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◆クズが出会ったのはヤンデレでした。
しおりを挟むクズ受け
有栖愛都
ヤンデレ攻め
久我鴇
◇◇◇
愛なんて馬鹿馬鹿しい。
恋?何それ笑える。
僕は…、いや俺は、蝶よ花よと大切に育てられ、周りから可愛い可愛いと言われてきた。可愛くおねだりなんかした時にはなんでも欲しいものは手に入った。大人に媚びとけばうまくやっていけた。
人生チョロいと悟ったのが5歳の頃だった。見た目が天使だからしょうがないけどね。自分で言っていて寒くないの?と思われるかもしれないが実際問題、本当のことだし誰もアンサーは返せないだろう。全国の誘拐事件の件数5割はほぼ俺で成り立っていると思うくらい毎日のように誘拐されていたな。今は護衛みたいのがついているから大丈夫だけど。
ちなみに俺の名前は有栖愛都。ふざけた名前をつけやがってと親を怨む。
愛嬌を振りまけば周りは寄ってくる。振りまかなくても寄ってくるけど。まぁそのせいで結果、性格は歪んだ。外面良くしていたらすべてオーケー。まるごと解決ってね。
現在、俺は高校二年生の17歳。周りの環境になれ、この歳で愛とか馬鹿馬鹿しいというのに至るというわけ。
「愛都くん今日も素敵だね」
俺のしもべである久我。護衛という名のストーカー。
「僕なんてそんなことないよ。久我くんの方がもっと素敵だよ」
どこから出てんだっていうような高い声で話す俺。地声よりはるかに高い作っている声。一人称なんて僕を使って猫を被っている。
まぁ猫を被っていたら大体のことはうまくいく。本当人生ってチョロい、チョロい。周りには謙虚に接していれば大丈夫。中身はクズだけど。
「愛都くんにそんなこと言われるなんて…ご褒美すぎる」
気持ち悪いことをごにょごにょ言うなって言いたくなるが我慢だ。この久我鴇とは12歳の頃に知り合い、勝手に俺を変態から守ってくれている。久我も変態だけど、危害を加えない変態だから大丈夫だ。ちなみに久我とは同い年で同じクラスだ。
「ねぇ久我くん、これどう思う?」
休み時間、教室で雑誌を広げ、欲しいものを指差し久我に聞いた。
「この時計いいね。愛都くんに似合いそう」
「へへ、ありがとう。久我くんがそういうなら買ってみようかな。…あ、でも」
「どうしたの?」
「0が一個多い…、買えないや…」
しゅんとなっている演技をすると、
「何言っているんだ?俺が買ってあげるに決まっているだろう?」
「え、でも…」
内心ニヤつく。
「気にしなくていいよ」
と、優しく微笑んで俺の頭をなでなでする久我。あと、さりげなく触るな。お金とるぞと言いたいが、高級時計を買ってくれる相手にそんなこと言えない。
「ありがとう、久我くん…大好き」
「…っ、愛都くんが喜んでくれるならいくらでも出してもいいさ。だ、大好きだなんて…」
はぁはぁと息が荒い久我。大好きって言ったのは時計のことだけどな。というか、さすが金持ちのぼんぼん。あっさり買ってくれるじゃん。
俺はいろいろ久我に貢がれている。決して俺から『買って?』なんて言っていない。欲しいなぁと呟いたらプレゼントされているだけなので俺は何も悪くない。
そして、次の日。
さっそく買ってきてくれたみたいだ。
「わぁ、嬉しいありがとう。本当にいいの?」
「もちろん、俺がつけてあげるから腕出して?」
腕を出すと、昨日話した高級時計をつけてくれた。さっそく買ってきてくれるので、できたストーカーだ。
「ありがとう、久我くん。大切にするね!」
「…っ、愛都くん抱きしめていい?」
「うん?いいよ」
今日くらいはいいか。買ってもらった身だし。そう思い、両手を広げた瞬間、奴はためらいなく抱き着いてきた。…うわ、力強い。俺を潰す気かよ。あと抱きしめられながら匂いを嗅ぐのは、やめようか殺すぞ。と思いつつも平常心、平常心と自分に言い聞かせた。
「ねぇ、久我くん。ここわかんないんだけど…」
ただいま、久我の家で勉強をしている。
「ここはこの公式を使うといいよ」
「あ、そっか!ありがとう」
久我は頭がいいので結構使える。あと、家がものすごくお金持ち。最高かよって感じ。
そして、快適な環境で一通り勉強をすませた。
「久我くんって教えるのが本当に天才だね!僕でも難しい問題解けちゃった!」
「愛都くんの飲み込みが良いからだよ。…本当可愛いな」
久我はニヤけた顔で俺の頭をいつものように良い子、良い子と撫でた。
うん、だから勝手に触ると金とるよ?
勉強のあとは、久我の部屋でゲームをする。ゲーム機や漫画など退屈をしのげるものが何でも揃っている。本当、快適すぎだろこの家。
「ずっとここにいたくなっちゃうな…」
ソファに寝ころびながらそう言った途端、久我は読んでいた本を床に落とした。
「ずっとここにいてもいいよ」
落とした本には見向きもせず、忠実な犬みたいな感じだ。ご主人様の言いなりみたいな久我。本当利用しやすい奴。
「そうしたいけど、迷惑かけるのも嫌だからね。ありがとう!今度休みの日に泊まってもいいかな?」
この家には興味があるが、お前も一緒となると嫌だなんて言えない。
「もちろん!当たり前だよ。あと全然迷惑なんかじゃないから」
久我は本当騙されやすい性格だ。
俺しか見えていないみたいな感じで少し怖いところもあるが、久我は絶対俺を裏切らない自信がある。
…と、思っていた時期もありました。
「おい、久我。やめろ」
「ふふ、愛都すっごく可愛いよ…。ぶりっ子している愛都も可愛いけど、素の愛都はもっと可愛い」
俺を紐か何かで拘束している。
こんな奴になんか愛嬌なんていらない。
「お前最低だ、何が目的なんだよ」
数日前、俺の両親は無実の罪を被せられ、捕まった。この目の前にいるこいつのせいで。もしかして、俺が利用したから恨んでいるのか?
「やっと、愛都。一人になったね。初めからこうしていれば良かった」
「汚い手で俺に触るな」
「その生意気な態度たまらないね。愛都が俺に心を許しているってことだよね。嬉しいな」
ふざけたことばかり言いやがって。
「お前なんかただ利用していただけだ。勘違いすんな、気持ち悪い」
「この状況でそんなこと言えるなんてすごいね。あ、もちろん、利用されているなって知っていたよ。高級品ばかりねだって可愛かった。それに俺が買った物を愛都が身につけてくれているだけで幸せだから、いくらでも買ってあげるよ」
…狂っている。早くこいつから離れた方がいいと身の危険を感じた。
「今までのことは悪かったから…離してくれ」
「紐で縛ってごめんね。痛かった?」
「痛いから早くとって…お願い」
「俺、愛都の頼みに弱いんだよね。知っていてやってる?もう可愛いな」
ゆっくりと俺を縛っている紐をといた。すぐに開放されると簡単に考えていた俺は甘かった。
「…愛都。愛都愛都愛都愛都。大好き」
紐より頑丈なこいつの力で動きを封じられた。
「俺に触るな」
「つんつんしている愛都可愛い。愛しているよ」
「愛?馬鹿馬鹿しい」
「そんなこと二度言えないくらい俺が本物の愛を教えてあげる」
その日、俺は監禁され犯された。
「もうやだ…っ、た、助けて…ンぁんっ」
「もっと欲しいって?いいよ」
「やッ、んぁ、ぁあぁぁ」
終わることない行為。
監禁されて何日経ったかわからない。
俺の首と手足には枷が嵌められた。自由を束縛され、逃げられない。久我と俺だけしかいないこの空間。おかしくなる。もう嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
こんなやつのなんて、感じたくない。
嫌だ。イヤだ。
誰か助けてくれ…。
頭が狂いそうだ。このままじゃ自分が自分ではいられなくなってしまう。
「ただいま、愛都。良い子にしていた?」
「…遅い。愛都、いい子にしてたよ。だからご褒美ちょうだい」
「今はだめ」
「なんで、僕が悪い子だから…?」
やだ、鴇に嫌われたくない。やだやだやだやだ。怖い。やだ、嫌わないで。
「ふふ、そんな震えないで大丈夫だよ。愛都が悪い子なわけあるか」
「鴇、鴇…大好き。はやく僕とえっちしよ」
「ここまで変わるなんて…たまらないな」
「なあに?」
「なんでもないよ。ほらご褒美あげるから自分で洋服脱いで脚開いて?」
「わかった!」
やった!鴇からご褒美もらえる。ずっといい子にして待っていたから。
「鴇、すき…もっとシて?」
「俺も大好きだよ。これからもずっと一緒だから」
「うん!一緒!!嬉しい!!」
鴇がいないと生きていけない。
俺…、僕…どっちだったっけ…?
どうでもいいや。
愛都は鴇が大好き。
【完】
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