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「彩羽ちゃんとは違うタイプだけど、和葉ちゃんも美人じゃん」

 思ってもいなかったことを言われ、顔を上げる。
 てっきりニヤニヤしているのかと思ったら、意外にも優日は大真面目な顔をしていた。

「お世辞は言わなくてもいいよ」
「え、何で? お世辞じゃなくて、本気で言ってるのに。典型的な和風美人って感じで、すごい綺麗だと思う」
「そういうの、いいから」

 なんでそんなに持ち上げてくれるのか分からないけど、私が美人だなんてありえない。彩羽みたいな可愛い女子を間近で見て育って、自分が美人だと思えるほど自惚れられないよ。

 きっぱり私が否定したら、優日も口をつぐんだ。だけど、なんだかまだ納得してなさそうな顔をしている。

「和葉ちゃんって、メイクはしないの?」
「一応してるよ」

 下地、ファンデーション、眉、ブラウンのチーク、オレンジブラウンのリップ。全部軽くだけど、一通りはやっているつもり。
 メイクをしない人には、もっとカラーを使わないと、すっぴんとの違いが分からないのかな。
 
「今でも十分綺麗だけど、もっと似合うメイクがありそう」

 優日は私の顔をじっと見て、にっと笑いかける。

「よし! 今から和葉ちゃんの化粧品と服を買いに行こう!」

 食べ終わったお皿をお盆の上に乗せて、優日は立ち上がった。

「今から?」
「旭陽と彩羽ちゃんを別れさせる作戦に必要なことだよ。和葉ちゃんが自分に自信を持てたら、旭陽をデートに誘えるようになるよね」
「ちょっと待って」

 『行くよ』と、優日は少し強引に私の腕を引っ張る。
 そのまま優日に連れられ、結局駅前に行くことになってしまった。
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