『DRAGON NET』

segakiyui

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60.『肉体を愛するなかれ』(1)

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 オウライカの目の前で男二人に吸いつかれた後、カザルはもう歯止めが効かなかった。
 一人で半端に煽っていた身体があっさり快感を拾い、ねだるように勝手に悶えて喘いでいくのは設定されていた手順、できる限り客を煽って自分も気持ちよくなっていけば、仕事はどんどんやりやすくなる。
 胸を舐められ、勃ったものをしゃぶられ、背後に指を抜き差しされて、声をあげてよがっている自分。
 見られたくなかった、とふいに強烈な思いに涙が零れた。
 確かにオウライカはカザルのことをよく知っている、抱いてくれなかったのはきっとこんな風に誰相手でも気持ちよくなれて快感を貪れるカザルのことを気付いていたせいもあるのだ、そう思うと、もう何もかもどうでもいいような気持ちになってきて。
 どうせ愛してくれるわけがない。
 男が散々甘噛みして舐めたものを吐き出し、背後の指を引き抜いて、ああ、犯されちゃうんだ、とぼんやり思った。
 オウライカの前で。
 男二人にいいように身体を弄ばれて、なのに俺ってきっと犯されて、いい、って叫ぶんだよね? もっと、って啼いて。尻あげて突っ込んで、ってねだって。堪え切れないって涙流しながら、もっともっとって腰振って。
 オウライカの冷たい視線の前で。
 熱をもってじくじくする背後に男のものが触れた。擦られるだけで奥が疼く。その大きさに身体が竦んで、同時に自分を毀せると嬉しくなる。
「は…やく…っ」
 カザルは促す。
 早く。俺が正気に戻る前に、何もかも壊して。そうしたらもう、こんな悲しい思いはしなくてすむ。
 大事な人を失って明日も何もなくなって、ただこうやっておもちゃにされるだけの日々がやってくるなんて思わずに済む。
「突いて…っ……」
 奥まで貫いて、俺をてっぺんまで壊して。
 入ってきたそれは熱いはずなのに刃物みたいに痛くて冷たくて怖かった。慣れているはずなのに、身体が竦んでぞくぞくして震えた。
 もう最後。
 けれど。
 ふいに男が引き剥がされて戸惑った。代わりにいつの間に側に来ていたのか、オウライカにしっかり抱えられて、その温かさに竦んだ。
「な…に…」
「永遠は約束しない」
 低いけどしっかりした響きの声が、約束しないと言った永遠を教えるように聞こえた。
「どうして……オウライカ…さん…」
 輿の中に引きずり込まれ、抱きかかえられて衣を肌蹴られる。勃ち上がって痛いほど張り詰めているそれは可愛がってくれずに、輿に座ったオウライカの身体を跨がされる。
「永遠…って……何……」
「だが、その代わり」
「あ…っ」
 オウライカが服を開いたそこから鋭く勃ち上がってきたものに直接触れられて、熱さと感触に視界が眩んだ。
「生きている限り、満たしてやる」
「っ、あっ、あっ、ああああっ」
 まっすぐに、貫かれる。
 それがどこにも留まらずに一番奥まで引き裂いていって、耐え切れずに弾けた。身体中が震えてそのままでいられない。必死に浮かそうとするたびに容赦なく引き降ろされて、悲鳴を上げながら自分のものを掴んだ。
 このままじゃ、どうにか、なる。
 慣れた刺激と快感でとりあえず自分の居場所を確認したかったのに、その手を掴まれて震えながら訴えた。
「助けて…っ……オウライカ…さん…っ……俺…壊れ……ちゃう…っ」
 なのに、これをつけろ、と差し出されたのは、あの蒼銀の輪。
 どこにつけろと言われているのか、なぜ今つけろと言われているのか、理解したとたんに血の気が引いて怖くて震えた。
「や……」
「いっから」
「いや…そんなの……つけたら……あああううっ」
 拒んで腰を上げたとたんに追い掛けるように激しく突かれて、痛みと衝撃に仰け反る。視界が真っ白になって自分が達したのかどうかさえわからないその隙に、弛んだ指をはねのけるようにして、オウライカが蒼銀の輪を少し力をなくしたものの根元に嵌めた。
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