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カランコエの花言葉。
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♢♢♢♢♢
時おり躊躇するように口をつぐみながらも、ポツポツとモンタさんは話をしてくれた。
彼らが接触してきたのはわたしと偶然遭遇した夜よりも数日前だったそうだ。
最初は金になるいい仕事があるという話だった。接触してきたのはモンタさんと同じガルド王国の生まれの人間で、つい最近こちらにやってきたのだと話したのだという。
仕事内容は日雇いの職場であるいくつかの噂を流すこと。
『ガルドの軍隊がこの街を攻めてくる』
それが主なもの。
あとはガルド王国が人間の国であるゴールデル王国と手を結んだ。という噂。
ゴールデル王国はフランシスカの北東に位置する小国だ。
国の規模としては小国に位置するけれど、ずいぶん戦闘的な狩猟民族がより集まって国となった国家で、まあ一言で言うとケンカっ早い。
特に今の王が即位してからは顕著で、大きな戦争には発展しないまでも周辺国のあちこちに小競り合いをしかけては少しずつ、じりじりと国土を広げている。
フランシスカやヴィルトルとはいくつかの国を隔てていることもあって、直接戦火を交えたことはないが、水面下では肥沃なフランシスカの国土を虎視眈々と狙い続けているという噂はもうずいぶん前からある。
ゴールデルとはそんな国だ。
そんな国がガルドと手を結ぶ。
その先の図式はわたしのような人間にも容易に想像がつく。
ゴールデルと手を組んだガルドが港のあるこの街を落とす。港を落としてしまえばそこからガルドはゴールデルからの物資や人、そして武器を得ることが容易くなる。
それらを持ってルグランディリアの国自体を落としにかかる。
すでにガルドの軍はこの街のすぐ近くまで進軍しつつある、と。
そのような噂をモンタさんが言うには他にも複数人が広げていたという。
わたしはたまに外から聞こえてくる物音に注意を払いつつ、ううんと唸る。
わたしが思うに、噂とは主に二種類のものがある。
自然発生的なものと。
意図的なもの。
もちろん今回は後者で、しかもその噂は水面下で少しずつ、まるでカップの中の水を深い皿にちろちろと移していくように少しずつ街の中に浸透していって、時期を図って、いっぱいになった皿から水がこぼれ出すように、一気に溢れさせたように思う。
ーーもし噂が真実だったとしたら。
すべてが真実とは限らない。
そも噂というものは大概誇大化された話であるもので、一定数真っ赤な嘘が混じっているものだ。
意図的に嘘の情報を流したということも考えられる。けれどすべてが嘘にしては、あまりにも整合性がありすぎる。
ガルドとゴールデルが手を結んでルグランディリアを攻める。
そしてその後は、ルグランディリアを手に入れて国力を増したガルドと、ゴールデルが海と陸から挟み込んでフランシスカを攻める。
お互いにガルドはルグランディリアを。
ゴールデルはフランシスカを。
その図式はただの噂と断じるには、あまりにもカッチリと、はまってしまう。
そして一番の問題が、
ーー噂の出所が、ルグランディリアの中であること。
広めたのはガルドの人間でも、それを指示したのはルグランディリアの高位貴族。
リルとよく似た姿と声をした人。
「なんだかとんでもないことに巻き込まれてる気がするわ」
ただの貧乏公国の公主には荷が重すぎる。
ーー信じていいんだよね?リル。
巻き込まれるキッカケを作ったのはこの国に、街に来ると決めた、わたし。
巻き込ませたのは、リル。
わたしにできることは、すべきことは、きっとリルを信じること。
『あなたを守る』
その言葉を信じること。
それで、いいんだよね?
ーーリル。
時おり躊躇するように口をつぐみながらも、ポツポツとモンタさんは話をしてくれた。
彼らが接触してきたのはわたしと偶然遭遇した夜よりも数日前だったそうだ。
最初は金になるいい仕事があるという話だった。接触してきたのはモンタさんと同じガルド王国の生まれの人間で、つい最近こちらにやってきたのだと話したのだという。
仕事内容は日雇いの職場であるいくつかの噂を流すこと。
『ガルドの軍隊がこの街を攻めてくる』
それが主なもの。
あとはガルド王国が人間の国であるゴールデル王国と手を結んだ。という噂。
ゴールデル王国はフランシスカの北東に位置する小国だ。
国の規模としては小国に位置するけれど、ずいぶん戦闘的な狩猟民族がより集まって国となった国家で、まあ一言で言うとケンカっ早い。
特に今の王が即位してからは顕著で、大きな戦争には発展しないまでも周辺国のあちこちに小競り合いをしかけては少しずつ、じりじりと国土を広げている。
フランシスカやヴィルトルとはいくつかの国を隔てていることもあって、直接戦火を交えたことはないが、水面下では肥沃なフランシスカの国土を虎視眈々と狙い続けているという噂はもうずいぶん前からある。
ゴールデルとはそんな国だ。
そんな国がガルドと手を結ぶ。
その先の図式はわたしのような人間にも容易に想像がつく。
ゴールデルと手を組んだガルドが港のあるこの街を落とす。港を落としてしまえばそこからガルドはゴールデルからの物資や人、そして武器を得ることが容易くなる。
それらを持ってルグランディリアの国自体を落としにかかる。
すでにガルドの軍はこの街のすぐ近くまで進軍しつつある、と。
そのような噂をモンタさんが言うには他にも複数人が広げていたという。
わたしはたまに外から聞こえてくる物音に注意を払いつつ、ううんと唸る。
わたしが思うに、噂とは主に二種類のものがある。
自然発生的なものと。
意図的なもの。
もちろん今回は後者で、しかもその噂は水面下で少しずつ、まるでカップの中の水を深い皿にちろちろと移していくように少しずつ街の中に浸透していって、時期を図って、いっぱいになった皿から水がこぼれ出すように、一気に溢れさせたように思う。
ーーもし噂が真実だったとしたら。
すべてが真実とは限らない。
そも噂というものは大概誇大化された話であるもので、一定数真っ赤な嘘が混じっているものだ。
意図的に嘘の情報を流したということも考えられる。けれどすべてが嘘にしては、あまりにも整合性がありすぎる。
ガルドとゴールデルが手を結んでルグランディリアを攻める。
そしてその後は、ルグランディリアを手に入れて国力を増したガルドと、ゴールデルが海と陸から挟み込んでフランシスカを攻める。
お互いにガルドはルグランディリアを。
ゴールデルはフランシスカを。
その図式はただの噂と断じるには、あまりにもカッチリと、はまってしまう。
そして一番の問題が、
ーー噂の出所が、ルグランディリアの中であること。
広めたのはガルドの人間でも、それを指示したのはルグランディリアの高位貴族。
リルとよく似た姿と声をした人。
「なんだかとんでもないことに巻き込まれてる気がするわ」
ただの貧乏公国の公主には荷が重すぎる。
ーー信じていいんだよね?リル。
巻き込まれるキッカケを作ったのはこの国に、街に来ると決めた、わたし。
巻き込ませたのは、リル。
わたしにできることは、すべきことは、きっとリルを信じること。
『あなたを守る』
その言葉を信じること。
それで、いいんだよね?
ーーリル。
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