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2章 祖父はどうやら異世界にも息子が居たようです
08 魔法適正の書
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家事も一通りこなし、俺の着ていた服も洗っておいてくれるという。俺は好意に甘えることにした。
服の洗い方は、向こうと何故か一緒。よく考えてみれば冷蔵庫があることも不思議なんだよな。その理由も粗方祖父が理由になるんだろうと思い、対して気に止めなかった。
洗濯機が回っている間、俺とガルシアは外に出てきた。
外を見渡すと見晴らしの良い野原だった。
「意外と似合ってるな」
ガルシアのお古の服だが、子供の頃とはいえ俺にサイズとピッタリなのが気にくわない。そりゃその巨体ならあり得なくもないけど、身長なら百七十は一応あるんだがなぁ。
「そりゃどーも」
「なんで、拗ねてんだ?ま、いいけどよ」
頭をかしげながらガルシアは一冊の本を手渡してきた。その本には見慣れない文字の羅列が表題になっていて、おそらく中身も同じような文字で書いてることだろう。
「これは?」
「それは魔法適正の書だ。魔法が使えるかどうかを確かめることが出来る本だ。せっかくだから、俺がお手本してやる」
俺は本をガルシアに返した。
ガルシアは本をパラパラと捲ると目的のページを見つけたのか、白紙のそのページに手のひらを当てた。
「こうやって、手を当てて呪文を唱える。『我が魔法力が顕現せん』と簡単な呪文だ。手を置いて呪文を唱えるだけで、魔法に適正があるかどうかの文字が浮かび上がる」
俺には読めない文字が浮かび上がってきたのが見えた。
「これは魔法適正なしって書いてるんだが、読めたか?」
俺は首を横にふった。
「やっぱな、会話が成り立つのは不思議だが文字は流石に読めなかったか。仕方は今教えた通りだ、やってみな」
本を受け取るとページを巡る。よく見るとどれも同じような文字ばかりの羅列に見えた。浮かび上がった文字は消えないらしい。俺は次の白紙のページを開くとそこに手を置いた。
呪文の内容的に魔法力の大きさで魔法適正かどうかを測っているようにもみえる。仮想はひとまずそこまでにしておいて俺も呪文を唱える。
『我が魔法力が顕現せん』
体から脱力感のようなものを少しだけ感じる。
これが魔力が無くなったってことなのかな。
「ガルシア、結果は?」
「よかったな。魔法適正ありだったぞ」
「うおおおおおお!よっしゃーー!!」
俺は両手を天に仰ぐように大きく万歳をした。何度も何度もガッツポーズをして、手のひらをガルシアに向けてアピールした。
「ほら、早く!ハイタッチだよ!」
「そうか、おら!景気付けに一発といくか!」
ズッパシ!と振り上げてハイタッチをした瞬間、ガルシアの力で俺はよろけながら後ろに倒れた。
大の字で寝転がるとガルシアが横に座った。
はあ…っと、ため息が出てしまうくらい下から見上げるガルシアは大きくてカッコいい。俺がそこまで強くなるには一朝一夕には行かない筈だ。どうやって帰れば良いかもわからない。ここで生きていくには魔法しか無いと思っていたから、本当に良かった。
首の皮が一枚繋がったような気分だ。
「喜んでいるところ悪いが、オレは魔法とか教えられんのだ。使えないから分からなんだわ。だから、親父の言っていたことを伝える。『呪文なんてイメージをしやすくするためのものだから、俺には必要なかった。』って言ってたぞ」
「祖父なんでもありだな!」
俺が驚いたようにいうとガルシアは笑いながら「確かにあの人は何でもありな人だった。良くも悪くも人だったな」と懐かしんでいるようだった。
「あとは自力で頑張るしかないんだ。ダイキ、お前なら出来るさ」
「ガルシアも根拠の無さそうなことすぐ言う」
「わっはっは!!そりゃオレは親父の息子だからな!」
魔法が使えることが分かり、聞きたいことが増えた俺はガルシアにこの世界のことについて、色々と聞き込むのであった。
服の洗い方は、向こうと何故か一緒。よく考えてみれば冷蔵庫があることも不思議なんだよな。その理由も粗方祖父が理由になるんだろうと思い、対して気に止めなかった。
洗濯機が回っている間、俺とガルシアは外に出てきた。
外を見渡すと見晴らしの良い野原だった。
「意外と似合ってるな」
ガルシアのお古の服だが、子供の頃とはいえ俺にサイズとピッタリなのが気にくわない。そりゃその巨体ならあり得なくもないけど、身長なら百七十は一応あるんだがなぁ。
「そりゃどーも」
「なんで、拗ねてんだ?ま、いいけどよ」
頭をかしげながらガルシアは一冊の本を手渡してきた。その本には見慣れない文字の羅列が表題になっていて、おそらく中身も同じような文字で書いてることだろう。
「これは?」
「それは魔法適正の書だ。魔法が使えるかどうかを確かめることが出来る本だ。せっかくだから、俺がお手本してやる」
俺は本をガルシアに返した。
ガルシアは本をパラパラと捲ると目的のページを見つけたのか、白紙のそのページに手のひらを当てた。
「こうやって、手を当てて呪文を唱える。『我が魔法力が顕現せん』と簡単な呪文だ。手を置いて呪文を唱えるだけで、魔法に適正があるかどうかの文字が浮かび上がる」
俺には読めない文字が浮かび上がってきたのが見えた。
「これは魔法適正なしって書いてるんだが、読めたか?」
俺は首を横にふった。
「やっぱな、会話が成り立つのは不思議だが文字は流石に読めなかったか。仕方は今教えた通りだ、やってみな」
本を受け取るとページを巡る。よく見るとどれも同じような文字ばかりの羅列に見えた。浮かび上がった文字は消えないらしい。俺は次の白紙のページを開くとそこに手を置いた。
呪文の内容的に魔法力の大きさで魔法適正かどうかを測っているようにもみえる。仮想はひとまずそこまでにしておいて俺も呪文を唱える。
『我が魔法力が顕現せん』
体から脱力感のようなものを少しだけ感じる。
これが魔力が無くなったってことなのかな。
「ガルシア、結果は?」
「よかったな。魔法適正ありだったぞ」
「うおおおおおお!よっしゃーー!!」
俺は両手を天に仰ぐように大きく万歳をした。何度も何度もガッツポーズをして、手のひらをガルシアに向けてアピールした。
「ほら、早く!ハイタッチだよ!」
「そうか、おら!景気付けに一発といくか!」
ズッパシ!と振り上げてハイタッチをした瞬間、ガルシアの力で俺はよろけながら後ろに倒れた。
大の字で寝転がるとガルシアが横に座った。
はあ…っと、ため息が出てしまうくらい下から見上げるガルシアは大きくてカッコいい。俺がそこまで強くなるには一朝一夕には行かない筈だ。どうやって帰れば良いかもわからない。ここで生きていくには魔法しか無いと思っていたから、本当に良かった。
首の皮が一枚繋がったような気分だ。
「喜んでいるところ悪いが、オレは魔法とか教えられんのだ。使えないから分からなんだわ。だから、親父の言っていたことを伝える。『呪文なんてイメージをしやすくするためのものだから、俺には必要なかった。』って言ってたぞ」
「祖父なんでもありだな!」
俺が驚いたようにいうとガルシアは笑いながら「確かにあの人は何でもありな人だった。良くも悪くも人だったな」と懐かしんでいるようだった。
「あとは自力で頑張るしかないんだ。ダイキ、お前なら出来るさ」
「ガルシアも根拠の無さそうなことすぐ言う」
「わっはっは!!そりゃオレは親父の息子だからな!」
魔法が使えることが分かり、聞きたいことが増えた俺はガルシアにこの世界のことについて、色々と聞き込むのであった。
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