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何かと不穏です
第62話 限界と救出
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……牢屋で目覚めてから、体内時計によれば5日が経った。
私は相変わらず牢屋に閉じ込められている。
食事は2日目までは貰っていたけど、3日目以降は来なくなってしまった。
そして食事はおろか、その2日目の食事のとき以来、誰1人としてこの牢屋の前にやってこない。
つまり私は丸3日間、断食状態で1人で放置されている。私を意図的に餓死させようとしてるか、向こうで何かトラブルがあったに違いない。
それにしても、これは完全に想定外だな…
そもそも、セレナさんが私とエリオット様が一緒にいたからという理由だけでここまでしてくるとは思わなかった。だからセレナさんに呼び出されたときも油断していた。ちょっとした嫌がらせくらいならかわせると思ったからだ。
…いや、"ストーカーは犯罪を犯してでも相手の元に居たがる"っていうのは頭の中にあったはず。ちょっと気が抜けてたな…
しかし、それを差し引いても、5日も行方をくらましているのだから、研究所の人が気づいてくれると思っていた。でも未だに来ないということは、シェイファーかセレナさんのどちらかが私を探させないように手を打ったんだろうな…
この5日間の間に脱出も試みたけど、結局上手くいかなかった。そして今となっては体が思うように動かず、もがくことすらできない。
でも、不思議と意識は冴えている。3日目辺りから一睡もしていないのに、全く眠くない。
体は動かないけど、気分的にはむしろ一日目より元気かもしれない。
…でも、元気だったところで何もできること無いんだよな…ほんとにどうしよう…
「……リ…」
あれ、今何か聞こえたような…
「…シェリー…」
私の名前…?
「シェリー!!」
声がした方を向くと…
そこには随分と焦った様子のエリオット様がいた。
「エ…オットさ…?」
あれ、思ったように話せない…
「無理に喋らなくていい。」
バキッ!!
すると、いつの間にか牢屋に入ってきたエリオット様が私を天井から吊るしていた鎖を引きちぎった。
そして、そのまま倒れそうになる私をしっかりと抱きとめる。
「かえっ…きてたん…すね…」
「…ああ、昨日な。」
エリオット様はそのまま強く私を抱きしめる。
…なんか、急に眠気が襲ってきたな…
「…後のことは俺が何とかするから、お前は寝てろ。」
「は…い…」
こうして、私はそのまま眠りについた。
「……クソッ」
エリオットは苦虫を噛み潰したような顔で呟いた。
私は相変わらず牢屋に閉じ込められている。
食事は2日目までは貰っていたけど、3日目以降は来なくなってしまった。
そして食事はおろか、その2日目の食事のとき以来、誰1人としてこの牢屋の前にやってこない。
つまり私は丸3日間、断食状態で1人で放置されている。私を意図的に餓死させようとしてるか、向こうで何かトラブルがあったに違いない。
それにしても、これは完全に想定外だな…
そもそも、セレナさんが私とエリオット様が一緒にいたからという理由だけでここまでしてくるとは思わなかった。だからセレナさんに呼び出されたときも油断していた。ちょっとした嫌がらせくらいならかわせると思ったからだ。
…いや、"ストーカーは犯罪を犯してでも相手の元に居たがる"っていうのは頭の中にあったはず。ちょっと気が抜けてたな…
しかし、それを差し引いても、5日も行方をくらましているのだから、研究所の人が気づいてくれると思っていた。でも未だに来ないということは、シェイファーかセレナさんのどちらかが私を探させないように手を打ったんだろうな…
この5日間の間に脱出も試みたけど、結局上手くいかなかった。そして今となっては体が思うように動かず、もがくことすらできない。
でも、不思議と意識は冴えている。3日目辺りから一睡もしていないのに、全く眠くない。
体は動かないけど、気分的にはむしろ一日目より元気かもしれない。
…でも、元気だったところで何もできること無いんだよな…ほんとにどうしよう…
「……リ…」
あれ、今何か聞こえたような…
「…シェリー…」
私の名前…?
「シェリー!!」
声がした方を向くと…
そこには随分と焦った様子のエリオット様がいた。
「エ…オットさ…?」
あれ、思ったように話せない…
「無理に喋らなくていい。」
バキッ!!
すると、いつの間にか牢屋に入ってきたエリオット様が私を天井から吊るしていた鎖を引きちぎった。
そして、そのまま倒れそうになる私をしっかりと抱きとめる。
「かえっ…きてたん…すね…」
「…ああ、昨日な。」
エリオット様はそのまま強く私を抱きしめる。
…なんか、急に眠気が襲ってきたな…
「…後のことは俺が何とかするから、お前は寝てろ。」
「は…い…」
こうして、私はそのまま眠りについた。
「……クソッ」
エリオットは苦虫を噛み潰したような顔で呟いた。
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