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第5章
1.翻す手(7)
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すう、と顔の熱が引いた。
襲われている女性が真崎と重なった。大輔はきっと同じ顔で真崎を嬲ったに違いない。げらげら笑い続ける男達に声を掛け、背中を叩いて煽りながら、自分も夢中で挑んでいる。
同じようなものが次々に開いた。繰り返される泣き声と呻き声、絶叫し助けを求め嗤い飛ばされる女性が、何人も画面で暴かれる。
拳を固く握り締め、伊吹は凝視し続けた。
「…伊吹さん、無理なら…」
続く悲鳴に、さすがに怯みが出たのか、有沢が低く唸った。だが、美並が動かないのに溜め息をつき、新たに開いた画面を解説してくれた。
「私達も確認したが、多分これは飯島が撮っている。大輔や他の人間はあからさまに顔も行為も写されてるが、肝心の『羽鳥』は映っていない」
これが唯一男達の顔がはっきりしているものだ。
なるほど、これでは大輔は逃れようもなかっただろう。
飯島の撮影意図は明らかで、確かに暴行現場をあからさまに撮っているが、夢中になっている男達もそれとなく顔を写されている。いざとなればこれを提示し、自分が映っていないのをいいことに逃げ延びるつもりがあったのだろう。
「…もう一度」
「え?」
「今の場面を、もう一度」
「おいおいひでえなあ、あんたも」
檜垣が嗤う。
「同じ女として心が痛まねえのかあ?」
「…ここ」
美並は画面を指差した。
「ここをよく見ていて下さい」
手が映っている。
襲われている女性が真崎と重なった。大輔はきっと同じ顔で真崎を嬲ったに違いない。げらげら笑い続ける男達に声を掛け、背中を叩いて煽りながら、自分も夢中で挑んでいる。
同じようなものが次々に開いた。繰り返される泣き声と呻き声、絶叫し助けを求め嗤い飛ばされる女性が、何人も画面で暴かれる。
拳を固く握り締め、伊吹は凝視し続けた。
「…伊吹さん、無理なら…」
続く悲鳴に、さすがに怯みが出たのか、有沢が低く唸った。だが、美並が動かないのに溜め息をつき、新たに開いた画面を解説してくれた。
「私達も確認したが、多分これは飯島が撮っている。大輔や他の人間はあからさまに顔も行為も写されてるが、肝心の『羽鳥』は映っていない」
これが唯一男達の顔がはっきりしているものだ。
なるほど、これでは大輔は逃れようもなかっただろう。
飯島の撮影意図は明らかで、確かに暴行現場をあからさまに撮っているが、夢中になっている男達もそれとなく顔を写されている。いざとなればこれを提示し、自分が映っていないのをいいことに逃げ延びるつもりがあったのだろう。
「…もう一度」
「え?」
「今の場面を、もう一度」
「おいおいひでえなあ、あんたも」
檜垣が嗤う。
「同じ女として心が痛まねえのかあ?」
「…ここ」
美並は画面を指差した。
「ここをよく見ていて下さい」
手が映っている。
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