瞬間の精一杯でした。


彼女は体をこちらに向け、前へ前へ進みます。


もう、どこに逃げ場がありましょう。


意思も持たない両手足、狭いお部屋、深い森。


凍てついた眼球は、わたくしをしっかり捉えて近づきます。


伸びてくる音階はわたくしに絡まって動けないようにしておりました。


一歩一歩と近づいて、彼女は息もかかりそうなほど近づいて止まりました。

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