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過去にも色々ありました

第70話 異動の準備

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「それで、次にβベータ班の研究は…」

あれから3日、ようやく調査団が持ってきた武器の確認も終わり、私たちはいつもの仕事に戻っていた。

それ即ち、私の異動の準備も始めるということになる。

そして今は人間魔法課にお邪魔して、具体的にどういった研究をしているのかを聞きに来ているところだ。

話によれば、人間魔法課はさらにその中でαアルファ班、βベータ班、γガンマ班に分かれていて、それぞれ違ったテーマで研究しているらしい。

ざっくり言えば、魔力そのものについて研究するのがα班、属性について研究するのがβ班、傾向について研究するのがγ班だ。ちなみに私が被験者として協力していたのはβ班。

所属する班は選ばせてくれるらしいので、とりあえずβ班に入ることにした。それと元々やっていた被験者も後継が見つかるまでは続けることになりそう。

「とりあえず説明はそんなところですね。シェルシェーレさんは、何かやりたいこととかはありますか?」
「え、そんな自由にテーマ決められるんですか?」
「と言うよりは、所長から"シェルシェーレさんにはなるべく自由にやらせてあげて"と言われているので…」
「あ、なるほど…」

それ、なんか所長からの圧力で、いやいややってるとかじゃないですか、大丈夫ですか…?

「…無いことはないですが、まだ本格的にテーマにする程か分からないので、とりあえず大丈夫です。」
「そうですか…では、今日はこの辺で。」
「はい、ありがとうございました。」

私は人間魔法課の事務室を後にした。

――――――

「シェリー!」
「エリオット様?何故ここに。」

廊下を歩いていると、エリオット様に遭遇した。

「軍事魔法部門で手伝いがあったんだが、早めに終わったからちょっとシェリーの顔を見に来ようと思ってな。」

エリオット様はまた満面の笑みだ。調査団で遠征に行く前はちょっと歯切れが悪かったけど、これはこれで大丈夫なんだろうか。いや、何か気がかりなことがあったけど吹っ切れたのかな…?

バサッ!

今度は私を引き寄せて思いっきり抱きしめてきた。

「お、体つきも大分戻ってきたんじゃないか?」
「…はい、お陰様で。」
「まあ、シェリーは痩せてても太ってても可愛いけどな。」
「それはどうも。」
「疲れたら無理せず休めよ?」
「平気です、私基本的には丈夫なので。」

……

会話は終わったのに、なかなか離してくれない。

意外に悪い気もしないし別にいいけど…


…あ、そういえば…

「あの、エリオット様。ちょっと付き合って貰ってもいいですか?」
「え?」

エリオット様は私を離してくれる。

「ついてきてください。」
「シェリー…?」

私は困惑しているエリオット様を尻目に、寮の方へ向かうのだった。
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