スノウ・ホワイト

ねおきてる

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3.

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ある夜の事でした。


一人花畑を眺めながら歌を小さく口ずさむと、歌に時折話し声が混じるのを聞きました。


歌うのを止めてみて、耳をそばだてていた所、声は隣の父の部屋からつづいておりました。


よく聞いておりますと、音はどうやら会話のようで、あの側近と父が二人話しているのだと知りました。


「・・・だからどうするべきなのか迷っているという事だ。」


父はどうやら酔った口調で側近に言いました。


「それは女王様の事で?」


その側近の口ぶりは相談に乗ってるようだけれど、どこか人様の内情を楽しんでいるようにも聞こえました。


「皆まで言わせるんじゃない。」


怒ったように父は返し、少し間をおいて言いました。


「後継者を・・・どうするべきか、という事だ。」


この頃は継母が城に来て、もういくつか過ぎた頃でした。


自身の後継者となる息子を心底切望した父は、母亡き後に来た彼女を周りが少し呆れる程それは大事にしておりました。


けれど、彼がどんなに待てども子供を授かる気配はちっとも二人に訪れなかったのです。


「男である後継者が、この国には必要なのだ。私亡き後、この国の采配をとるべき者が。」


「その者を授からないのは女王様のせいと?」


軽々しい口調で側近が聞き、会話が少し途絶えました。


きっと側近のこの返しが父の気に障ったのだと思います。


事実、父は高齢で体もだいぶ弱っており、もう子供を授かるには難しい状況になっていました。


きっと、それを彼自身、自覚はしていたのでしょう。


けれどそれは父の自尊心をも傷つけることになるようでした。
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