『segakiyui短編集』

『予知能力』

　不意に不吉な予感がした。
　まさか。
　いや、この感じは、あの時と同じだ。
　祖父の時も母の時も、この予感がしていた。
　祖父は2年前、母はついこの間、この世を去ってしまったのだ。
　そんな。ひどい。
　オレは声もなく呻いた。
　こんな力なんて、一体誰が与えたのだろう。逃れようのない未来を感じさせるだけ、それに手を加えることは許されず、ただじっと、時がそれを成就するのを見届けなくてはならないなんて。
　オレには夢があった。希望があった。
　大して悪いこともせずに生きてきたはずだ。
　なのに、こんなに突然、予感がするなんて。
　もう、未来は決まってしまった。
　明日は、この素晴らしい天国から、地上へ生まれ変わる日なのだ。