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45話 原因
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「どうして聖女様が必要なんですか?」
「はい?」
僕の質問が兵士さんには予想外だったのか、きょとんとしている。
「えっと、聖女様が必要になるくらい何か問題が発生しているのかと思いまして。」
「あっ、はい。実は、我が国にドラゴンが現れまして、既に相当数の被害が出ております。ですので、聖女様のお力をお貸し頂きたいと思い、こちらまで来た所存であります。どうか、助けて頂けないでしょうか。」
さっきの2人とは打って変わって誠実な人だな。
「ドラゴンですか?」
「はい。普段は山にいるのですが、たまに人里に降りてきては辺り構わず暴れるため収拾がつかない状態です。」
なるほど。そういう背景があったのか。ドラゴン討伐を国の上層部は断ったんだね。
「なら、僕が倒します。」
「え?」
「フランツ、ドラゴンは思っているほど甘くはないわよ?」
「うん。分かってる。聖女様が必要なくらいに強いって事は。でも僕は、誰かが困っているなら、助けたい。例え自分の国じゃなくても。」
「フランツのその心がけは素晴らしいと思うわ。でもお母さんは、行ってらっしゃいって送り出せない。フランツが心配なの。」
「ありがとう。お母さん。でも、僕は行きたい。今この瞬間も、助けを求めている人がいるんだよ?僕だったら、救えるかもしれないのに、何もしないなんて、それは見殺しにしているのと同じって思うんだ。」
「フランツ……。でもこの前のミノタウロスの件もあったし、もしまたあんなことになったらお母さん耐えられないわ。」
「大丈夫。もう自分の実力を見誤ることはしない。約束するよ。絶対帰ってくるって。それに僕、言ってなかったけど好きな人が出来たんだよね。その人に告白するまでは死なない。」
「好きな人がいることくらい分かってたわ。」
「え?そうなの?」
「ふふっ。わかったわ。フランツの実力なら問題なさそうだものね。お母さんも一緒に行くわ。」
「え?いいの?……お父さんは?」
「そうだな。2人より3人の方が確実だからね。お父さんも行くよ。」
まさか、お父さんも許してくれるとは思わなかった。
「ありがとう。一応報告してからの方がいいんだよね?でも討伐許可くれるかな?」
「うーん。今から倒しに行こうか。」
まさかお父さんがそんなこと言うとは思わなかった。
「えっ今から?」
「そうね。それがいいと思うわ。」
お母さんまで……。
「大丈夫なの?もし国の人に、このことが知られたら、勝手な行動をとったとかで罰せられたりしない?」
「黙っていればいいよ。それか、家族で旅行してた際に出会ってたまたま討伐したとかでもいいし、どうにでもなるよ。」
魔法士団の団長なのに、そんな感じでいいのか?
まぁ今すぐ行けることに越したことはないけど。
「それに多分許可してくれないと思うわ。あの人たち、頭カチカチだから。だから、後で一緒に謝りましょ。」
「うっうん。」
お母さんも国の偉い人と知り合いなのか。
「あ、あの。」
あ、兵士さんを置き去りにしながら話を進めてた。
「というわけで、どこにドラゴンがいるか教えてもらっても良いかしら。ついでに、今の話をそちらの隊長さんに伝えてもらっても?」
「はい。わかりました。」
その後、ドラゴンが根城にしている山を兵士さんに教えてもらい、僕らはその山に向かうことにした。
さすがに一回も行ったことが無い場所なので、魔法で空間をつなげることは出来ない。
でもなるべく急いで行くため、魔法を使って、空気抵抗をなくすように結界を張り、空を飛んで移動する。
「フランツ、兵士さんの話だと、ドラゴンがいるのは、あの山のはずよ。」
「わかった。」
目の前にある山はあまり木々は生えておらず、岩肌がむき出しになっている。
僕は移動速度を落としながらドラゴンがいるか確認する。
「もしかして、あれかな?」
山の頂上付近の平らになっているところの奥にくぼみがあり、その中に深緑色のドラゴンの尻尾のようなものが見える。
おそらく寝ているみたいだ。
「そうね。ゆっくり近づいて、近くに降りましょうか。」
「はい?」
僕の質問が兵士さんには予想外だったのか、きょとんとしている。
「えっと、聖女様が必要になるくらい何か問題が発生しているのかと思いまして。」
「あっ、はい。実は、我が国にドラゴンが現れまして、既に相当数の被害が出ております。ですので、聖女様のお力をお貸し頂きたいと思い、こちらまで来た所存であります。どうか、助けて頂けないでしょうか。」
さっきの2人とは打って変わって誠実な人だな。
「ドラゴンですか?」
「はい。普段は山にいるのですが、たまに人里に降りてきては辺り構わず暴れるため収拾がつかない状態です。」
なるほど。そういう背景があったのか。ドラゴン討伐を国の上層部は断ったんだね。
「なら、僕が倒します。」
「え?」
「フランツ、ドラゴンは思っているほど甘くはないわよ?」
「うん。分かってる。聖女様が必要なくらいに強いって事は。でも僕は、誰かが困っているなら、助けたい。例え自分の国じゃなくても。」
「フランツのその心がけは素晴らしいと思うわ。でもお母さんは、行ってらっしゃいって送り出せない。フランツが心配なの。」
「ありがとう。お母さん。でも、僕は行きたい。今この瞬間も、助けを求めている人がいるんだよ?僕だったら、救えるかもしれないのに、何もしないなんて、それは見殺しにしているのと同じって思うんだ。」
「フランツ……。でもこの前のミノタウロスの件もあったし、もしまたあんなことになったらお母さん耐えられないわ。」
「大丈夫。もう自分の実力を見誤ることはしない。約束するよ。絶対帰ってくるって。それに僕、言ってなかったけど好きな人が出来たんだよね。その人に告白するまでは死なない。」
「好きな人がいることくらい分かってたわ。」
「え?そうなの?」
「ふふっ。わかったわ。フランツの実力なら問題なさそうだものね。お母さんも一緒に行くわ。」
「え?いいの?……お父さんは?」
「そうだな。2人より3人の方が確実だからね。お父さんも行くよ。」
まさか、お父さんも許してくれるとは思わなかった。
「ありがとう。一応報告してからの方がいいんだよね?でも討伐許可くれるかな?」
「うーん。今から倒しに行こうか。」
まさかお父さんがそんなこと言うとは思わなかった。
「えっ今から?」
「そうね。それがいいと思うわ。」
お母さんまで……。
「大丈夫なの?もし国の人に、このことが知られたら、勝手な行動をとったとかで罰せられたりしない?」
「黙っていればいいよ。それか、家族で旅行してた際に出会ってたまたま討伐したとかでもいいし、どうにでもなるよ。」
魔法士団の団長なのに、そんな感じでいいのか?
まぁ今すぐ行けることに越したことはないけど。
「それに多分許可してくれないと思うわ。あの人たち、頭カチカチだから。だから、後で一緒に謝りましょ。」
「うっうん。」
お母さんも国の偉い人と知り合いなのか。
「あ、あの。」
あ、兵士さんを置き去りにしながら話を進めてた。
「というわけで、どこにドラゴンがいるか教えてもらっても良いかしら。ついでに、今の話をそちらの隊長さんに伝えてもらっても?」
「はい。わかりました。」
その後、ドラゴンが根城にしている山を兵士さんに教えてもらい、僕らはその山に向かうことにした。
さすがに一回も行ったことが無い場所なので、魔法で空間をつなげることは出来ない。
でもなるべく急いで行くため、魔法を使って、空気抵抗をなくすように結界を張り、空を飛んで移動する。
「フランツ、兵士さんの話だと、ドラゴンがいるのは、あの山のはずよ。」
「わかった。」
目の前にある山はあまり木々は生えておらず、岩肌がむき出しになっている。
僕は移動速度を落としながらドラゴンがいるか確認する。
「もしかして、あれかな?」
山の頂上付近の平らになっているところの奥にくぼみがあり、その中に深緑色のドラゴンの尻尾のようなものが見える。
おそらく寝ているみたいだ。
「そうね。ゆっくり近づいて、近くに降りましょうか。」
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