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イタズラオバケ
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和歌は哲宗のことを「てつさん」と呼んでいました。
哲宗は和歌のことを「わかさん」と呼んでいました。
オバケのソラはこのお寺に迷い込んで来た時から
ふたりのマネをして、ふたりのことを
「てつさん」 「わかさん」と呼んでいました。
ソラという名前は哲宗が考えてくれました。
「空にしよう。くうという呼び方とソラという呼び方どちらがいいかな?」
「ソラがいい!」
ソラは自分の名前があることがとても嬉しかったのです。
ソラは名前を付けられる前にオバケになってしまったのです。
何年も前のことです。
小さな子どものオバケは行く所も帰る所もわからなくなってしまい
いつの間にかたどり着いた
このお寺の門から中をのぞいていたところ
和歌と目が合ったのです。
「まぁ、かわいらしいオバケさんだこと。」
和歌は自分の子どものようにソラのことをかわいがってくれました。
恥ずかしがり屋で怖がりのソラも人間界の暮らしにだんだん慣れて行きました。
お寺に来たお客さんと初めて会ったとき
和歌のそばに立っているソラを見たお客さんが
びっくりし過ぎて腰を抜かしてしまいました。
「な、なんだ!それは?それ。」
お客さんはソラを指差しました。
「何か見えますか?」
哲宗は知らん顔をしています。
「ソラ、透明になれる?」
和歌が小さい声で言いました。
「うん。なれるよ。」
そう言うと、ソラはお客さんからは
すぐに見えなくなってしまいました。
「私の見間違いか?」
お客さんは目をこすりながらそう言いました。
「疲れているのではないですか?お茶でも飲みましょう。」
哲宗と和歌とお客さんは
畳に正座をしてお茶を飲みながら
お話ししていました。
いたずらっ子のソラは
お客さんにそっと近づくと
耳元にフッと息を吹きかけました。
「わ!」
お客さんはびっくりして持っていた湯呑みを放り投げてしまいました。
「大丈夫ですか?」
和歌が慌ててお客さんのぬれた服を拭くものを取りに行きました。
「今、今、耳元で誰かが、息をフーっとね。」
「風が吹き抜けて行ったのでしょう。」
哲宗が落ち着いて言いました。
「か、風? あれは風なのかな?」
お客さんは首をかしげましたが、
お坊さんが言うのなら、風なのだろう、と思いました。
ソラはお客さんがおどろくのがおもしろくて
ずっと大笑いしていました。
「ソラ、ちょっとここに座りなさい。」
お客さんが帰ったあと
ソラは哲宗からお説教されました。
哲宗は和歌のことを「わかさん」と呼んでいました。
オバケのソラはこのお寺に迷い込んで来た時から
ふたりのマネをして、ふたりのことを
「てつさん」 「わかさん」と呼んでいました。
ソラという名前は哲宗が考えてくれました。
「空にしよう。くうという呼び方とソラという呼び方どちらがいいかな?」
「ソラがいい!」
ソラは自分の名前があることがとても嬉しかったのです。
ソラは名前を付けられる前にオバケになってしまったのです。
何年も前のことです。
小さな子どものオバケは行く所も帰る所もわからなくなってしまい
いつの間にかたどり着いた
このお寺の門から中をのぞいていたところ
和歌と目が合ったのです。
「まぁ、かわいらしいオバケさんだこと。」
和歌は自分の子どものようにソラのことをかわいがってくれました。
恥ずかしがり屋で怖がりのソラも人間界の暮らしにだんだん慣れて行きました。
お寺に来たお客さんと初めて会ったとき
和歌のそばに立っているソラを見たお客さんが
びっくりし過ぎて腰を抜かしてしまいました。
「な、なんだ!それは?それ。」
お客さんはソラを指差しました。
「何か見えますか?」
哲宗は知らん顔をしています。
「ソラ、透明になれる?」
和歌が小さい声で言いました。
「うん。なれるよ。」
そう言うと、ソラはお客さんからは
すぐに見えなくなってしまいました。
「私の見間違いか?」
お客さんは目をこすりながらそう言いました。
「疲れているのではないですか?お茶でも飲みましょう。」
哲宗と和歌とお客さんは
畳に正座をしてお茶を飲みながら
お話ししていました。
いたずらっ子のソラは
お客さんにそっと近づくと
耳元にフッと息を吹きかけました。
「わ!」
お客さんはびっくりして持っていた湯呑みを放り投げてしまいました。
「大丈夫ですか?」
和歌が慌ててお客さんのぬれた服を拭くものを取りに行きました。
「今、今、耳元で誰かが、息をフーっとね。」
「風が吹き抜けて行ったのでしょう。」
哲宗が落ち着いて言いました。
「か、風? あれは風なのかな?」
お客さんは首をかしげましたが、
お坊さんが言うのなら、風なのだろう、と思いました。
ソラはお客さんがおどろくのがおもしろくて
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「ソラ、ちょっとここに座りなさい。」
お客さんが帰ったあと
ソラは哲宗からお説教されました。
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