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クリスの話
兄が語る、弟の過去
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マキシミリアンは、俺と一番上の弟にとっては、かなり年の離れた弟でした。
マキシミリアンが生まれたばかりの頃は、マキシミリアンのすぐ上の姉ーー俺にとっては妹です。にべったりとくっついていました。
その頃、父上も母上も、俺と一番上の弟にべったりとくっついており、また、ようやく生まれた娘である妹ばかり大切にしていました。
要は、マキシミリアンは放任されていたんです。
けれども、マキシミリアンには、ちゃんと乳母がついていました。ですから、全く放任されていた訳ではないんです。
ただ、両親からは見てもらえませんでした。
マキシミリアンは誰よりも努力家で、両親に関心を持ってもらう為に、兄弟の中で一番、努力していました。
それでも、両親は見てくれなかったようですが。
俺と一番上の弟も、丁度、騎士団に入る者が必ず入る騎士学校に入学したばかりで、とてもマキシミリアンに気を配る事が出来ませんでした。
そんなマキシミリアンを唯一、気にかけていたのが妹でした。
マキシミリアンは妹にべったりくっついて、妹の真似ばかりしていました。
知っていますか? マキシミリアンは妹の真似をして、ドレスを着た事もあるんですよ。
その時の絵を残せなかった事を、俺と一番上の弟は、かなり悔いています。
可愛いマキシミリアンの姿を見たかったと。
やがて、俺と一番上の弟が騎士団に入隊し、妹が行儀見習いとして外に出されると、両親の注目はマキシミリアンに移りました。
さぞかし、マキシミリアンは戸惑ったと思います。
今まで、放任していた両親が、今度は自分に関心を持つようになったんです。
かなりウンザリしていたと思いますよ。
この時のマキシミリアンは、貴族の子息が通う学校に通学していました。
マキシミリアンは自宅から通いで通学していましたが、今までは放任していた両親が、学校にまで押し掛ける程、べったりになっていたんです。
何をするにも、両親に見られて。
何をするにも、両親の許可を得て。
何をしたにも、両親に報告しなければならない。
これは、妹が行儀見習いから帰ってきて、両親の関心が、また妹に移るまで続いたそうです。
やがて、妹は両親が決めた縁談相手の元に嫁ぐと、また両親の関心はマキシミリアンに戻りました。
その頃のマキシミリアンは、ほとんど、家族と顔を合わせる事がありませんでした。
家に居ても、ほとんど自室にこもっていて、食事も部屋に運ばせていました。
俺達が部屋を訪れても、顔を見せてもくれませんでした。
そうして、学校を卒業したマキシミリアンは、騎士学校に入学しました。
俺達は自宅から騎士団に通っていましたが、マキシミリアンは騎士学校の宿舎に入って。
騎士団に入ってからは、そのまま、騎士団の宿舎に入りました。
とうとう、騎士学校に入学してから、マキシミリアンは一度も自宅に帰ってきませんでした。
妹が行儀見習いから帰ってきた後は、俺も、一番上の弟も、遠方地に配属されて、家を出ていました。
それもいけなかったのかもしれません。
俺達がもっと早く、マキシミリアンの様子に気づいていたのならば、マキシミリアンは、弟は、辛い思いをせずに済んだのかもしれないと。
全て、結果論にしか過ぎませんが。
一番上の弟が婿入りの縁談を受けて、家を旅立つ事になった時も、マキシミリアンは帰ってきませんでした。
その数日後、マキシミリアンはドラゴン討伐の任務を受けて、騎士団の宿舎を出発したそうです。
俺達がマキシミリアンを、ドラゴン討伐の任務中に亡くなった事を知ったのは、逃げ帰ってきたマキシミリアンと同じ部隊の騎士達が戻ってきた時でした。
その時の両親の慟哭に違和感を抱いたのは、俺だけではありませんでした。
マキシミリアンの死を聞いて、一時的に帰省した一番上の弟と妹も思ったそうです。
ーーこの両親の愛情は、狂っていると。
マキシミリアンに執着するような嘆き、今まで放任した事を否定するような言葉の数々を、両親は口々に告げました。
俺達兄弟は、両親に振り回されていたんじゃないかと。
子供とはそういうものかもしれません。
両親が干渉するのが当たり前、放任するのも当たり前だと。
しかし、本当に愛を欲した時に与えられず、求めていない時に与えられる愛を、果たして本当に愛と言えるのでしょうか?
抱きしめられたい時に、抱きしめられなかった。
褒めて欲しいとやってきた時に、褒めてもらえなかった。
挨拶を言ったのに、挨拶を返してもらえなかった。
それを当たり前だと学んでから、掌を返したように、あの時に求めていたものを与えられる。それも必要以上に、
それを苦痛に感じていたのでしょう。
大切な弟は。
「両親の過保護が酷くなってきた辺りから、マキシミリアンは笑わなくなりました。いつも、何かをグッと堪えているような顔をするようになりました」
「そんな、ことが……」
「マキシミリアンが必要以上に、騎士団、それも仲間達の輪に溶け込もうとするのは、おそらく、居場所が欲しかったんです。安心して、自分を晒け出せる場所が」
俺達では力不足でしたから、と、クリスの実兄は苦笑した。
「だからこそ、貴方とーーアメリアさんやコハクちゃんと、一緒にいるマキシミリアンを見た時に、兄として、とても安心しました。ああやって、笑っている弟の姿を見れた事が。ようやく、居場所を得られたのだと」
「そ、そんなこと……」
アメリアが戸惑っていると、実兄は頭一つ分背の低いアメリアと、目線を合わせるように屈んだのだった。
「貴方の噂は聞いています。彼の国が異世界から召喚した、異世界からの客人である事は」
アメリアは驚きで目を見張る。実兄は、何でもないことのように続けた。
「彼の国で二番目に召喚された客人は、自らの使命を果たして、無事に元の世界に帰っていったそうです。国王からの縁談を跳ね除けた話は、今や武勇伝として語られています」
「そ、そうなんですか!?」
アメリアは、自分と同じように異世界から召喚されてーーアメリアが出来なかった国の救世主となった、女性を思い浮かべた。
無事に使命を果たし終えて、第一皇子との縁談を跳ね除けて帰れたのか、と。
「貴方も、いずれは自分の居た世界に帰りますか? いえ、帰りたいと願っていますか?」
「どうして、そんな事を聞くんですか?」
アメリアが驚きで目を見開いていると、実兄は柔らかく微笑んだ。
「俺は、今でこそ、父上の跡を継ぐ為に騎士団を辞めてしまいましたが、今もまだ騎士団時代の繋がりがあります。それを使えば、貴方を元の世界に返す事が出来るかもしれません」
「そ、そんな事が出来るんですか?」
アメリアが緊張して見つめると、クリスの実兄は、またふっと笑みを浮かべた。
「当時の人脈を利用すれば、出来るかもしれないと言う話だけです。確証はありません」
「で、ですよね~」
緊張が解けたアメリアは、ははは、と力無く笑ったのだった。
「ただ、弟が大切に思っている貴方の為に、私も助力は惜しみません。貴方が元の世界に帰りたいと願ったのならば、私も協力をしましょう。勿論、その逆も」
その時、部屋に使用人が入ってきた。三人があまりに遅いから、迎えに来たのだろう。
クリスの実兄は使用人に、すぐに行くと言うと、端的に告げた。
「俺は、大切な弟が傷ついている時に力になれなかった。兄として頼ってもらえなかった事を今でも悔やんでいます。だからこそ、貴方達が弟と、これからも一緒に居てくれるというのなら、協力したいと思っています」
忘れないで下さい。と念を押すと、クリスの実兄は部屋を出て行ったのだった。
アメリアは迎えに来た使用人から、部屋の用意が整った事と、すぐに晩餐だと教えられた。
そうして、コハクを腕に抱いたまま、部屋に案内をしてくれる使用人の後について歩く。
アメリアは知らず、コハクを抱く腕に、力を込めていたのだった。
マキシミリアンが生まれたばかりの頃は、マキシミリアンのすぐ上の姉ーー俺にとっては妹です。にべったりとくっついていました。
その頃、父上も母上も、俺と一番上の弟にべったりとくっついており、また、ようやく生まれた娘である妹ばかり大切にしていました。
要は、マキシミリアンは放任されていたんです。
けれども、マキシミリアンには、ちゃんと乳母がついていました。ですから、全く放任されていた訳ではないんです。
ただ、両親からは見てもらえませんでした。
マキシミリアンは誰よりも努力家で、両親に関心を持ってもらう為に、兄弟の中で一番、努力していました。
それでも、両親は見てくれなかったようですが。
俺と一番上の弟も、丁度、騎士団に入る者が必ず入る騎士学校に入学したばかりで、とてもマキシミリアンに気を配る事が出来ませんでした。
そんなマキシミリアンを唯一、気にかけていたのが妹でした。
マキシミリアンは妹にべったりくっついて、妹の真似ばかりしていました。
知っていますか? マキシミリアンは妹の真似をして、ドレスを着た事もあるんですよ。
その時の絵を残せなかった事を、俺と一番上の弟は、かなり悔いています。
可愛いマキシミリアンの姿を見たかったと。
やがて、俺と一番上の弟が騎士団に入隊し、妹が行儀見習いとして外に出されると、両親の注目はマキシミリアンに移りました。
さぞかし、マキシミリアンは戸惑ったと思います。
今まで、放任していた両親が、今度は自分に関心を持つようになったんです。
かなりウンザリしていたと思いますよ。
この時のマキシミリアンは、貴族の子息が通う学校に通学していました。
マキシミリアンは自宅から通いで通学していましたが、今までは放任していた両親が、学校にまで押し掛ける程、べったりになっていたんです。
何をするにも、両親に見られて。
何をするにも、両親の許可を得て。
何をしたにも、両親に報告しなければならない。
これは、妹が行儀見習いから帰ってきて、両親の関心が、また妹に移るまで続いたそうです。
やがて、妹は両親が決めた縁談相手の元に嫁ぐと、また両親の関心はマキシミリアンに戻りました。
その頃のマキシミリアンは、ほとんど、家族と顔を合わせる事がありませんでした。
家に居ても、ほとんど自室にこもっていて、食事も部屋に運ばせていました。
俺達が部屋を訪れても、顔を見せてもくれませんでした。
そうして、学校を卒業したマキシミリアンは、騎士学校に入学しました。
俺達は自宅から騎士団に通っていましたが、マキシミリアンは騎士学校の宿舎に入って。
騎士団に入ってからは、そのまま、騎士団の宿舎に入りました。
とうとう、騎士学校に入学してから、マキシミリアンは一度も自宅に帰ってきませんでした。
妹が行儀見習いから帰ってきた後は、俺も、一番上の弟も、遠方地に配属されて、家を出ていました。
それもいけなかったのかもしれません。
俺達がもっと早く、マキシミリアンの様子に気づいていたのならば、マキシミリアンは、弟は、辛い思いをせずに済んだのかもしれないと。
全て、結果論にしか過ぎませんが。
一番上の弟が婿入りの縁談を受けて、家を旅立つ事になった時も、マキシミリアンは帰ってきませんでした。
その数日後、マキシミリアンはドラゴン討伐の任務を受けて、騎士団の宿舎を出発したそうです。
俺達がマキシミリアンを、ドラゴン討伐の任務中に亡くなった事を知ったのは、逃げ帰ってきたマキシミリアンと同じ部隊の騎士達が戻ってきた時でした。
その時の両親の慟哭に違和感を抱いたのは、俺だけではありませんでした。
マキシミリアンの死を聞いて、一時的に帰省した一番上の弟と妹も思ったそうです。
ーーこの両親の愛情は、狂っていると。
マキシミリアンに執着するような嘆き、今まで放任した事を否定するような言葉の数々を、両親は口々に告げました。
俺達兄弟は、両親に振り回されていたんじゃないかと。
子供とはそういうものかもしれません。
両親が干渉するのが当たり前、放任するのも当たり前だと。
しかし、本当に愛を欲した時に与えられず、求めていない時に与えられる愛を、果たして本当に愛と言えるのでしょうか?
抱きしめられたい時に、抱きしめられなかった。
褒めて欲しいとやってきた時に、褒めてもらえなかった。
挨拶を言ったのに、挨拶を返してもらえなかった。
それを当たり前だと学んでから、掌を返したように、あの時に求めていたものを与えられる。それも必要以上に、
それを苦痛に感じていたのでしょう。
大切な弟は。
「両親の過保護が酷くなってきた辺りから、マキシミリアンは笑わなくなりました。いつも、何かをグッと堪えているような顔をするようになりました」
「そんな、ことが……」
「マキシミリアンが必要以上に、騎士団、それも仲間達の輪に溶け込もうとするのは、おそらく、居場所が欲しかったんです。安心して、自分を晒け出せる場所が」
俺達では力不足でしたから、と、クリスの実兄は苦笑した。
「だからこそ、貴方とーーアメリアさんやコハクちゃんと、一緒にいるマキシミリアンを見た時に、兄として、とても安心しました。ああやって、笑っている弟の姿を見れた事が。ようやく、居場所を得られたのだと」
「そ、そんなこと……」
アメリアが戸惑っていると、実兄は頭一つ分背の低いアメリアと、目線を合わせるように屈んだのだった。
「貴方の噂は聞いています。彼の国が異世界から召喚した、異世界からの客人である事は」
アメリアは驚きで目を見張る。実兄は、何でもないことのように続けた。
「彼の国で二番目に召喚された客人は、自らの使命を果たして、無事に元の世界に帰っていったそうです。国王からの縁談を跳ね除けた話は、今や武勇伝として語られています」
「そ、そうなんですか!?」
アメリアは、自分と同じように異世界から召喚されてーーアメリアが出来なかった国の救世主となった、女性を思い浮かべた。
無事に使命を果たし終えて、第一皇子との縁談を跳ね除けて帰れたのか、と。
「貴方も、いずれは自分の居た世界に帰りますか? いえ、帰りたいと願っていますか?」
「どうして、そんな事を聞くんですか?」
アメリアが驚きで目を見開いていると、実兄は柔らかく微笑んだ。
「俺は、今でこそ、父上の跡を継ぐ為に騎士団を辞めてしまいましたが、今もまだ騎士団時代の繋がりがあります。それを使えば、貴方を元の世界に返す事が出来るかもしれません」
「そ、そんな事が出来るんですか?」
アメリアが緊張して見つめると、クリスの実兄は、またふっと笑みを浮かべた。
「当時の人脈を利用すれば、出来るかもしれないと言う話だけです。確証はありません」
「で、ですよね~」
緊張が解けたアメリアは、ははは、と力無く笑ったのだった。
「ただ、弟が大切に思っている貴方の為に、私も助力は惜しみません。貴方が元の世界に帰りたいと願ったのならば、私も協力をしましょう。勿論、その逆も」
その時、部屋に使用人が入ってきた。三人があまりに遅いから、迎えに来たのだろう。
クリスの実兄は使用人に、すぐに行くと言うと、端的に告げた。
「俺は、大切な弟が傷ついている時に力になれなかった。兄として頼ってもらえなかった事を今でも悔やんでいます。だからこそ、貴方達が弟と、これからも一緒に居てくれるというのなら、協力したいと思っています」
忘れないで下さい。と念を押すと、クリスの実兄は部屋を出て行ったのだった。
アメリアは迎えに来た使用人から、部屋の用意が整った事と、すぐに晩餐だと教えられた。
そうして、コハクを腕に抱いたまま、部屋に案内をしてくれる使用人の後について歩く。
アメリアは知らず、コハクを抱く腕に、力を込めていたのだった。
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