ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆心、読めます。

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心が読める受け
常盤まる


変態攻め
一色伊吹



◇◇◇


俺には生まれた時から人の心を読む能力がある。正確にはまぁ読むというより勝手に聞こえてくるんだけどね。

俺は小さい頃から口数の少ない子だったため、聞こえても特に反応はしなかった。そのためか、俺が心を読めるとは周りには気づかれていない。


《あー、授業だるっ》《お腹空いた》《眠い》《おっぱい》《学校滅べ》

この通り、クラスメイトの声が次々と聞こえてくる。その中でも、一人だけやばい声が聞こえて迷惑している。


《まるちゃん、今日も綺麗な顔してんな。可愛い。今すぐにでも部屋に閉じ込めたいけど、あまり話したことないしなぁ…》


そのやばい心の声の持ち主は隣の席の一色伊吹。一応、頭が良くて優等生だ。あと人当たりも良くて皆から信頼されている。だけど、心の声が問題だ。まるって名前は俺しかいないのできっと俺に言っているのだろう。


隣同士だが、あまり話したことがない。というか、俺が無口のせいでもあるけど。でもこいつとは決して話してはいけないと思っている。


《はぁ…まるちゃん尊い。可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!!!》


気持ち悪すぎて、横目でチラッと隣を確認するが、奴は涼しい顔して黒板を見ている。おいおい。授業聞いているフリして、何を考えてんだよ。


《え、ちょっと待って。い、いいい今、まるちゃんさ、一瞬俺を見た!?き、きき気のせいかな!?横目でもわかったよ!!うわ、損したわ。それならガン見していればよかった。あ~、悔しすぎる。まるちゃんと目が合ったというイベントがぁぁあ。くそ、黒板呪ってやる》


え、こわ。横目でチラッと見ただけなのに気づかれた。ほんと鋭い奴だ。


そして、やっと休める昼休み。


「まる氏殿~!」

「一緒に飯を食べるでござる!」


昼休みになるなり、二人の数少ない友達がやってきた。見るからにオタクの部類である。


「ありがとう。食べよう」

弁当をもって教室の隅に移動する。


《ああ~、まるちゃんの麗しい声が聞けた!…てか、あのオタクども、俺のまるちゃんを連れて行きやがって》


一色は相変わらず、とんでもないことを心の中で呟いていた。自分で言うのもあれだけど、俺のどこがいいかわからない。特に接点なんてないのに。まぁ、心の声を聞いている俺のせいだけど。一色には罪はないだろう。


俺はいつものように、オタク友達と弁当を食べ、一色は、女子にモテモテのため、その子たちと食べていた。



「まる氏殿!これ、昨日買えたのでござるよ。きゅるるん星のヒメメちゃんのフィギュア!」

スマホの写真を見せてきた。

「あ、それ山田が前から欲しがってたやつ…」


「そうなんでござるよ」

そう嬉しいそうにスマホの画面にキスする山田。



「まる氏殿!おいどんのも、見てほしいです!」


山田の次に田中も同じくスマホの画面を俺に見せてきた。『転生したら魔法使いの婿になりました』に出てくるその魔法使いのミユリンのTシャツじゃん。


「すごい。これプレミアムついているやつ。田中、もしかして当てたの?」


「そうなのです!ほぅ。それがわかるとはまる氏殿!さすがですな!」


「人気だよね。アニメ面白かったからみてたよ」



《う~!!田中氏め、ずるいでござるよ~!まる氏殿をびっくりさせるのは吾輩であったのに~!!!》


《ふふん!山田氏、悔しそうな顔をしている。おいどんは、まる氏殿に話を聞いてもらうことが今じゃ生きがい!!守りたいその笑顔》


心の中でも面白いことを言っている山田と田中。二人は裏表ないので結構、好きだ。



「ねぇ、そんなに楽しそうに、何話しているの?」


予想外の登場に、山田と田中の笑顔消えた。


「え、っと、一色氏?ど、どうしたのでござるか?」


「楽しそうな話が聞こえてきたから、気になって」


笑顔でわって入ってきた一色。空気読めないな、本当。オタクの会話に入ってくる人気者。これは、きついよな。気まずさ100パーセント。



《俺のまるちゃんと何楽しそうに話してんだよ。くそゴミ共め》


うわ、鬼だな~。

しかもめっちゃ笑顔だけど、心の中どす黒い。



「一色も気になるでござるか?これの話をしてたんでござるよ」

「おいどんのも見るか?」


二人はさっき俺に自慢してきたものを一色に見せた。


「へぇ~、いいね」


《なんだ、このメス豚は。そんなメスよりまるちゃんの方が可愛いし、天使だ》 



メス豚扱い…、本当この人怖いよ!



「で、ちなみに常盤くんは何が好きなの?」


「え、俺?」


急に話を振ってくる一色。


好きなキャラか。特にいないけど、一色をドン引きさせるものがいいな。そして、俺を嫌いになってくれ。


「うーん。これかな?」


スマホで適当に検索して、巨乳でいかにもビッチです。みたいなキャラを見せた。



《え!それ、俺が昔描いてピク○ブに載せた漫画じゃん!!!嘘!!!まるちゃんみてくれてたの!?運命!?!?興奮とまんないよ!!!》


何でだよ。

何でお前が描いた漫画を検索ヒットしてしまうんだよ。



「常盤くんもそのキャラ好きなんだね。マイナーだね。実は俺も好きなんだ」


「へ、へぇー、知っている人いたんだ」



「そうだ!そのキャラの人形あるから、今日俺の家おいでよ」


《実はグッズ化だけしてもらったんだよね!》


そ、そんな!!


「え、えっと、悪いから大丈夫…」


「遠慮しないで。好きなんだよね?」


「…はい」


「じゃあ、決まり。放課後ね」



一色はそれだけ言って立ち去った。






頭を抱えたくなった。どうする、俺!?



あいつがやばい奴だって知ってるし、家にのこのこついて行くわけにはいかないだろ。



「山田、田中!今日一緒に行ってくれるよな!?」


「えっと、実はおいどん今日放課後にメイド喫茶の予約が、」


「吾輩もゆめるちゃんの写真集が今日発売でござるので…」



そんな!!


二人がいれば大丈夫だと思ったのに。



そのあと、放課後まで悩みに悩んだ。

うん。絶対、断ってやる。





「常盤くん行くよ!」


「わ、っ!ちょ!」



放課後になるなり、俺の腕を掴んで走り出した一色。


待って待て!



《まるちゃんと家でむふふふふ》



もうやばいってこいつ!




「はぁはぁっ、お願い!一色、待ってくれ!」



その声にやっと、一色が校門の前で止まってくれた。校門の前まで来るまで聞こえなかったのかよ。



「どうしたの?」


《息が乱れたまるちゃんエロい》



「今日はやっぱり無理ごめん!」



息を整えながらちゃんも断った。




「何で?」


「よ、用事思い出しちゃって…」


「そんな、せっかく着いたのに…」


「え?」


一色が指差すところは、校門の前にあるマンション。え?学校の前が家だなんて聞いてないですけど?




「お願い!5分だけでもいいから!」


学校の前が家だから、きっと変なことしてこないよな?


「ご、5分なら…」


「やった!じゃあ、早く行こう」


もうされるがままに連れてこられた。


「はい、これ言っていたやつ」


巨乳ビッチ人形が渡された。

そうだった。元はと言えばこのビッチのせいだ。



「常盤くん!!」


「え、何?」


急に俺の手を握る一色。



「迷惑だと思うけど、聞いてほしいんだ。そのえっと、常盤くんのことが好きです!俺と付き合ってください!!!」


「………え?」



え、このタイミングで告白してくる?普通。



「急に言われてびっくりしたよね。ごめんね。俺、ずっと常盤くんのことが好きで、今日がチャンスだと思ったんだ。困らせてごめん」



「驚いたけど、困ってはないよ」

嘘、めちゃくちゃ困ってます。



「本当?よかった。ち、ちなみに返事は?」



もちろん、断るに決まってんだろ!!!



《もし、フられたら自殺しよ》


え?


一色なに考えてんの?


《すぐに返事が出なかったら俺死ぬ》




「お、おお俺も一色のこと気になってた!!」



それすごい困るやつ!!!

あとから返事して考えるのもダメ。フるのもダメ。そしたら一色が自殺して後味悪い。


俺はどうしたらいいんだよ!!



「ほ、本当!?やった!!」


なぜか、付き合うことになりました。



これもう強制だよね…。

あんなの断れないだろ!ずるいって!












次の日、学校では…。




「まる氏殿~、一緒にご飯食べるでごさるよ」

「おいどん。お腹空いたです」


山田と田中がいつものようにお昼を誘いに来た。


…が。




「山田くんと田中くんには悪いけど、これから、まるちゃん俺と食べるから」


《オタク共は引っ込んでろ》



俺は山田と田中には謝って、嫌々ながら一色とご飯を食べた。

本当は二人と食べたいのに。





「はい、あ~ん」


「あ、ありがとう…」



ここから地獄の日々のスタートだった。




【完】




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