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第一部
★介添え【2】
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花の様な甘い香りに包まれる中、モニカはマキウスに頭を洗われていた。
「力加減はこれくらいでいいですか? もし、洗い残しがあれば言って下さい」
「……大丈夫です」
バスタブの前で胸元までタオルを巻いて椅子に座ったモニカの後ろには、上半身裸になったマキウスが頭を洗ってくれていた。
「もう少し、うなじの辺りを洗いましょうか。耳の後ろや毛先も」
最初こそ、他人に洗われるという行為に緊張と不安があったが、的確に痒いところに手が届くマキウスの手つきに、モニカはすっかりリラックスしていた。
(これなら、人に洗われるのも悪くないかも……)
この世界で目覚めたばかりの頃は、さすがに沐浴が出来なかったので、ベッドの上で服を脱いで、ティカたちメイドに身体を拭かれていた。
その後、モニカを診察してくれていた医師から沐浴の許可が下りてからも、最初はメイドたちが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたが、他人に見られる中、沐浴をするのが恥ずかしいのと、人数が少ないメイドたちをモニカの沐浴に付き合わせるのが申し訳ない気持ちになり、この世界での沐浴のやり方に慣れるなり、一人で入るようになったのだった。
「モニカ? 先程から静かですが、何か気掛かりでも……」
「あ、いえ! 気持ち良くて、ついぼうっとしていただけです」
「それは良かったです。自分以外を洗う機会がないので、あまり慣れておらず、痛みを我慢していたらどうしようかと思いました」
「マキウス様も使用人に洗ってもらっているんですか?」
「ええ。地方に住んでいた頃は、誰の手も借りず一人で沐浴をしていたので、本当は一人の方が気は楽なんですが……。屋敷の主人として、危険から身を守ってもらうのと、何より使用人の仕事を取らないように、彼らに洗わせています。そういう意味では、私も貴女と同じです」
どうやら、マキウスは地方のハージェント男爵家に住んでいた頃に、誰の手も借りずに沐浴出来るように躾けられ、その際に一人の方が自分のペースでゆっくり沐浴が出来ることに気づいたらしい。今でも本当は誰の手も借りずに沐浴したいが、使用人たちを雇っている手前、彼らの仕事の一つである主人の沐浴の手伝いを奪わないように、任せているとのことだった。
「力加減はこれくらいでいいですか? もし、洗い残しがあれば言って下さい」
「……大丈夫です」
バスタブの前で胸元までタオルを巻いて椅子に座ったモニカの後ろには、上半身裸になったマキウスが頭を洗ってくれていた。
「もう少し、うなじの辺りを洗いましょうか。耳の後ろや毛先も」
最初こそ、他人に洗われるという行為に緊張と不安があったが、的確に痒いところに手が届くマキウスの手つきに、モニカはすっかりリラックスしていた。
(これなら、人に洗われるのも悪くないかも……)
この世界で目覚めたばかりの頃は、さすがに沐浴が出来なかったので、ベッドの上で服を脱いで、ティカたちメイドに身体を拭かれていた。
その後、モニカを診察してくれていた医師から沐浴の許可が下りてからも、最初はメイドたちが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたが、他人に見られる中、沐浴をするのが恥ずかしいのと、人数が少ないメイドたちをモニカの沐浴に付き合わせるのが申し訳ない気持ちになり、この世界での沐浴のやり方に慣れるなり、一人で入るようになったのだった。
「モニカ? 先程から静かですが、何か気掛かりでも……」
「あ、いえ! 気持ち良くて、ついぼうっとしていただけです」
「それは良かったです。自分以外を洗う機会がないので、あまり慣れておらず、痛みを我慢していたらどうしようかと思いました」
「マキウス様も使用人に洗ってもらっているんですか?」
「ええ。地方に住んでいた頃は、誰の手も借りず一人で沐浴をしていたので、本当は一人の方が気は楽なんですが……。屋敷の主人として、危険から身を守ってもらうのと、何より使用人の仕事を取らないように、彼らに洗わせています。そういう意味では、私も貴女と同じです」
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