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何かと不穏です
第57話 噂の犯人
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あれから2週間が経った。
私はその間、研究所の仕事でそれなりに忙しく働いていた。また、それと同時に捜査課から人間魔法課への引き継ぎの準備も少しずつ進めていた。
あと研究所の仕事で特筆するようなことは…あ、前に私が定期巡回のときに持って行った、チップをつけた物(もしくは人)を追跡する自作の魔道具を特許申請してみたところ、なんと通ってしまった。私が作るより先に追跡魔道具は既にあったから無理だろうと思っていたけど、実は私のものは今までのものより圧倒的に性能が良く、仕組みも全く別のものだったため大丈夫だったらしい。なんにせよ、この特許によって、ある程度まとまったお金が継続的に入ってくることになる。やったね。
さて、クラウゼ領の調査団が出発してからそろそろ1ヶ月が経とうとしている。エリオット様からの手紙は相変わらず届いており、2日前の手紙に"あと1週間程で調査が終わる"と書いてあったため、それくらいには帰ってくるだろう。
「おーい、聞いてるか?」
「ああ、ちゃんと聞いてますよ、ルーカスお兄様」
そして今は、ルーカスお兄様から噂調査の進捗を聞いているところだ。
ちなみに私の方でもなんとなく調べてはいたけど、それらしい情報は掴めなかった。
「じゃあ話続けるぞ?例の噂について調べてたら、1人それっぽいやつを見つけたよ。」
本当に見つけてくるとは、さすがお兄様。
「それはどなたでしょうか?」
「シェイファー拍爵のとこの長男だよ。何か心当たりはあるか?」
「いえ、特に関わりを持ったことは無いはずなのですが…」
シェイファーと言うと、伯爵家にも関わらず財産は男爵家以下の、没落寸前の家だったはずだ。
シェイファー一家は実務能力も社交性も長けた人がいないせいでどんどん勢いが落ちている上、次期伯爵候補の長男は同じく能力が低いことに加え女好きで不真面目な性格だったはず。
まともな人間が悪い噂を流すなんてしょぼい嫌がらせするとは思ってなかったからその点ではは納得だけど、私はその伯爵家長男と面識は無いはずだ。なのになんで…
「…何か、その人の周囲で変わったこととかは聞きませんでしたか?」
「いやーどうだろな…」
ルーカスお兄様は考え込む。
「……そういや、最近どっかで知り合った町娘に大量に貢いでるとかいう話は聞いたな。町娘の名前は確か…何とかナとかそんな名前だったか…」
"何とかナ"に当てはまる町娘で、私に何らかの関係がある人物…
もしかして…
「それって、"セレナ"じゃなかったですか?」
「ん?あっそうそう、そんな名前だったぞ!」
ビンゴ。
「何か分かったっぽいな?」
「はい。助かりました、ありがとうございます。」
「おう、また困ったことがあれば言えよ!」
やっぱりなんだかんだで持つべきはルーカスお兄様だな。
さて、これで全て繋がった。
噂の出処がシェイファー伯爵家の長男でその貢ぎ先がセレナさんということは、その長男がセレナさんに頼まれて噂を流したってことに違いない。
これなら噂の中身が貴族が流しそうな内容と平民が流しそうな内容の両方あったこともうなずける。何を根拠に言っているのか分からなかった"あの女は金が無くなり、庶民の飯を貪っている"という噂も、最初にセレナさんに会ったのが平民向けのレストランだったことを踏まえればそれなりに納得がいく。
うーん、犯人が分かったはいいけど、何か対処しておいた方がいいのか…?
まあいっか、悪徳貴族が何か企みがあってやってるなら何かしら対応しようと思ってたけど、純粋に嫌がらせだけが目的みたいだしとりあえず放置しておこう。
私はその間、研究所の仕事でそれなりに忙しく働いていた。また、それと同時に捜査課から人間魔法課への引き継ぎの準備も少しずつ進めていた。
あと研究所の仕事で特筆するようなことは…あ、前に私が定期巡回のときに持って行った、チップをつけた物(もしくは人)を追跡する自作の魔道具を特許申請してみたところ、なんと通ってしまった。私が作るより先に追跡魔道具は既にあったから無理だろうと思っていたけど、実は私のものは今までのものより圧倒的に性能が良く、仕組みも全く別のものだったため大丈夫だったらしい。なんにせよ、この特許によって、ある程度まとまったお金が継続的に入ってくることになる。やったね。
さて、クラウゼ領の調査団が出発してからそろそろ1ヶ月が経とうとしている。エリオット様からの手紙は相変わらず届いており、2日前の手紙に"あと1週間程で調査が終わる"と書いてあったため、それくらいには帰ってくるだろう。
「おーい、聞いてるか?」
「ああ、ちゃんと聞いてますよ、ルーカスお兄様」
そして今は、ルーカスお兄様から噂調査の進捗を聞いているところだ。
ちなみに私の方でもなんとなく調べてはいたけど、それらしい情報は掴めなかった。
「じゃあ話続けるぞ?例の噂について調べてたら、1人それっぽいやつを見つけたよ。」
本当に見つけてくるとは、さすがお兄様。
「それはどなたでしょうか?」
「シェイファー拍爵のとこの長男だよ。何か心当たりはあるか?」
「いえ、特に関わりを持ったことは無いはずなのですが…」
シェイファーと言うと、伯爵家にも関わらず財産は男爵家以下の、没落寸前の家だったはずだ。
シェイファー一家は実務能力も社交性も長けた人がいないせいでどんどん勢いが落ちている上、次期伯爵候補の長男は同じく能力が低いことに加え女好きで不真面目な性格だったはず。
まともな人間が悪い噂を流すなんてしょぼい嫌がらせするとは思ってなかったからその点ではは納得だけど、私はその伯爵家長男と面識は無いはずだ。なのになんで…
「…何か、その人の周囲で変わったこととかは聞きませんでしたか?」
「いやーどうだろな…」
ルーカスお兄様は考え込む。
「……そういや、最近どっかで知り合った町娘に大量に貢いでるとかいう話は聞いたな。町娘の名前は確か…何とかナとかそんな名前だったか…」
"何とかナ"に当てはまる町娘で、私に何らかの関係がある人物…
もしかして…
「それって、"セレナ"じゃなかったですか?」
「ん?あっそうそう、そんな名前だったぞ!」
ビンゴ。
「何か分かったっぽいな?」
「はい。助かりました、ありがとうございます。」
「おう、また困ったことがあれば言えよ!」
やっぱりなんだかんだで持つべきはルーカスお兄様だな。
さて、これで全て繋がった。
噂の出処がシェイファー伯爵家の長男でその貢ぎ先がセレナさんということは、その長男がセレナさんに頼まれて噂を流したってことに違いない。
これなら噂の中身が貴族が流しそうな内容と平民が流しそうな内容の両方あったこともうなずける。何を根拠に言っているのか分からなかった"あの女は金が無くなり、庶民の飯を貪っている"という噂も、最初にセレナさんに会ったのが平民向けのレストランだったことを踏まえればそれなりに納得がいく。
うーん、犯人が分かったはいいけど、何か対処しておいた方がいいのか…?
まあいっか、悪徳貴族が何か企みがあってやってるなら何かしら対応しようと思ってたけど、純粋に嫌がらせだけが目的みたいだしとりあえず放置しておこう。
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