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特級ギルド『暁の盾』
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--どうしよう。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
私は動揺している。
それはもうものすごく。
白湯を飲ませてもらって、少しだけ話をして、またすぐにうとうとなって眠ってしまった。
起きたらご飯の用意が出来てると言われて「食べられそうかい?」と聞かれた。
私の口が答えるよりも前に、お腹が「ぎゅるる……」と先に答えた。
--恥ずかしい。
けれどお腹は本当に空いていたのでご飯はありがたい。
倒れていたところを助けてもらって、ベッドを提供してもらって、そのうえ食事までだなんて、身元の知れない人間に対して親切すぎる気もするけれど。
おそらく今の私が子供であることと、身に付けている衣服が上等なものであるということも、その理由の一つなのだろう。
金持ち、あるいは貴族の子供。
そのように思われているのでないかと思う。
――誘拐されて、何かの理由があってダンジョンに置き去りにされた。とでも推測されているのではないか。
誘拐された子供が無事に帰って来ないということはままある。
お金が上手く取れなかったから腹いせに処分されることもあれば、顔を見られたからということもある。最初から生きて返すつもりがないということも。
それらの誘拐犯が子供の処分先としてダンジョンを選ぶというのは珍しくもない。
適当に放置しておけばあとは魔物が勝手に処分してくれる。
そういったモノをダンジョンに運ぶことを生業にしている裏ギルドも世の中にはあるという。
逆にそういった子供を保護してくれる良心的なギルドも。きっとここは後者なのだろう。
あながち的外れでもないのよね。
誘拐は一応失敗に終わっているが、そのせいでダンジョンに飛ばされたのは確か。
だったらあえて否定せず、細かい部分はよく覚えていない、とか袋に詰められて運ばれたからわからない、とか答えておけば良いだろう。
などと。
ぐだぐだと頭の中はあれこれ考えているようでいて、本当は混乱している。
その理由は、私の現在の格好にある。
食べやすく柔らなく煮込まれた粥と山羊の乳で作られたチーズとヨーグルトの乗ったテーブルを前に座らされている私。
ただ今の五才児な私の背には椅子もテーブルも大きすぎて高すぎた。
一人では椅子に座れない。
乗せてもらっても今度はテーブルに届かない。
クッションで重増ししてもらったとしても、やはり相当身を乗り出して手を伸ばさなくては皿には届かないから、安定が悪い。
なので、致し方ないといえばその通りなのだろう。
だからといって動揺せずにいられるかといえばいられない。
しかもここはギルドの食堂であるらしく、周りには何人もの人がいる。
その人たちの目は、物珍しいものを見る視線で私を注目している。
確かに周りは皆大人で、私一人が子供。
ダンジョンで保護された子供――それも珍しい狐族の子供ともなれば注目されるのも無理はない。
そうは思う。
けれど。
――それだけじゃないわよね?
注目されている原因はそれよりも、むしろ。
イケメンに背中から抱っこされて、イケメンの太腿をクッションにしてイケメンの手でスプーンを口に「あーん」されている私の今の状態。
いえ、食べさせてもらっているのはありがたいのよ?
私が本当に精神的にも五才であれば何も問題はなかったかも知れない。
きっと少し照れくさい程度ですんだかも知れないわね?
だけど私、精神は19才なんです。
結婚前の淑女なんです。
――恥ずかしすぎる。
恥ずかしすぎてある意味拷問でもされている気分。
「もういらないのか?」
イケメンさんが私の肩ごしに顔を覗き込んでくるのにドキリとしてしまう。
イケメンです。どうしよう私好みの顔です。
ごちそうさまです。色んな意味で。
――ああぁ、何を言ってるの私。
もう駄目、本当にお腹がいっぱいだわ……。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
私は動揺している。
それはもうものすごく。
白湯を飲ませてもらって、少しだけ話をして、またすぐにうとうとなって眠ってしまった。
起きたらご飯の用意が出来てると言われて「食べられそうかい?」と聞かれた。
私の口が答えるよりも前に、お腹が「ぎゅるる……」と先に答えた。
--恥ずかしい。
けれどお腹は本当に空いていたのでご飯はありがたい。
倒れていたところを助けてもらって、ベッドを提供してもらって、そのうえ食事までだなんて、身元の知れない人間に対して親切すぎる気もするけれど。
おそらく今の私が子供であることと、身に付けている衣服が上等なものであるということも、その理由の一つなのだろう。
金持ち、あるいは貴族の子供。
そのように思われているのでないかと思う。
――誘拐されて、何かの理由があってダンジョンに置き去りにされた。とでも推測されているのではないか。
誘拐された子供が無事に帰って来ないということはままある。
お金が上手く取れなかったから腹いせに処分されることもあれば、顔を見られたからということもある。最初から生きて返すつもりがないということも。
それらの誘拐犯が子供の処分先としてダンジョンを選ぶというのは珍しくもない。
適当に放置しておけばあとは魔物が勝手に処分してくれる。
そういったモノをダンジョンに運ぶことを生業にしている裏ギルドも世の中にはあるという。
逆にそういった子供を保護してくれる良心的なギルドも。きっとここは後者なのだろう。
あながち的外れでもないのよね。
誘拐は一応失敗に終わっているが、そのせいでダンジョンに飛ばされたのは確か。
だったらあえて否定せず、細かい部分はよく覚えていない、とか袋に詰められて運ばれたからわからない、とか答えておけば良いだろう。
などと。
ぐだぐだと頭の中はあれこれ考えているようでいて、本当は混乱している。
その理由は、私の現在の格好にある。
食べやすく柔らなく煮込まれた粥と山羊の乳で作られたチーズとヨーグルトの乗ったテーブルを前に座らされている私。
ただ今の五才児な私の背には椅子もテーブルも大きすぎて高すぎた。
一人では椅子に座れない。
乗せてもらっても今度はテーブルに届かない。
クッションで重増ししてもらったとしても、やはり相当身を乗り出して手を伸ばさなくては皿には届かないから、安定が悪い。
なので、致し方ないといえばその通りなのだろう。
だからといって動揺せずにいられるかといえばいられない。
しかもここはギルドの食堂であるらしく、周りには何人もの人がいる。
その人たちの目は、物珍しいものを見る視線で私を注目している。
確かに周りは皆大人で、私一人が子供。
ダンジョンで保護された子供――それも珍しい狐族の子供ともなれば注目されるのも無理はない。
そうは思う。
けれど。
――それだけじゃないわよね?
注目されている原因はそれよりも、むしろ。
イケメンに背中から抱っこされて、イケメンの太腿をクッションにしてイケメンの手でスプーンを口に「あーん」されている私の今の状態。
いえ、食べさせてもらっているのはありがたいのよ?
私が本当に精神的にも五才であれば何も問題はなかったかも知れない。
きっと少し照れくさい程度ですんだかも知れないわね?
だけど私、精神は19才なんです。
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――恥ずかしすぎる。
恥ずかしすぎてある意味拷問でもされている気分。
「もういらないのか?」
イケメンさんが私の肩ごしに顔を覗き込んでくるのにドキリとしてしまう。
イケメンです。どうしよう私好みの顔です。
ごちそうさまです。色んな意味で。
――ああぁ、何を言ってるの私。
もう駄目、本当にお腹がいっぱいだわ……。
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