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【第一部】
3、さすがにそれは酷いんじゃないですか
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「頭いた……」
目を覚ますと軽く頭痛がして、完全に二日酔いだなんて思ってたら、自分が何も着ていないことに気がつく。あれ、何で私……。
「おはようございます」
ベッドの上で上半身を起こすと、みんなが散らかしていった缶やお菓子の袋を片付けてくれてた慧と目が合う。その瞬間、ようやく昨日のことを思い出した。
慧はもう服着てるけど、私は全裸だし、何より断片的ではあるけど記憶だってはっきりある。うわ、やらかしたやつじゃんこれ。
「おはよ。片付けてくれてたんだ? ありがとう」
身体を隠すように布団をたぐり寄せ、苦笑いを浮かべると、慧は気まずそうにうつむく。
「いえ。あの、昨日は……」
「あ! 昨日ね。なんかごめんね。本当に申し訳ないです」
伏し目がちに何かを言おうとした慧の言葉を遮り、両手を合わせて頭を下げる。
「や、それはいいんですけど……」
「ほんと?」
「はい。あの、」
「ん?」
珍しく言い淀んでいる慧に首を傾げると、慧は何かを決意したように口を開く。
「俺たち、付き合います?」
「……え?」
「だから、俺と付き合いますか?」
「あ、うん。それは聞こえたんだけど。え、ちょっと待って。何で?」
言われたことがすぐに理解出来なくて、二回も聞き直してしまった。
どういう流れでそうなったんだろ。
たしかにえっちはしたけど、お互い好きだったわけじゃないし、もし責任感じさせたのなら申し訳ない。
「何で、って逆にこっちが聞きたいですよ。何で付き合わないんですか」
「ええ? ごめん、ちょっとよく分からないんだけど。付き合わ、ない」
「そうですか。理由を教えてもらってもいいですか」
「慧はかっこいいしちゃんとしてるし、私みたいないい加減でだらしないダメ女とわざわざ付き合わなくても、もっといい子と付き合えると思うよ」
「それは、俺と付き合わない理由にはなりませんよね」
真剣な表情で詰め寄ってくる慧に違和感を感じ、口元に浮かべていた笑みを引き攣らせる。
え、待って。私のこと好きなわけじゃないよね。慧って執着しなさそうだし、ここまで食いついてくるのは正直意外。
しちゃったから付き合わなきゃいけないとか、そういう感じなのかな。
「理由……っていうか。慧と私はそういう関係じゃないじゃん。こういうことしといていうのも何だけど、昨日のはなんていうか、流れ? ほら、よくあることだよね?」
「よくあること?」
「あ、慧は初めてだったかもしれないけど。でもさ、慧も結局流されてえっちしちゃったわけだよね。付き合ってなくても好きじゃなくても出来ちゃったわけだし、別に特別なことじゃなかったでしょ?」
愛想笑いを浮かべながらそう言うと、慧の顔からどんどん表情が無くなっていく。
「さすがにそれは酷いんじゃないですか」
「え、と、……慧?」
「帰ります」
慧はカバンを持って玄関に向かい、一度も振り返らずに出て行ってしまった。静かに閉められたドアが閉まる音がやけに耳に残り、後には後悔だけが残る。
あれ? もしかして私、盛大にやらかした?
目を覚ますと軽く頭痛がして、完全に二日酔いだなんて思ってたら、自分が何も着ていないことに気がつく。あれ、何で私……。
「おはようございます」
ベッドの上で上半身を起こすと、みんなが散らかしていった缶やお菓子の袋を片付けてくれてた慧と目が合う。その瞬間、ようやく昨日のことを思い出した。
慧はもう服着てるけど、私は全裸だし、何より断片的ではあるけど記憶だってはっきりある。うわ、やらかしたやつじゃんこれ。
「おはよ。片付けてくれてたんだ? ありがとう」
身体を隠すように布団をたぐり寄せ、苦笑いを浮かべると、慧は気まずそうにうつむく。
「いえ。あの、昨日は……」
「あ! 昨日ね。なんかごめんね。本当に申し訳ないです」
伏し目がちに何かを言おうとした慧の言葉を遮り、両手を合わせて頭を下げる。
「や、それはいいんですけど……」
「ほんと?」
「はい。あの、」
「ん?」
珍しく言い淀んでいる慧に首を傾げると、慧は何かを決意したように口を開く。
「俺たち、付き合います?」
「……え?」
「だから、俺と付き合いますか?」
「あ、うん。それは聞こえたんだけど。え、ちょっと待って。何で?」
言われたことがすぐに理解出来なくて、二回も聞き直してしまった。
どういう流れでそうなったんだろ。
たしかにえっちはしたけど、お互い好きだったわけじゃないし、もし責任感じさせたのなら申し訳ない。
「何で、って逆にこっちが聞きたいですよ。何で付き合わないんですか」
「ええ? ごめん、ちょっとよく分からないんだけど。付き合わ、ない」
「そうですか。理由を教えてもらってもいいですか」
「慧はかっこいいしちゃんとしてるし、私みたいないい加減でだらしないダメ女とわざわざ付き合わなくても、もっといい子と付き合えると思うよ」
「それは、俺と付き合わない理由にはなりませんよね」
真剣な表情で詰め寄ってくる慧に違和感を感じ、口元に浮かべていた笑みを引き攣らせる。
え、待って。私のこと好きなわけじゃないよね。慧って執着しなさそうだし、ここまで食いついてくるのは正直意外。
しちゃったから付き合わなきゃいけないとか、そういう感じなのかな。
「理由……っていうか。慧と私はそういう関係じゃないじゃん。こういうことしといていうのも何だけど、昨日のはなんていうか、流れ? ほら、よくあることだよね?」
「よくあること?」
「あ、慧は初めてだったかもしれないけど。でもさ、慧も結局流されてえっちしちゃったわけだよね。付き合ってなくても好きじゃなくても出来ちゃったわけだし、別に特別なことじゃなかったでしょ?」
愛想笑いを浮かべながらそう言うと、慧の顔からどんどん表情が無くなっていく。
「さすがにそれは酷いんじゃないですか」
「え、と、……慧?」
「帰ります」
慧はカバンを持って玄関に向かい、一度も振り返らずに出て行ってしまった。静かに閉められたドアが閉まる音がやけに耳に残り、後には後悔だけが残る。
あれ? もしかして私、盛大にやらかした?
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