嫌われ者の僕

無口ワンコ書記

8

【あおいside】




ヒリヒリと痛む頬。

唇も痛い。



眼鏡ごと持って花園くんは部屋から飛び出して行った。


普段よりもずっと視界がぼやける。

泣いているせいもあるかもしれない。






花園くんが怒っているとき言葉が詰まった。

全部自分のせいだ。

 
 
約束も破って本当最低…。




傷つけた。

僕のせいで井上さんも花園くんも…。




僕は泣いてばかりで弱虫なだけ。



この頬の痛みや唇の痛みは何日かしたら治るけど……傷つけた心は簡単に治らないことは知ってる。それはよく分かる。





花園くんが出ていった後、体が震えていてずっとその場から動けなかった。








花園くん、怒っていたのになんで僕なんかにキスなんかしたんだろ…。







あのときの言葉を思い出す。


『あおい！こ、これは親友の証のキスだからな』



親友の証…。僕は…約束を破った最低な奴なのに。花園くんはまだ僕のことそう思ってくれてるのかな…。そう考えるとまた涙が出てくる。





そんな時、花園くんに取り上げられた本のことを思い出した。



そうだ、本…。た、確か…この辺にあった。



井上さんから貰った本。

ぎゅっと胸に抱いてそのまま足に力が入らなくなったように床に腰がついた。



見つかって肩の力も抜ける。







そして気づいたら、外はもう暗くなっている。このままどうしようと考えていたときゆうが僕を心配してか探しに来てくれた。何があったか聞かなかったゆうは優しくて『帰ろう』と、そっと僕を包みこんだ。










……僕はいろんな人に迷惑をかける

だめ人間。