ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆悪魔の囁きに騙される。

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主人公受け
花谷大輝


幼なじみ攻め
野田拓海




◇◇◇




「お前なんか誰も好きにならないよ。はは、この不細工」


俺は小さい頃から幼なじみから『不細工、不細工』と言われ続け成長してきた。


自分が不細工なんて、生まれた時から自覚しているのに、遠慮なしにそう言われ続けたら傷付くを通りこして、今はもう人前に出たくないくらい自分の顔面崩壊さがわかる。




「また、嘘告されたって?さすが不細工」



「うるさいな」


俺、花谷大輝は、生まれてこの方、みんなから嘘告される。



一目惚れしましたと数多くの女子から告白されたが、言わなくてもわかる。それ嘘だろ。また一部の男子も面白がって俺に嘘告してくる。いやいやいや!と内心突っ込んだことを思い出す。

第一俺、不細工なんだぞ。一目惚れってあるかよ。って自分で言ってて虚しくなるが本当のこと。

俺だって、一応不細工の自覚あるから、こういうたぐいの告白は、嘘だとわかる。




不細工なりに俺だって誰かと付き合ってステキな恋がしたい。俺の中身を見てほしい。

だって、ドラマみたいな恋憧れるじゃん。



でもB専はだめだ。B専って言ってる時点で更に付き合うのは無理。付き合っている人にずっと不細工だと思われてステキな恋ができるとは俺は思えない。






「おい。大輝」


「なに」


俺を不細工だと目覚めさせた張本人の幼なじみの野田拓海。


ムカつくことに、こいつは超絶イケメンだ。




「お前、嘘告で、間違ってでもオッケーとかだすなよ」


「わかってる。そこまで俺はおちてないから」



嘘告だと知っていて誰が『いいよ』なんて返事するかよ。


みんな、そんな不細工が珍しいからってやめろよ。




すると、野田は、俺の顎をクイっとあげ笑う。



「相変わらずすげぇ顔」



「見せ物じゃないんだ。離せよ」



言い忘れていたが俺、結構打たれ弱い性格。いくらなんでもメンタルやられてしまう。



「なに、泣いてんの?」



「お前なんか嫌い」



「そう言ってさ、学校では俺くらいしか話せないし、友達いないだろ」



「だったらお前とも話さない。あっち行けよ」



こんな酷いことを言うやつとは一緒にいたくない。




「ごめーん。俺が悪かったって!ほら、こっち向けって」


顔を背けると、野田が後ろから抱きついて俺のご機嫌をとろうとしている。


…正直言って最悪なやつだ。



だったら最初から言わなければいいのに。



本当何を考えているかわからないやつ。




まあ、実際この残念な顔のせいか友達はいない。俺が勇気を出して話しかけようしたが何やら悲鳴をあげて逃げていく。近寄ってくると思ったら嘘告白される。


もう、俺の人生そんなもんって考えている。



就職とかできるのかなと、未来のことまで心配する。



この顔に産んでくれた母を別に恨んでない。だって家族だけは唯一俺を不細工なんて言わないし、人間として見てくるから。逆に過保護なくらい俺を心配してくれる。こんな不細工でもお腹を痛めて産んでくれたんだ、子は誰だって可愛いのであろう。


でも親に一つ言いたいことがある。名前の大輝はないだろ。生まれた時の顔見て名前を考え直してほしかった。……大きく輝けなくてごめんなさい。





「なぁ、…俺って相当やばい?」


自分で顔を指差す。


「うんやばい」


「即答かよ」



少しは考えて物を言ってほしいけど、こいつは正直者だから仕方ない。だってハッキリと不細工というのはこいつだけ。みんなは裏で俺の悪口とか言っていると思うけど、この幼なじみの野田だけは俺に嘘はつかない。





「俺、勉強する」


「どうしたんだよ、急に」


「この顔じゃ、きっと就職も難しいと思うし、第一印象が大事じゃん。もう勉強してスキルで勝負することに決めた」



「はは、なにそれウケる」


「お前は人生勝ち組だから余裕なんだよな。俺の気持ちなんて…。言いから帰ってくれる?勉強するから」



俺の部屋に来ては文句しか言わない奴を手でシッシッと追い払う。



「じゃあ、また明日朝8時に来るわー」



「来なくていいから、さっさと帰れ」



「へいへい」


渋々帰ってくれた。

約束はしてないのに、いつも学校に二人で登校している。あと、帰りも。


邪魔者もいなくなったことだし、よし、勉強頑張るぞ!




五分後…。



「ダメだ。俺、脳も不細工だ」


全然わからない。

机に向かったのだけは褒めたい。



出来が悪いのは今わかったことじゃないけど、確実俺ニート生活へと進んでいる。


やばい。マジでやばい。



そう焦っていたら気づいたらベッドで寝ていた。









「おい、起きろ馬鹿」


「う~……ん」



「寝起きも不細工だな」



嫌な声とともに目を覚ました。




「なんでお前がいるんだよ」


「来るって言ったじゃん」



「来なくていいって言った」



「来なかったら寂しいくせに」



「別に」


すると、さりげなく、俺のベッドの中に入ってきた。


「なんでお前が入ってくるんだよ、あっち行け」


「いいじゃん」



「もういい。俺が出る」


奴を踏んでベッドからおり、服を脱いで制服に着替えた。






「……弱そうな体」


「おい、聞こえてんぞ」

人の体を見るな。






「あ、そうだ。勉強はどうだった?」



「………まあ、まあ」



「その間、なに。もしかしてできなかったとか?」


「うるさいな。これから徐々に上げていくんだよ」


「ふ~ん。せいぜい頑張れ」


いつもと変わらず上から目線な態度。


俺は奴を置いて部屋を出た。



「おい!待て俺も行く!」


慌てて、野田も来て、俺の横に並ぶ。



「大輝。寄り道しないで帰るのよ。拓海くん、大輝をよろしくね」


「はい、もちろんです」



にこりと俺の母親にそう言う野田。


かあさん、こいつ、あなたの大事な息子に毎日不細工だと悪口を言っていますよ。俺以外の前では外面が良い野田。




「少し離れて歩けよ」


「嫌だ」


「俺が惨めになる」



こんなイケメンと肩を並べて歩いてみろ、後ろ指をさされる。



「今に始まったことじゃないからいいじゃん」


「はあ…。もうやだこの人。勝手にしろ」



「勝手しまーす」


今の状況で、殴らない俺って凄いと思う。



あぁ。俺に一つ得意なことがあれば、こいつを見返せるのに。




「なあ、俺の良いところ一つある?」


「ない」



「うわ、最低」


気になったので聞いたのが間違い。



「頭も悪いし、おまけに不細工。そして性格ひねくれ根暗、交友関係なし」


「う…っ」


全て図星だ。


いや!これから見つければいいんだよ!ははは。(遠い目)





学校に着くと、すぐに俺はこいつから離れた。



学校まで一緒にいたくないし。




「は、花谷くん。今日、日直俺とだからよろしく」


何やら緊張気味のクラスメイトの一人が声をかけてくれた。そっか。今日日直か。

確かこの人の名前は上田くんだっけ。確か頭も良かったような。


「よ、よろしくね。う、上田くん」

野田以外と話すのは久々なので吃ってしまった。

俺となんて、多分嫌だと思うけど。




ちなみに、ラッキーなことに野田とは別のクラスだ。

みんなも気づいていると思うけど、俺クラスで浮いている。いいもん、一匹オオカミかっこいいじゃん。


休み時間とか暇なので日直日誌に記載していく。



「は、花谷くん」


「上田くん?」


また話しかけてくれた!日直ありがとう。



「放課後、丸山先生が日直の仕事で残ってほしいって」


「そっか。わかった」


わざわざ伝えに来てくれたのか。



そして、放課後。


「大輝帰るぞー」

「今日は無理」

「は、なんで」


「日直の仕事があんの」


「一人で?」



「うん、まあ」



多分上田くんは、来ないだろう。号令とか目立つ日直の仕事はしてくれたし。俺日誌しかやってないもん。


「ふ~ん。でも終わるまで待っとくわ」


「帰れよ」



「じゃあ、俺校庭のベンチで寝とく」


「一生寝とけ」


しかも校庭のベンチって、女子テニス部が部活やっている時間じゃないか。しかも生脚見放題にはもってこいの場所。


手伝ってはくれないのかよ。


内緒で帰ってやる。




よし、職員室に行くか。


「花谷くん、待って」



「上田くん?」



「俺も日直だし、一緒に行く」



「え、いいって。今日俺何もしてないから」


「そんなことないよ!日誌なんて書かせちゃったし」


「そうだ。日誌だけしかやってなくてごめんね」


「いやいや!花谷くんは何もしなくてもいいというかその…」


最後の方は、ごにょごにょ言ってわからなかったが、何もしなくてもいいってことは役立たずだから引っ込んでろを優しく言ったってことなのかな。うわ、泣ける。でも面と向かって言わない優しさありがとう。


「じゃあ、職員室に行くか」


日直の仕事を終わらせて、上田くんを俺から解放させてあげないと。




「二人ともお疲れ様。これで終わりだ」


先生に頼まれた荷物整理も終わった。



「上田くん、今日はありがとう」


「こちらこそありがとう。まさか花谷くんと話せるなんて夢みたいだったし」


そっか。不細工が珍しい部類の人間か。


上田くんとは仲良くなれそうかもと思ったけど、絶対俺なんかお断りだよね。



「あ、そうだ!花谷くんって字も綺麗なんだね。さっき日誌出すときに見たけど」



「え…?」


今、褒められた?


「は、花谷くん!?ごめん泣いてるの?!」


「ごめん、嬉しくて…」


家族以外褒められたことなんてなかったのに。字を褒められた!自分に良いところあった!



「…っその顔いいね。は、花谷くんっ…俺、俺!」



「はい、そこストップ」


俺と上田くんの間に割って入ってきたのは野田だった。


「野田?」



「さ、さようなら!!!」


上田くんは、慌てて、帰っていった。




「うわ、危なかった」


「何がだよ。急にどうしたんだ」


「お前こそどうしたんだよ、泣いてさ。いじめられた?しかも一人でやるって言ってなかった?なんであんな奴と一緒にいんの」


「別にどうでもいいだろ。つか、いじめられてねぇよ。お前のせいで上田くん帰ったじゃん」



「チッ。アイツ今にもお前に悪口言いそうだったから」



「なにそれ」




「気づかなかったのか?顔真っ赤にして怒ってたぞ」


「まじか…、そっか。不細工が突然泣くとか不愉快だったかもな」



「…で、何で泣いたわけ?あんな奴の前で」


「別にどうだっていいだろ」



「どうでもよくないから聞いてんじゃん。アイツに嫌なことされた?」



もしかして、心配してくれている?


「…されてない。ただ」


「ただ?」



「わ、笑うなよ!今日日直が一緒で、日誌は俺が書いたんだけど、字が綺麗だって褒められた。俺だって良いところあった」



「お前、まじか」


笑うどころか引いてしまった。


上田くんもしよければ友達になれたかもなんて考えていた。そして頭良いから勉強教えてもらえたらなとか。



もう友達作るとかやめよ。




でも

「孤独つらい」


「何言ってんだよ。俺がいるじゃん」



「野田は興味なし」



「うわ、ひでぇ」



まぁ、俺が学校行けてるのは半分話せる野田がいてくれるからだけど。

本人には言わないけどさ。











「なぁ、大輝」


すると、急に真剣な顔になる野田。





「なに」



「突然だけど俺さ、お前のこと本気で好きなんだけど」



「はぁ?」


「小さい頃からずっと好きだった」


「いやいや!待て待て!急におかしなこというなよ」


少し動揺した。



「言ってない。正直焦った。大輝の隣には俺がいて、誰にもそこを譲りたくないし、さっき上田とかいうやつと一緒にいてむかついた」



こんな弱々しくて真剣な野田を初めて見た。


「何言ってんだよ。お前まで俺をからかう買うなよ」



いつも俺のこと不細工だなどと罵倒してきた奴が俺を好きだなんてありえない。これは、嘘告に違いない。




「から買うわけないだろ。長年お前と一緒にいると思ってんだよ。もう一度言う。俺は大輝が好きだ。今まで恥ずかしくて不細工だとか言ってごめん」



「不細工は本当のことだから別にいいよ」





野田は確かに俺には嘘をつかない。


本当に信じてもいいのか?

そもそも、俺は女の子が大好きだ。




男と付き合うなんて考えもしなかった。



野田には悪いが、断るしかない。




「野田の気持ちは嬉しいけど、俺は友達としてお前が好きだ。だから付き合えないごめん」




「…なにそれ」



「だから、無理だって」



「お前をこんなに愛してるのに」


「だからごめんって。第一何で俺なんか好きなわけ?」




「真っ直ぐで優しいから。悪口言っても俺から離れないところ」



「悪口言っても離れないとか俺をMにするなよ」



優しいとか、お前に比べたらそうかもしれないけど。


「お前は一生懸命勉強しようとしてるけど、勉強できなくても俺がいる」



「うーん。でもやっぱり、俺こんな顔だけど、誰構わず付き合うとか無理。だからごめん。こんな奴に振られるのなんて嫌だと思うけど」



「……わかった」




しぶしぶ、納得してくれたみたいだ。
















いや、みたいだった。





「…、ぁ、っや、」


「ほら、ここが気持ちいいんだろ?」



なぜ、こうなっている?

俺断ったよな?



「あ、んっ!!」



俺の中に野田のモノが。


しかも激しく腰を振る野田。


なぜ、俺はこいつとセッしてるんだ。









「お前が誰かのものになるなんて許さないから」



そっと、悪魔は囁いた。







【野田拓海side】




小さい頃から大好きな幼なじみ。


とんでもない美形なのに、俺が小さい頃から不細工だとか言ってきたせいか本人本気で不細工だと勘違いしている。



嘘告されているとか思っているらしいけど、みんな本気だ。


こんな美形なのに、おっちょこちょいだし気取らないし陰キャみたいな行動しかとらないので守りたくなるとみんな思っている。



あと、泣き虫なとこもこれまた可愛い。


間違ってでも告白にはオッケー出すなよと本人に言っているが毎日がヒヤヒヤだ。

男女問わずモテるから厄介。

イケメンと言われている先輩から告白されている時を見たときは殺意を覚えた。


あんなクソ虫が大輝に近づくなと、思った。


心配をよそに大輝は、すぐに無理だと断っていたので安心した。



俺も、大輝への想いが溢れてしまってもう我慢が出来ず告白したが、断られた。


最初は仕方ないと思ったが大輝が他の奴と付き合うなんて想像しただけで無理だった。


その相手と楽しそうに会話とかしてたら死ぬしかない。生きていけないと思った。

それほど大輝を愛していた。


無理やり襲うなんて最低な手段をとったけど、これから少しずつ俺を好きになって意識してくれればいい。




「ほら、大輝。鏡見て」


「や、やだ…っ、ぁ」



「ちゃんと見て。俺たちが繋がっているとこ」



鏡を前に、繋がっている部分が丸見え。

俺はゆっくり動かしながら顔を真っ赤にしている大輝を見ると興奮してたまらない。






一生、俺が大切にするからね。










おまけ①

【なんだかんだで付き合った時の話】




「うー、はぁ、」

俺がため息を吐くと、後ろから心配そうに抱きしめてきた。


「どうしたんだ?大輝」



「就職どうしようか迷っている」




「やりたいのないの?」



「あるけど、こんな顔だぜ…採用してくれなかったら心底落ち込む。もう体を売るしか…多分即無理って言われると思うし」



「体を売るとか言うな。彼氏の前だぞ」



「だって…」



「だってじゃない。仕事見つからなくたって俺が養ってやるよ」



「お前ってかっこいいな」


「今更かよ」


コツンと、デコピンされた。








おまけ②




「野田。俺スカウトされた」




「は?何に」


「芸能界」



「はぁ!?ぜってぇ駄目だから」




「たぶん、不細工枠でスカウトされた。それしか仕事ないし迷っている」


「世間に晒したいわけ?芸能人になるってわかってる?」



「うっ…甘く考えてました。やっぱ、俺には耐えられない」





「良かった。まぁ、芸能人になって欲しくないのは俺のわがままでもあるけど」




「わがまま…?」




「俺だけがお前を独り占めしたいから」



「…っ、この物好きめ」





【完】




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