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決断しました
第119話 ご褒美②
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「……!これって……」
すると、私の左手薬指には小さな琥珀色の宝石がついた指輪がはめられていた。
「少し遅くなっちまったけどな。やっぱり婚約指輪は必要だろ。」
「確かに…!すみません私、すっかり失念してました……」
「ハハ、だろうと思ったよ。覚えてたら覚えてたで困ったし…」
「え、なんでですか?」
「いやその、実は結構前から用意してたから、被らなくて良かったなというか……」
最後の方は消え入るような声で言う。
「ほう……それっていつ頃ですか?」
「に、2か月前くらいだ」
2か月前というと、アルド様とひと騒動あって少ししたあたり……
結構前だ。
「ふーん?」
「なあ、もういいだろ?」
「フフ、すみませんつい。それで、エリオットの分もあるんですか?」
「ああ、これだ。」
エリオットはもう1つ指輪を取り出す。デザインは私のものと同じだが、サイズが一回り大きく、蒼色の宝石がついている。
「せっかくなのでつけちゃいましょう。」
私はエリオットから指輪を受け取ると、エリオットの指にはめた。
「これでお揃いですね。結婚指輪は一緒に買いに行きましょう。」
「ああ。」
エリオットは満足そうに私と自分の指を眺めている。
「でも、なんだか今日はエリオットに色々してもらってばかりですね?私にもできることがあるといいんですが……」
「そうか?それなら…」
そう言い切るが早いか、抱き寄せられてキスされる。
あのとき以来キスは何度かしているけど、回を追うごとに触れている時間が増えている気がする。
ただ、悪い気はしない。
「……!」
そうこうするうちに、口づけが段々深くなってきた。
気持ちいいような、少し苦しいような、不思議な感じだ。
あと、私を抱きしめている手の動きがちょっといやらしい。
「…なあ、もしかしてこういうのあんま好きじゃねえのか…?」
「へ?」
突然の質問に、素っ頓狂な声が出る。
「いやなんというか、こういうとき反応薄いからよ…シェリーが嫌なことはしたくない。」
「反応が薄い……のは割といつものことでは?」
「……確かに。」
「……なんと言いますか、まだどういう反応をするのが正解なのか分からなくて……でも決して嫌じゃないです。」
私は何となく恥ずかしくなって、エリオットの胸に顔を埋める。
「……!そうか、なら良かった…」
「…ところでこの流れついでに聞きますが、エリオットはやっぱりその…こういうことするの好きなんですか?」
私はエリオットに寄りかかったまま見上げてエリオットの顔を伺う。
「当たり前だろ」
「即答ですね」
「愛してる女とイチャついて喜ばねえ男はいねえ。」
普段は意外と論理的思考をするエリオットの、珍しく決めつけたような意見に苦笑する。
そして、しれっと"愛してる"と言っている。エリオットのこういう直球な愛情表現は結構好きだ。
…あれ、そういえば私……
「さて、そろそろ寝る支度するか。」
「はい。」
ーーーーーーーーーーー
寝支度を終えどこで寝ようかとキョロキョロしていると、エリオットがベッドの上から手招きしてきた。
「一緒に寝ますか?」
「ああ、シェリーが良ければだが。」
「もちろんです。」
「じゃあ遠慮なく。あ、今日は手出さねえから安心しろ。」
「は、はい」
「じゃ、おやすみ。」
エリオットはベッドにこちらを向いて横たわる。私もそれに続き、向かい合わせになる。
「あ、あの」
「ん?なんだ?」
私はエリオットの背中に手を回し、軽くキスをする。
「愛してますよ、エリオット。おやすみなさい。」
婚約までしておいて、未だに私の方から好きとか愛してるとかいう直接的な言葉での表現をしていなかったのを思い出した。
憂いは晴れたので、そのまま私は眠りについた。
「はあ…マジか……」
言うだけ言って即刻熟睡し始めたシェルシェーレを前に、またしても眠れそうにないエリオットだった。
すると、私の左手薬指には小さな琥珀色の宝石がついた指輪がはめられていた。
「少し遅くなっちまったけどな。やっぱり婚約指輪は必要だろ。」
「確かに…!すみません私、すっかり失念してました……」
「ハハ、だろうと思ったよ。覚えてたら覚えてたで困ったし…」
「え、なんでですか?」
「いやその、実は結構前から用意してたから、被らなくて良かったなというか……」
最後の方は消え入るような声で言う。
「ほう……それっていつ頃ですか?」
「に、2か月前くらいだ」
2か月前というと、アルド様とひと騒動あって少ししたあたり……
結構前だ。
「ふーん?」
「なあ、もういいだろ?」
「フフ、すみませんつい。それで、エリオットの分もあるんですか?」
「ああ、これだ。」
エリオットはもう1つ指輪を取り出す。デザインは私のものと同じだが、サイズが一回り大きく、蒼色の宝石がついている。
「せっかくなのでつけちゃいましょう。」
私はエリオットから指輪を受け取ると、エリオットの指にはめた。
「これでお揃いですね。結婚指輪は一緒に買いに行きましょう。」
「ああ。」
エリオットは満足そうに私と自分の指を眺めている。
「でも、なんだか今日はエリオットに色々してもらってばかりですね?私にもできることがあるといいんですが……」
「そうか?それなら…」
そう言い切るが早いか、抱き寄せられてキスされる。
あのとき以来キスは何度かしているけど、回を追うごとに触れている時間が増えている気がする。
ただ、悪い気はしない。
「……!」
そうこうするうちに、口づけが段々深くなってきた。
気持ちいいような、少し苦しいような、不思議な感じだ。
あと、私を抱きしめている手の動きがちょっといやらしい。
「…なあ、もしかしてこういうのあんま好きじゃねえのか…?」
「へ?」
突然の質問に、素っ頓狂な声が出る。
「いやなんというか、こういうとき反応薄いからよ…シェリーが嫌なことはしたくない。」
「反応が薄い……のは割といつものことでは?」
「……確かに。」
「……なんと言いますか、まだどういう反応をするのが正解なのか分からなくて……でも決して嫌じゃないです。」
私は何となく恥ずかしくなって、エリオットの胸に顔を埋める。
「……!そうか、なら良かった…」
「…ところでこの流れついでに聞きますが、エリオットはやっぱりその…こういうことするの好きなんですか?」
私はエリオットに寄りかかったまま見上げてエリオットの顔を伺う。
「当たり前だろ」
「即答ですね」
「愛してる女とイチャついて喜ばねえ男はいねえ。」
普段は意外と論理的思考をするエリオットの、珍しく決めつけたような意見に苦笑する。
そして、しれっと"愛してる"と言っている。エリオットのこういう直球な愛情表現は結構好きだ。
…あれ、そういえば私……
「さて、そろそろ寝る支度するか。」
「はい。」
ーーーーーーーーーーー
寝支度を終えどこで寝ようかとキョロキョロしていると、エリオットがベッドの上から手招きしてきた。
「一緒に寝ますか?」
「ああ、シェリーが良ければだが。」
「もちろんです。」
「じゃあ遠慮なく。あ、今日は手出さねえから安心しろ。」
「は、はい」
「じゃ、おやすみ。」
エリオットはベッドにこちらを向いて横たわる。私もそれに続き、向かい合わせになる。
「あ、あの」
「ん?なんだ?」
私はエリオットの背中に手を回し、軽くキスをする。
「愛してますよ、エリオット。おやすみなさい。」
婚約までしておいて、未だに私の方から好きとか愛してるとかいう直接的な言葉での表現をしていなかったのを思い出した。
憂いは晴れたので、そのまま私は眠りについた。
「はあ…マジか……」
言うだけ言って即刻熟睡し始めたシェルシェーレを前に、またしても眠れそうにないエリオットだった。
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