『闇を闇から』

segakiyui

文字の大きさ
上 下
407 / 503
第5章

1.翻す手(7)

しおりを挟む
 すう、と顔の熱が引いた。
 襲われている女性が真崎と重なった。大輔はきっと同じ顔で真崎を嬲ったに違いない。げらげら笑い続ける男達に声を掛け、背中を叩いて煽りながら、自分も夢中で挑んでいる。
 同じようなものが次々に開いた。繰り返される泣き声と呻き声、絶叫し助けを求め嗤い飛ばされる女性が、何人も画面で暴かれる。
 拳を固く握り締め、伊吹は凝視し続けた。
「…伊吹さん、無理なら…」
 続く悲鳴に、さすがに怯みが出たのか、有沢が低く唸った。だが、美並が動かないのに溜め息をつき、新たに開いた画面を解説してくれた。
「私達も確認したが、多分これは飯島が撮っている。大輔や他の人間はあからさまに顔も行為も写されてるが、肝心の『羽鳥』は映っていない」
 これが唯一男達の顔がはっきりしているものだ。
 なるほど、これでは大輔は逃れようもなかっただろう。
 飯島の撮影意図は明らかで、確かに暴行現場をあからさまに撮っているが、夢中になっている男達もそれとなく顔を写されている。いざとなればこれを提示し、自分が映っていないのをいいことに逃げ延びるつもりがあったのだろう。
「…もう一度」
「え?」
「今の場面を、もう一度」
「おいおいひでえなあ、あんたも」
 檜垣が嗤う。
「同じ女として心が痛まねえのかあ?」
「…ここ」
 美並は画面を指差した。
「ここをよく見ていて下さい」
 手が映っている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【R18】淫乱メイドは今日も乱れる

ねんごろ
恋愛
ご主人様のお屋敷にお仕えするメイドの私は、乱れるしかない運命なのです。 毎日のように訪ねてくるご主人様のご友人は、私を…… ※性的な表現が多分にあるのでご注意ください

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...