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「げ、下僕…?なにそれ」

そんな極悪非道なことを推し様にさせるなんてこと…あ。そう言えばそんなことあったな。色々あって忘れてたけど、あれ冗談話じゃなかったんですか。


「忘れていると思った。でも大丈夫、いくらでも言うから。ルアンと関われるならそれでもいいってね」


自然に隣の席に座り出した。ちょっとエイデンさん。俺と関わっても良いことないぞ。待て、そんな目でこっちを見るな。エイデンは少し寂しそうに捨てられた子犬みたいな目でこっちを見てくる。それはずるいよ…俺の中の保護団体がぁ。そんな目で見られたら何も言えなくなる。


「あぁもう、す、好きにしろ!」


「ありがとう。ルアン」


一瞬にして明るくなるエイデン。幻覚なのはわかっているがどこか嬉しそうに尻尾をぶんぶん振っているのが見える。あの、撫でてもいいですか。もちろん、お金は払うんで。思わず手が伸びそうになるのを必死に堪えた。偉いぞ自分。


「何で俺とそんなに関わりたいのか知らないが勉強の邪魔だけはするなよ」


色々聞きたいことが山ほどあるが将来良きライバルになるため、こんなところで馴れ合ってはいけない。俺は気にしないことにし、エイデンから目線を本に移した。


「もちろんだよ。あ、今日は精霊に関しての本を読んでいるんだね」


「しーっ。集中してるから黙って」


それからエイデンも大人しく隣で俺が読み終えた本を手にとって読み始めた。

本のページを捲る音だけが静寂の中響いた。気づくと、何時間か経過していた。隣ではエイデンも真面目に本を読んでいた。そろそろ帰りたいが読むのを邪魔したくないな。パタンと本を閉じて席を立つ。



「じゃあな。その本は貸しておくから」


「あ、待ってルアン!言いたいことがあるんだ」


腕を掴まれ引き止められた。


「なに」


「ヘンリ爺さんが来ないのかって言ってたよ。それに俺も来てほしいと思ってる」



「もう少し勉強してから行くって伝えといて」


冷静に返すが思わずきゅんとしてしまうところだった。これだからまったく、天然たらしは怖いぜ。



「そっか…そうだよね。そう伝えておくよ。ルアンとたくさん話したくて急ぎ過ぎてしまったみたい。ごめんね」



「…べ、別に」


謝らなくていいんだよーっ!自分が情けなくて泣けてくる。

エイデン…君ってやつは、本当に主人公の鑑過ぎるよ。一生推します。そして良きライバルになりましょう。チョロいです。はい。







「あ、そうだ。言うの遅くなったけど、ちなみに俺もヘンリ爺さんの弟子になったんだ」


「はっ、弟子だと?!」


思わず声が出て、驚いてしまった。弟子になるということは更に強くなる気ですか。追いつけなくなるじゃん。夢が遠くなるのを悟った俺でした。



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