91 / 122
考えることが増えました
第91話 エリオット様からのお誘い
しおりを挟む
「エリオット様、なぜここに!」
「なんとなくだ。」
「なんとなくで勝手に研究所ウロウロしないでください!捜査課や軍事魔法部門のほうならともかく…」
「ウロウロはしてないぞ?シェリーの所まで直行してきたからな。」
「そういう問題じゃないです!」
この前の屋敷での一件以来、こちらはどうにも気恥しいからなんとなく避けているのに、エリオット様はどんどん私を見つけては構ってくる。
もはやこれストーカーじゃ?訴えたら勝てるんじゃ?とか思わなくもないけど、絶対嫌という訳でもないので半ば諦めている。
それに、エリオット様には頼みたいこともあるし。
「ところで、今何してたんだ?」
「私の仕事内容の確認を副課長さんとしてたんです。」
「ほう、何するんだ?」
「基本はアシスタントだそうです。それと別に私が個人的にやりたい実験もやって良いと…」
「実験って、前に俺を部屋に連れ込んでやったやつか?」
「連れ込…はいそれです。という訳で、またエリオット様に協力して貰いたいのですが…」
「ああ、いいぞ。ただし、協力するからには相応の対価を貰わないとな?」
「…もちろん報酬はお支払いします。」
研究所に認められた研究や実験の被験者には、研究所から一定の給料がでる。
「いやいや、金はいいんだよ。そんなことより…」
そういうとエリオット様は、私の後頭部に手を添えて顔を近づけてきた。これって…
「…あの。そんなことより、の後はなんですか。」
「…なんだよ、もうちょっと恥ずかしがったりとかないのか?」
エリオット様は顔を近づけたまま口をとがらせ少し拗ねた顔をする。
「キスするフリして恥ずかしがらせようとしているところまで見えているので。」
「なんだよ、つまんねえな。」
「分かったら一旦離れてもら…」
「あ!!」
すると、事務室の入り口の方から声がした。声の主は私と歳が近そうな白銀の髪の青年で、名前は分からないけど確か人間魔法課の研究員だったはずだ。
「し、失礼しました!!」
「あっちょっと待って…って行っちゃった。」
青年は顔を真っ赤にして、こちらの制止も聞かずに走り去ってしまった。どう考えても勘違いしている。
「見られちまったな?」
エリオット様はニヤニヤしている。完全に面白がってるな…
「はあ…まあ、後で訂正しておけばいいでしょう。」
「訂正する必要なんてあるか?俺と結婚しちまえば問題な」
「それで、被験者の報酬はお金じゃないなら何がいいんですか?」
「…今度の舞踏会、俺と一緒に行くのはどうだ?」
…ん?
「舞踏会?どの家の主催ですか?」
「どのって、皇帝だよ皇帝。帝国城で大規模な舞踏会があるって招待状来てたろ?」
「え…あ!」
「まさか、忘れてたのか?」
「はい…」
貴族の間では、毎日のように舞踏会やお茶会が開催される。
それらは色んな貴族が主催で行っていて、その目的は自分の財力の誇示や人脈作りなどだ。
私は研究所で働いているとはいえ一応は侯爵令嬢のままなので、結構ひっきりなしに舞踏会の招待状が来る。でも、何か社交界の情報を入手したいときとそのカモフラージュのとき以外は基本無視していた。
でも、これが皇族、ましてや皇帝主催となれば話は別。皇帝からの招待を無視するなんて、下手をすれば反逆の意思と取られかねない。しかも、皇帝は義妹の舅になるのだから、余計に蔑ろにする訳にはいかない。
「そんなこったろうと思ったよ。てことは、行く相手も決めてないんだろ?」
「そうですね…今までならルーカスお兄様と行っていましたが、お兄様は最近婚約したカトリーヌと行くでしょうし…」
そう、あれからしばらく経ち、カトリーヌとルーカスお兄様は正式に婚約した。だから私がルーカスお兄様を連れ回すわけにいかなくなってしまった。
「ならちょうどいい。俺も連れを決めかねてたところだし、な?」
「…そうですね、わかりました。」
「よしじゃあ、当日になったら迎えに行くから、忘れず準備しておけよ?場所は屋敷の方でいいか?」
「はい、ではそれで。」
なんか確実に外堀を埋められてる気がするけど…まいっか。
「なんとなくだ。」
「なんとなくで勝手に研究所ウロウロしないでください!捜査課や軍事魔法部門のほうならともかく…」
「ウロウロはしてないぞ?シェリーの所まで直行してきたからな。」
「そういう問題じゃないです!」
この前の屋敷での一件以来、こちらはどうにも気恥しいからなんとなく避けているのに、エリオット様はどんどん私を見つけては構ってくる。
もはやこれストーカーじゃ?訴えたら勝てるんじゃ?とか思わなくもないけど、絶対嫌という訳でもないので半ば諦めている。
それに、エリオット様には頼みたいこともあるし。
「ところで、今何してたんだ?」
「私の仕事内容の確認を副課長さんとしてたんです。」
「ほう、何するんだ?」
「基本はアシスタントだそうです。それと別に私が個人的にやりたい実験もやって良いと…」
「実験って、前に俺を部屋に連れ込んでやったやつか?」
「連れ込…はいそれです。という訳で、またエリオット様に協力して貰いたいのですが…」
「ああ、いいぞ。ただし、協力するからには相応の対価を貰わないとな?」
「…もちろん報酬はお支払いします。」
研究所に認められた研究や実験の被験者には、研究所から一定の給料がでる。
「いやいや、金はいいんだよ。そんなことより…」
そういうとエリオット様は、私の後頭部に手を添えて顔を近づけてきた。これって…
「…あの。そんなことより、の後はなんですか。」
「…なんだよ、もうちょっと恥ずかしがったりとかないのか?」
エリオット様は顔を近づけたまま口をとがらせ少し拗ねた顔をする。
「キスするフリして恥ずかしがらせようとしているところまで見えているので。」
「なんだよ、つまんねえな。」
「分かったら一旦離れてもら…」
「あ!!」
すると、事務室の入り口の方から声がした。声の主は私と歳が近そうな白銀の髪の青年で、名前は分からないけど確か人間魔法課の研究員だったはずだ。
「し、失礼しました!!」
「あっちょっと待って…って行っちゃった。」
青年は顔を真っ赤にして、こちらの制止も聞かずに走り去ってしまった。どう考えても勘違いしている。
「見られちまったな?」
エリオット様はニヤニヤしている。完全に面白がってるな…
「はあ…まあ、後で訂正しておけばいいでしょう。」
「訂正する必要なんてあるか?俺と結婚しちまえば問題な」
「それで、被験者の報酬はお金じゃないなら何がいいんですか?」
「…今度の舞踏会、俺と一緒に行くのはどうだ?」
…ん?
「舞踏会?どの家の主催ですか?」
「どのって、皇帝だよ皇帝。帝国城で大規模な舞踏会があるって招待状来てたろ?」
「え…あ!」
「まさか、忘れてたのか?」
「はい…」
貴族の間では、毎日のように舞踏会やお茶会が開催される。
それらは色んな貴族が主催で行っていて、その目的は自分の財力の誇示や人脈作りなどだ。
私は研究所で働いているとはいえ一応は侯爵令嬢のままなので、結構ひっきりなしに舞踏会の招待状が来る。でも、何か社交界の情報を入手したいときとそのカモフラージュのとき以外は基本無視していた。
でも、これが皇族、ましてや皇帝主催となれば話は別。皇帝からの招待を無視するなんて、下手をすれば反逆の意思と取られかねない。しかも、皇帝は義妹の舅になるのだから、余計に蔑ろにする訳にはいかない。
「そんなこったろうと思ったよ。てことは、行く相手も決めてないんだろ?」
「そうですね…今までならルーカスお兄様と行っていましたが、お兄様は最近婚約したカトリーヌと行くでしょうし…」
そう、あれからしばらく経ち、カトリーヌとルーカスお兄様は正式に婚約した。だから私がルーカスお兄様を連れ回すわけにいかなくなってしまった。
「ならちょうどいい。俺も連れを決めかねてたところだし、な?」
「…そうですね、わかりました。」
「よしじゃあ、当日になったら迎えに行くから、忘れず準備しておけよ?場所は屋敷の方でいいか?」
「はい、ではそれで。」
なんか確実に外堀を埋められてる気がするけど…まいっか。
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~
日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました!
小説家になろうにて先行公開中
https://ncode.syosetu.com/n5925iz/
残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。
だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。
そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。
実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく!
ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう!
彼女はむしろ喜んだ。
彼は婚約破棄をしましたが、どうやら王家を敵に回してしまったようですよ?
マルローネ
恋愛
侯爵令嬢のネフィラは、公爵令息のスタインと婚約をしていた。
突然、スタインの浮気により婚約破棄をされてしまうのだが……
ネフィラの幼馴染に王太子であるセシルが居たことが運の尽きだった。
公爵令息のスタインは王家を敵に回すことになり……。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
本物の恋、見つけましたⅡ ~今の私は地味だけど素敵な彼に夢中です~
日之影ソラ
恋愛
本物の恋を見つけたエミリアは、ゆっくり時間をかけユートと心を通わていく。
そうして念願が叶い、ユートと相思相愛になることが出来た。
ユートからプロポーズされ浮かれるエミリアだったが、二人にはまだまだ超えなくてはならない壁がたくさんある。
身分の違い、生きてきた環境の違い、価値観の違い。
様々な違いを抱えながら、一歩ずつ幸せに向かって前進していく。
何があっても関係ありません!
私とユートの恋は本物だってことを証明してみせます!
『本物の恋、見つけました』の続編です。
二章から読んでも楽しめるようになっています。
あなたは推しません~浮気殿下と縁を切って【推し】に会いに行きたいのに!なぜお兄様が溺愛してくるんですか!?
越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
――あぁ、これ、詰むやつ。
月明りに濡れる庭園で見つめ合う、王太子とピンク髪の男爵令嬢。
ふたりを目撃した瞬間、悪役令嬢ミレーユ・ガスタークは前世の記憶を取り戻す。
ここは恋愛ゲームアプリの世界、自分は王太子ルートの悪役令嬢だ。
貴族学園でヒロインに悪辣非道な仕打ちを続け、卒業パーティで断罪されて修道院送りになるという、テンプレべたべたな負け犬人生。
……冗談じゃありませんわよ。
勝手に私を踏み台にしないでくださいね?
記憶を取り戻した今となっては、王太子への敬意も慕情も消え失せた。
だってあの王太子、私の推しじゃあなかったし!
私の推しは、【ノエル】なんだもの!!
王太子との婚約破棄は大歓迎だが、断罪されるのだけは御免だ。
悠々自適な推し活ライフを楽しむためには、何としても王太子側の『有責』に持ち込まなければ……!
【ミレーユの生き残り戦略】
1.ヒロインを虐めない
2.味方を増やす
3.過去の《やらかし》を徹底カバー!
これら3つを死守して、推し活目指してがんばるミレーユ。
するとなぜか、疎遠だった義兄がミレーユに惹かれ始め……
「王太子がお前を要らないというのなら、私が貰う。絶対にお前を幸せにするよ」
ちょっとちょっとちょっと!?
推し活したいだけなのに、面倒くさいヒロインと王太子、おまけに義兄も想定外な行動を起こしてくるから手に負えません……!
ミレーユは、無事に推し活できるのか……?
* ざまぁ多めのハッピーエンド。
* 注:主人公は義兄を、血のつながった兄だと思い込んでいます。
本との事さ
九情承太郎
エッセイ・ノンフィクション
この本を読んだ時の記憶を、記しておこうと思う。
俺の人生を変えるような本との出会いや、本屋そのものの記憶も含めて。
※カクヨムでも投稿しています。
表紙は、画像生成AIで出力したイラストです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる