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17 生きる意味
しおりを挟むレイルは言う。
「私は、もしも、この2人に会えたらと、逃走ルートを準備してあったんだ。」
「それは何故?」
「君が悲しむから。」
「そんなこと、意味ないわ。生きていても逃亡生活に疲れ切るだけでしょう。」
「うん。でも、君は望んでいただろう?」
何も答えられない。そうだ、とも、違うとも。どちらも自分の望むことではないような気がしていたからだ。
生きていても、彼等にはとても生き辛い人生が待っていたことだろう。だからといって、死んだ方が幸せだなんて、そんなことは生きている人間が自分を誤魔化すための言い訳だ。
死にたいと思うことがあっても、死ぬことが怖くない人間なんているはずがない。彼等も生きたかったはずた。
「彼等が死ななければならなかったとは思えない。」
「うん。でも、そうしなければ、収まらなかった。」
「じゃあ、彼等を殺したのは、私達、生きている国民全てね。みんなに寄ってたかって殺されるなんて。そんなことのために生まれる命があって良いはずがないわ。そんなの、どれほど怖かったか、悲しかったか。」
「その通りだね。だから、そうならない世の中に変えられるよう頑張るしかない。」
「彼等を殺した私達が?」
「彼等を殺したからだよ。彼等の命を代償につくった世界に、責任がある。」
「……。」
欺瞞にしか思えない。でも、思ったところで、彼等はもうこの世に居ない。なら、私達はその事実を受け入れて、2度とこのようなことが起こらないようにしなくてはならないのか。ああ、レイルがさっき言っていたことだわ。
「私達は、未来を生きなくてはならないのね。」
「そうやって、遺志を継いでいくしかないんだ。」
「作りましょう。親の責任を子が精算しない世界を。」
安物の珊瑚のペンダントに誓う。
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