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婚約破棄されました
第5話 可愛い義妹
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「おいしかったわ」
そういうと私は立ち上がった。
「あら、どこへ行くの?」
「えっと、少し用事がありますの」
そう言って私はダイニングを後にした。そして今向かっているのはリナの寝室だ。
いや、お節介なのは分かっている。分かってはいるけどどうにも気になってしまう。それに割と家族全員私の味方をしてくれそうな勢いなので(父と兄が"味方"と言っていいのかは微妙なラインだけど)、1人くらいリナのことを心配したってバチは当たらないはず。そもそも今の状況作ったの私だし。
そうこうしているうちにリナの寝室の前にたどり着いた。
コンコンッ!
「リナ、起きてる?」
「………」
「リナ…?」
あれ、寝てるのかな。
「開けちゃうわよー」
「ま、待ってください!」
あ、起きてた。ドア越しにリナの声が聞こえた。
「どれくらい待てばいいかしら?」
「え?いや、あの、その…」
うんそうだよね、待てばいいって問題じゃないよね。でもここで引き下がったらこの子一生出てこない気がする。
「やっぱりもう開けるわね」
「え…!」
ガチャッ!
半ば強引にドアを開けると、そこには顔に泣きじゃくった跡があり、髪はボサボサのままのリナの姿があった。思ったより酷い状態。そんなに思い詰めるようなことってあったっけ。
「あの…シェリーお姉様…」
リナは私に目も合わせずワナワナ震えている。とりあえずドアの前で突っ立っているのもあれなので、リナの寝室に入りドアを閉めてから室内のソファーに誘導し、横並びに座る。他人の寝室に勝手に入るなって?ごもっともだけど今は許してよ。
「どうしたの?リナ。ほら、ゆっくりでいいから思ってること話してみて。何言っても怒らないから。」
私はリナを抱きしめ背中をゆっくり撫でてあげる。するととりあえず震えは消えた。
しばらくすると、それまで黙って抱きしめられていたリナが口を開いた。
「…3日ほど前に、オスカル殿下から婚約しようと言われたんです。そのときはとにかく嬉しくて、舞い上がって…だから、ちゃんと確認してなかったんです。"シェリーお姉様と私、2人共と結婚なさるんですよね"って。」
「うんうん」
……うん?
「それで、昨日の舞踏会でオスカル殿下がシェリーお姉様に婚約破棄するって仰ったとき、初めてそのことを知ったんです。だから…っううっ…グスッ……ごめんなさいっ…こんなことになるなんて!」
あー…
…状況を整理しよう。
私はてっきりリナは元から私が婚約破棄されるのは知っていて、そのうえでオスカル殿下と結婚しようとしていたけど、後になって自分の行動を反省しだしたんだと思っていた。それならこちらも企みはある訳だし痛み分けになってちょうどいいだろうと思っていたんだけど…
実際はどうだ。リナは私と一緒に嫁入りするつもりだったと言うでは無いか。
確かに今回の場合、オスカル殿下に私と結婚するメリットはあまり無いけどデメリットもほとんどない。むしろ"婚約破棄した"という事実があると、真実と関係なしに変な噂が飛んで色々と面倒だから普通は避ける。そのためリナが勘違いしていたのもうなずける。
…要するに、完全にオスカル殿下の伝え忘れが原因?
正直前からオスカル殿下は馬鹿だなと思っていたけど、まさかここまでとは…いや、私も人のことは言えないか。
「あのね、リナ。あなたが謝ることなんて1つもないの。だって…」
私はリナに父には話さなかったことまで洗いざらい話した。出来れば隠し通すつもりだったけど、さすがにこんなになっているリナを前にして取り繕うのはあくどすぎる。
「そう…だったのですね…」
「ごめんね、こんなことになって…」
「いえ…グスッ…シェリーお姉様が大丈夫なら良かったです…」
うう、この子は何ていい子なのだろう。自分の恋心のためなら私のことは気にしなくなるだろうと考えていた私が甘かった。
罪悪感に打ちひしがれながら、優しい親と可愛い義妹に囲まれて自分は幸せ者だなと思った私であった。
そういうと私は立ち上がった。
「あら、どこへ行くの?」
「えっと、少し用事がありますの」
そう言って私はダイニングを後にした。そして今向かっているのはリナの寝室だ。
いや、お節介なのは分かっている。分かってはいるけどどうにも気になってしまう。それに割と家族全員私の味方をしてくれそうな勢いなので(父と兄が"味方"と言っていいのかは微妙なラインだけど)、1人くらいリナのことを心配したってバチは当たらないはず。そもそも今の状況作ったの私だし。
そうこうしているうちにリナの寝室の前にたどり着いた。
コンコンッ!
「リナ、起きてる?」
「………」
「リナ…?」
あれ、寝てるのかな。
「開けちゃうわよー」
「ま、待ってください!」
あ、起きてた。ドア越しにリナの声が聞こえた。
「どれくらい待てばいいかしら?」
「え?いや、あの、その…」
うんそうだよね、待てばいいって問題じゃないよね。でもここで引き下がったらこの子一生出てこない気がする。
「やっぱりもう開けるわね」
「え…!」
ガチャッ!
半ば強引にドアを開けると、そこには顔に泣きじゃくった跡があり、髪はボサボサのままのリナの姿があった。思ったより酷い状態。そんなに思い詰めるようなことってあったっけ。
「あの…シェリーお姉様…」
リナは私に目も合わせずワナワナ震えている。とりあえずドアの前で突っ立っているのもあれなので、リナの寝室に入りドアを閉めてから室内のソファーに誘導し、横並びに座る。他人の寝室に勝手に入るなって?ごもっともだけど今は許してよ。
「どうしたの?リナ。ほら、ゆっくりでいいから思ってること話してみて。何言っても怒らないから。」
私はリナを抱きしめ背中をゆっくり撫でてあげる。するととりあえず震えは消えた。
しばらくすると、それまで黙って抱きしめられていたリナが口を開いた。
「…3日ほど前に、オスカル殿下から婚約しようと言われたんです。そのときはとにかく嬉しくて、舞い上がって…だから、ちゃんと確認してなかったんです。"シェリーお姉様と私、2人共と結婚なさるんですよね"って。」
「うんうん」
……うん?
「それで、昨日の舞踏会でオスカル殿下がシェリーお姉様に婚約破棄するって仰ったとき、初めてそのことを知ったんです。だから…っううっ…グスッ……ごめんなさいっ…こんなことになるなんて!」
あー…
…状況を整理しよう。
私はてっきりリナは元から私が婚約破棄されるのは知っていて、そのうえでオスカル殿下と結婚しようとしていたけど、後になって自分の行動を反省しだしたんだと思っていた。それならこちらも企みはある訳だし痛み分けになってちょうどいいだろうと思っていたんだけど…
実際はどうだ。リナは私と一緒に嫁入りするつもりだったと言うでは無いか。
確かに今回の場合、オスカル殿下に私と結婚するメリットはあまり無いけどデメリットもほとんどない。むしろ"婚約破棄した"という事実があると、真実と関係なしに変な噂が飛んで色々と面倒だから普通は避ける。そのためリナが勘違いしていたのもうなずける。
…要するに、完全にオスカル殿下の伝え忘れが原因?
正直前からオスカル殿下は馬鹿だなと思っていたけど、まさかここまでとは…いや、私も人のことは言えないか。
「あのね、リナ。あなたが謝ることなんて1つもないの。だって…」
私はリナに父には話さなかったことまで洗いざらい話した。出来れば隠し通すつもりだったけど、さすがにこんなになっているリナを前にして取り繕うのはあくどすぎる。
「そう…だったのですね…」
「ごめんね、こんなことになって…」
「いえ…グスッ…シェリーお姉様が大丈夫なら良かったです…」
うう、この子は何ていい子なのだろう。自分の恋心のためなら私のことは気にしなくなるだろうと考えていた私が甘かった。
罪悪感に打ちひしがれながら、優しい親と可愛い義妹に囲まれて自分は幸せ者だなと思った私であった。
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