【完結】異世界で子作りしないで帰る方法〈加筆修正版〉

火事！？・1

夕方になって、屋敷の前にガラガラと音を立てて馬車が停まった。
「戻った」
アズールスは何冊かの本を携えて、帰宅したのだった。
「おかえりなさいませ」
「おかえりなさいませ！」
マルゲリタとファミリアは、アズールスを出迎えると荷物を預かった。
そのまま、ファミリアはアズールスに言われて、アズールスの部屋へと運び込んだのだった。

階段を登ってくるファミリアと入れ違いに、柚子は階下に降りて来たのだった。
「あの、お帰りなさい……」
いつもなら柚子もマルゲリタ達と共に出迎えるが、今朝の事もあって、階段の途中から恐る恐るアズールスに声を掛けたのだった。
アズールスは柚子の姿に気づくと、ホッとしたように微笑んだ。
「ああ、ただいま」
そうして、アズールスは「自室で部屋着に着替えてくる」とマルゲリタに言うと、階段を上ってきたのだった。
ユズとすれ違う時に、アズールスは声を掛けて来た。

「ユズは夕食はもう食べたのか？」
「はい。さっき、ファミリアちゃんやマルゲリタさんと一緒に」
「そうか遅かったか……。次は共にしたいものだな」
いつものように声を掛けてくるアズールスに、柚子は戸惑ってしまった。
アズールスの後を追いかけながら、柚子は声を掛けたのだった。
「アズールスさん、今朝はその……」
「あれは俺も悪かった。ユズの気持ちを何も考えていなかった」
「いいえ。私の方こそ、アズールスさんの気持ちを何も考えていませんでした。すみません」
「いや、ユズだけが悪いわけでは……」 
そうして話している内に、アズールスの部屋の前についた。
荷物を置いたファミリアが部屋から出てくると、アズールスは礼を言った。
ファミリアは嬉しそうに笑うと、階下へと降りて行ったのだった。