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王太子の事情
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しおりを挟む側近達が牽制しているようで、あまり交友関係は広がらなかったが、それでも、授業中や課題の作成などで、他の生徒と話す機会もチラホラあった。
剣術の授業の終わり頃、模擬戦の相手だった生徒が、練習をしたくとも、自分の屋敷では場所がないとボヤいていたので、それなら私の練習場で一緒にやるか?と誘った。側近達は反対していたが、これも交友関係を広げるチャンスだと譲らなかった。
友人という存在に憧れていたのかもしれない。
いつでも訪ねて来るように。と彼には言っておいた。だが、彼はそれから数日経っても来なかった。
週末の休日に来るのかもしれないと、漠然と思っていたが、その前にロザリアとのティータイムの日が来た。
その時にロザリアが言ったことが
「彼の調査が終わりましたので、申請をするように伝えておきました。警備の変更も必要ですし、日程の調整をしてから登城要請を致します。」
「ん?どういうことだ?」
「3日ほど前に、殿下の友人を名乗る方が王宮においでになりました。しかし、そのような予定は組まれておりませんでしたので、一旦お帰り頂きまして、改めて連絡を待つようにお伝えしております。」
「それは、追い返したということか?」
「無闇に誰彼と王宮に招くわけにはまいりません。相応の手続きが必要となります。確認したところ、今回は殿下自らがお誘いになられたとのことですので、代わりに手続きをしておきました。」
「代わりに?」
「本来なら、殿下が自らなさるか、管理部に調整を依頼するべきことでした。」
「意味がわからない。私は友人を自分の家に呼ぶこともできないのか?」
「ここには、王陛下やその側近達も御坐す。使用人1人取っても、貴族の令息令嬢です。高貴な方々の安全は、必ず守らなくてはなりません。危険の可能性は、ほんの少しもあってはならないのです。」
「…私の友人は危険人物だと?」
「違います。そういうことではありません。」
「ではどういうことだ!?」
「殿下は、大切な王家の血の保有者です。それに相応しいお振舞いをなさってくださいということです。」
また、王家の振る舞いか!
何なのだ。王家に相応しい振る舞いとは!
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