70 / 122
過去にも色々ありました
第70話 異動の準備
しおりを挟む
「それで、次にβ班の研究は…」
あれから3日、ようやく調査団が持ってきた武器の確認も終わり、私たちはいつもの仕事に戻っていた。
それ即ち、私の異動の準備も始めるということになる。
そして今は人間魔法課にお邪魔して、具体的にどういった研究をしているのかを聞きに来ているところだ。
話によれば、人間魔法課はさらにその中でα班、β班、γ班に分かれていて、それぞれ違ったテーマで研究しているらしい。
ざっくり言えば、魔力そのものについて研究するのがα班、属性について研究するのがβ班、傾向について研究するのがγ班だ。ちなみに私が被験者として協力していたのはβ班。
所属する班は選ばせてくれるらしいので、とりあえずβ班に入ることにした。それと元々やっていた被験者も後継が見つかるまでは続けることになりそう。
「とりあえず説明はそんなところですね。シェルシェーレさんは、何かやりたいこととかはありますか?」
「え、そんな自由にテーマ決められるんですか?」
「と言うよりは、所長から"シェルシェーレさんにはなるべく自由にやらせてあげて"と言われているので…」
「あ、なるほど…」
それ、なんか所長からの圧力で、いやいややってるとかじゃないですか、大丈夫ですか…?
「…無いことはないですが、まだ本格的にテーマにする程か分からないので、とりあえず大丈夫です。」
「そうですか…では、今日はこの辺で。」
「はい、ありがとうございました。」
私は人間魔法課の事務室を後にした。
――――――
「シェリー!」
「エリオット様?何故ここに。」
廊下を歩いていると、エリオット様に遭遇した。
「軍事魔法部門で手伝いがあったんだが、早めに終わったからちょっとシェリーの顔を見に来ようと思ってな。」
エリオット様はまた満面の笑みだ。調査団で遠征に行く前はちょっと歯切れが悪かったけど、これはこれで大丈夫なんだろうか。いや、何か気がかりなことがあったけど吹っ切れたのかな…?
バサッ!
今度は私を引き寄せて思いっきり抱きしめてきた。
「お、体つきも大分戻ってきたんじゃないか?」
「…はい、お陰様で。」
「まあ、シェリーは痩せてても太ってても可愛いけどな。」
「それはどうも。」
「疲れたら無理せず休めよ?」
「平気です、私基本的には丈夫なので。」
……
会話は終わったのに、なかなか離してくれない。
意外に悪い気もしないし別にいいけど…
…あ、そういえば…
「あの、エリオット様。ちょっと付き合って貰ってもいいですか?」
「え?」
エリオット様は私を離してくれる。
「ついてきてください。」
「シェリー…?」
私は困惑しているエリオット様を尻目に、寮の方へ向かうのだった。
あれから3日、ようやく調査団が持ってきた武器の確認も終わり、私たちはいつもの仕事に戻っていた。
それ即ち、私の異動の準備も始めるということになる。
そして今は人間魔法課にお邪魔して、具体的にどういった研究をしているのかを聞きに来ているところだ。
話によれば、人間魔法課はさらにその中でα班、β班、γ班に分かれていて、それぞれ違ったテーマで研究しているらしい。
ざっくり言えば、魔力そのものについて研究するのがα班、属性について研究するのがβ班、傾向について研究するのがγ班だ。ちなみに私が被験者として協力していたのはβ班。
所属する班は選ばせてくれるらしいので、とりあえずβ班に入ることにした。それと元々やっていた被験者も後継が見つかるまでは続けることになりそう。
「とりあえず説明はそんなところですね。シェルシェーレさんは、何かやりたいこととかはありますか?」
「え、そんな自由にテーマ決められるんですか?」
「と言うよりは、所長から"シェルシェーレさんにはなるべく自由にやらせてあげて"と言われているので…」
「あ、なるほど…」
それ、なんか所長からの圧力で、いやいややってるとかじゃないですか、大丈夫ですか…?
「…無いことはないですが、まだ本格的にテーマにする程か分からないので、とりあえず大丈夫です。」
「そうですか…では、今日はこの辺で。」
「はい、ありがとうございました。」
私は人間魔法課の事務室を後にした。
――――――
「シェリー!」
「エリオット様?何故ここに。」
廊下を歩いていると、エリオット様に遭遇した。
「軍事魔法部門で手伝いがあったんだが、早めに終わったからちょっとシェリーの顔を見に来ようと思ってな。」
エリオット様はまた満面の笑みだ。調査団で遠征に行く前はちょっと歯切れが悪かったけど、これはこれで大丈夫なんだろうか。いや、何か気がかりなことがあったけど吹っ切れたのかな…?
バサッ!
今度は私を引き寄せて思いっきり抱きしめてきた。
「お、体つきも大分戻ってきたんじゃないか?」
「…はい、お陰様で。」
「まあ、シェリーは痩せてても太ってても可愛いけどな。」
「それはどうも。」
「疲れたら無理せず休めよ?」
「平気です、私基本的には丈夫なので。」
……
会話は終わったのに、なかなか離してくれない。
意外に悪い気もしないし別にいいけど…
…あ、そういえば…
「あの、エリオット様。ちょっと付き合って貰ってもいいですか?」
「え?」
エリオット様は私を離してくれる。
「ついてきてください。」
「シェリー…?」
私は困惑しているエリオット様を尻目に、寮の方へ向かうのだった。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる