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【第一部】
28、付き合う基準そこですか
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それからラーメン食べに行って、そのまま私の部屋で漫画読んだりスマホを見たりしてダラダラして。
「さっきの藤田くん?でしたっけ。
どこら辺がダメだったんですか?」
ふいに話しかけられてスマホから顔をあげると、こちらを伺っている慧と目が合った。
「何で付き合う気がなかったのかってこと?」
「うん」
付き合ってもないのにいきなり高価なプレゼントを贈ってくるのには驚いたけど、まあたぶん悪い人ではないんだろうし、外見もそこそこで付き合うには悪くないかもしれない。ただ、……。
「う~ん……キスが良くなかったんだよね」
「はい?」
ありのままを伝えると、不審なものでもみるような目つきで見られてしまった。
「私の経験上、キスが良くない人はその後のえっちも期待出来ないんだよね。藤田くんが下手とかじゃなくて、多分相性の問題なんだと思うけど」
藤田くんと個人的にキスしたことはないから、王様ゲームの時の感想だけど。お酒飲んでても違和感を感じたんだから、それはもう絶望的に合わないってことなんだと思う。女の子としたキスの方が良かったぐらいだし。
「だからキスが合わなかった人とは付き合わないし、えっちもしないようにしてる」
きっぱり言い切ると、呆れたような目で見られてしまう。でもさ、最初から良くないって分かってるのにわざわざ特攻する必要ある?
「付き合う基準そこかよ」
「大事なことだよ。いくら一緒にいて楽しくても、身体の相性が合わなかったらお互い辛くなるじゃん」
「まあ。悪いよりは良い方がいいかもしれないですね」
「でしょ~?」
勝ち誇ったように笑みを浮かべると、慧と目が合って、じっとこちらを見つめてくる。
「じゃあ俺はどうだったんですか。キスは良かったんですか?」
「良かったよ。キスも良かったし、えっちも良かった」
「そうだったんですか? てっきり俺が下手だったから、あんなこと言われたのかと思ってました」
「そんなこと思ってたの? なんかごめんね。そういうことじゃなかったんだ。さすがにあれが初めてってのは申し訳なくて、忘れた方が慧のためになるんじゃないかと思っただけ」
結局はそういう私の対応が良くなかったから、慧を怒らせることになったんだと思うけど。
「えっちは全然下手じゃなかったよ。むしろ今までで一番良かった……かも」
慣れてないんだろうなってのは伝わってきたけど、でも逆におかしな方向に自信つけて変なことされないから良かったし、たぶん相性が良いのかも。
「それ本当ですか?」
「え?」
「今までで一番良かったって」
「……うん」
聞かれたことに頷くと、私の頬に慧の手が置かれたので、目を閉じる。目を閉じると、しばらくして唇が重なった。目を閉じたまま唇を薄く開けると、隙間から慧の舌が入ってくる。
「……んっ……」
小さく声を漏らすと、慧の手が私の胸に触れる。
「今日はしないんじゃなかったの?」
目を開けていたずらっぽく笑うと、何も言わずに抱き寄せられた。
「気が変わりました」
「そうなんだ。———いいよ?」
ぎゅっと身体を密着させて慧の首に手を回すと、そのまま抱き上げられてベッドに沈められ、その上から慧が私に覆い被さってくる。
「花音先輩」
「ん?」
「好きです」
真剣な目で見つめられ、心臓が鷲掴みにされたみたいに苦しくなる。やっぱり、慧のこの目が苦手だな。
慣れてるはずなのに、純粋なわけでもないのに。それでも慧に見つめられると、どうしたらいいのか分からなくなる。どうやって息をしたらいいのかも分からなくなるの。
「さっきの藤田くん?でしたっけ。
どこら辺がダメだったんですか?」
ふいに話しかけられてスマホから顔をあげると、こちらを伺っている慧と目が合った。
「何で付き合う気がなかったのかってこと?」
「うん」
付き合ってもないのにいきなり高価なプレゼントを贈ってくるのには驚いたけど、まあたぶん悪い人ではないんだろうし、外見もそこそこで付き合うには悪くないかもしれない。ただ、……。
「う~ん……キスが良くなかったんだよね」
「はい?」
ありのままを伝えると、不審なものでもみるような目つきで見られてしまった。
「私の経験上、キスが良くない人はその後のえっちも期待出来ないんだよね。藤田くんが下手とかじゃなくて、多分相性の問題なんだと思うけど」
藤田くんと個人的にキスしたことはないから、王様ゲームの時の感想だけど。お酒飲んでても違和感を感じたんだから、それはもう絶望的に合わないってことなんだと思う。女の子としたキスの方が良かったぐらいだし。
「だからキスが合わなかった人とは付き合わないし、えっちもしないようにしてる」
きっぱり言い切ると、呆れたような目で見られてしまう。でもさ、最初から良くないって分かってるのにわざわざ特攻する必要ある?
「付き合う基準そこかよ」
「大事なことだよ。いくら一緒にいて楽しくても、身体の相性が合わなかったらお互い辛くなるじゃん」
「まあ。悪いよりは良い方がいいかもしれないですね」
「でしょ~?」
勝ち誇ったように笑みを浮かべると、慧と目が合って、じっとこちらを見つめてくる。
「じゃあ俺はどうだったんですか。キスは良かったんですか?」
「良かったよ。キスも良かったし、えっちも良かった」
「そうだったんですか? てっきり俺が下手だったから、あんなこと言われたのかと思ってました」
「そんなこと思ってたの? なんかごめんね。そういうことじゃなかったんだ。さすがにあれが初めてってのは申し訳なくて、忘れた方が慧のためになるんじゃないかと思っただけ」
結局はそういう私の対応が良くなかったから、慧を怒らせることになったんだと思うけど。
「えっちは全然下手じゃなかったよ。むしろ今までで一番良かった……かも」
慣れてないんだろうなってのは伝わってきたけど、でも逆におかしな方向に自信つけて変なことされないから良かったし、たぶん相性が良いのかも。
「それ本当ですか?」
「え?」
「今までで一番良かったって」
「……うん」
聞かれたことに頷くと、私の頬に慧の手が置かれたので、目を閉じる。目を閉じると、しばらくして唇が重なった。目を閉じたまま唇を薄く開けると、隙間から慧の舌が入ってくる。
「……んっ……」
小さく声を漏らすと、慧の手が私の胸に触れる。
「今日はしないんじゃなかったの?」
目を開けていたずらっぽく笑うと、何も言わずに抱き寄せられた。
「気が変わりました」
「そうなんだ。———いいよ?」
ぎゅっと身体を密着させて慧の首に手を回すと、そのまま抱き上げられてベッドに沈められ、その上から慧が私に覆い被さってくる。
「花音先輩」
「ん?」
「好きです」
真剣な目で見つめられ、心臓が鷲掴みにされたみたいに苦しくなる。やっぱり、慧のこの目が苦手だな。
慣れてるはずなのに、純粋なわけでもないのに。それでも慧に見つめられると、どうしたらいいのか分からなくなる。どうやって息をしたらいいのかも分からなくなるの。
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